1 事業の目的
国内外のアーティスト等が移り住み、鳥取の豊かな自然の中で創作活動を行う「アートピアとっとり」を創造するため、複数の作家やアーティストが居住し、活気ある創作活動が行われることで、新たな人と物の流れを生み出す「工芸・アート村」創出の推進を図る。
2 事業の内容
アートピアとっとりの創造を目指して、地域の魅力を発掘・発信する取組や、その地域に作家・アーティスト等の移住を促す取組に対して支援を行うとともに、その取組を通して、鳥取スタイルの「工芸アート村」として、全国に発信できる地域の魅力創出や地域活性化の推進を地元市町村と連携し、促進する。
(1)いなば西郷工芸の郷(鳥取市河原町西郷地区)
4,000千円(4,000千円)
<総事業費5,000千円= 県4,000千円 ・団体等1,000千円>
ア 事業概要
人間国宝の前田昭博氏をはじめ、西郷地区で活躍する作家・アーティストが連携し、「工芸の郷」を構築する取組や、作家・アーティストと県民が工芸やアートを通して交流する取組を行う団体への支援を行う。
イ 事業内容
○人間国宝によるトークイベント [1,500千円]
【内容】前田昭博氏と著名人による対談及び地元作家を加えた対談、活動紹介、作品展示、交流会等
【時期】6月
【場所】とりぎん文化会館、西郷地区公民館等
○第3回西郷工芸祭り [2,000千円]
【内容】西郷地区をはじめとする県内工芸作家の作品展示・販売、ワークショップ、記念講演会等
【時期】10月(2日間開催に拡大)
【場所】 西郷地区公民館等
○西郷の文化的魅力を語る交流会 [1,000千円]
【内容】西郷地区外から参加者を募り、工芸や文化について、地元作家等を講師に学び、食事をしながら交流し、地区の魅力を発信する会の開催
【時期】年間を通して4回程度
【場所】西郷地区のカフェ等
○工芸の郷情報発信(通年) [500千円]
・県内ギャラリーや周辺施設での出張・コラボ展示会
・地元作家によるワークショップ、活動紹介、作品展 等
ウ 補助対象団体 一般社団法人西郷工芸の郷あまんじゃく
<工芸・アート村の状況> 〜地域密着型〜
○鳥取市河原町西郷地区の地域団体「いなば西郷むらづくり協議会」が3つの窯元や、ガラス工芸、木工芸などに加え、若手工芸作家らを地域に受け入れ活性化を図る「工芸の郷」構想を推進するための団体として、平成28年9月に一般社団法人を設立。
○平成29年4月に若手陶芸家(福岡県)の移住にあわせ、郷開き及び窯開きイベントを開催した。
○人間国宝等工芸作家によるトークイベント(6月)、県内工芸作家作品の展示販売・ワークショップ等を行う「西郷工芸祭り」(10月)の開催により、「工芸の郷」として認識されつつある。
○学生インターンシップのイベント参加や、Iターン者による古民家を活用したカフェの本格オープン等、地域に新たな賑わいも創出されている。
○10年先を見据えて、より多くの作家・アーティストを西郷地区に受け入れていく予定であり、移住先となる空き家の整備や、作品展示販売等の拠点整備が課題となっている。
(2)イトナミダイセンプロジェクト(大山周辺地域)
5,000千円(4,000千円)
<総事業費6,000千円= 県5,000千円 ・団体等1,000千円>
ア 事業概要
大山エリアを中心に、国内外からアーティスト・作家を呼び込み、移住定住に繋げていくための事業や、アーティストと県民が交流する事業を行う団体への支援を行う。
⇒大山地区の各施設間連携や情報共有を図るとともに、移住・滞在制作の受入窓口や県内での活動窓口として整備し、「工芸・アート村」として発信する。
イ 事業内容
○イトナミダイセンアニメーションフェスティバル [1,000千円]【内容】各アートプロジェクト、地域で活躍するアーティストの作品発表、ワークショップ等
【日時】10〜11月
【場所】大正蔵、まぶや、大山ものづくり学校等
○近隣文化施設等と連携したアートプロジェクト(大山アニメーションプロジェクト、糸・波・大山プロジェクト他) [2,700千円]
【内容】国内外から招聘したアーティストによる滞在制作、ワークショップ、交流イベント等
【日時】5〜11月
【場所】まぶや、大山ものづくり学校、のまど間等
