1 事業概要
災害時等において、県内機関や市町村、消防局、国等と情報伝達・収集を行うための通信手段である防災行政無線のうち、衛星系防災行政無線が運用開始から12年が経過して耐用年数が過ぎ、年々保守部品の入手が困難になり、また、故障時の復旧にも時間を要