○大山アート村環境整備・情報発信(通年) [2,300千円]
大山エリアの文化芸術・移住定住関連施設の連携軸を構築し、外国人アーティストをターゲットにした移住・滞在制作の受入窓口、県内での活動窓口としてのシステム構築、環境整備及び情報発信等
ウ 補助対象団体 こっちの大山研究所
<工芸・アート村の状況>
〜地域の魅力発信・ネットワーク型〜
○大山エリアには、アーティスト等の滞在・活動拠点が集積している。「こっちの大山研究所」は、これらの拠点や国内外のアーティスト等との幅広いネットワークを持ち、アートを通した地域振興を行っている。
○平成29年度は、「大山ものづくり学校」や近隣の「むきばんだ史跡公園」等と連携し、「営み」の視点をより濃く取り入れたアートプロジェクトを進め、活動の幅が拡がった。
○アートプロジェクトの発表の場として、イトナミダイセン藝術祭を開催(11月)し、大山が「ものづくり」や「アート活動」の適地であることをPRしている。
○大山町が支援する「大山×ハワイ連携プロジェクト」の一つに本事業の「大山アニメーションプログラム」を位置付ける予定。ハワイと大山(鳥取)双方の歴史や文化を学びながら、大山とハワイをつなぐ架け橋となるアニメーション作品の制作発表等を通して、大山がアート活動の適地であることを国内外へPRする。
○今後、アーティストの移住をより進める方策として、公募によるアーティスト招聘、大山を拠点とする外国人向けのインバウンドツアーへの組込み等、新たな事業展開を予定しており、拠点やメニューの磨き上げ、受入システムの構築、さらなる地域との連携が課題となっている。
3 今後の方向性・展開
本事業では、国内外のアーティスト等が移り住み、地域の人たちやアーティストと関わりながら、鳥取の豊かな自然の中で創作活動を行う「工芸アート村」が、県内に複数創出されることで、地域に活気があふれ、新たな人と物の流れが生み出されていくことを目指す。
今後の展開に向け、地元市町村など関係団体とも連携を図り、県内の文化的素材や人的資源を活かして、「西郷」「大山」に続く地域の候補地として、地域活性化に取り組む団体の育成・支援を行う。
【「アートによる地域活性化事業」を一般事業で要求中】
●アートによる地域活性化促進事業補助金(4,164千円)
地域と連携しながら、アートを使って地域活性化を目指す地域づくり団体の取組を支援
(1)スタート型(支援年限3年)
(2)ステップアップ型
↓
●市町村連携型地域活性化拠点事業補助金(4,000千円)
市町村と連携しながら、アートを使って地域活性化及びアーティストの移住促進を目指す地域づくり団体の取組を支援
↓
●工芸・アート村候補地へ
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
○本県では、「鳥取元気プロジェクトチャレンジ70」において、「アートピアとっとり」の取り組みのもと、「工芸アート村」等の推進で「まちを元気に」することを掲げている。
○また、「地方創生総合戦略」においても、「工芸アート村」等の推進により、アートを活かした地域の活性化を図る方向で施策の検討を進めている。
○このため、アートを活用して戦略的に地域振興を図ろうとする地域団体や市町村、移住定住を目指す工芸作家・アーティスト等とともに、「アートピアとっとり」の取組を促進しているところ。
○県外等から鳥取県に来て、地域に滞在しながら芸術制作を行うアーティストと地域とのコラボレーション(AIR)を進めてきているところであるが、それらの活動を更に磨き上げ、より多くのアーティストや作家が地域住民と関わりながら、文化芸術の取組を推進。こうした取組を通し、アートを契機として人が集い行き交い、そして住まう理想の地域を県内に創造していく機運の醸成を県内各所で始めているところ。
○その中でも、地元、県外アーティスト等が既に居住し、作家活動を行っている地域に、今後更に県外アーティストを呼び込み、その地域を「工芸アート村」等として、魅力を発信していけるポテンシャルの高い地域の活動に対し、財政支援等していくことで、「アートピアとっとり」の促進を図る。
これまでの取組に対する評価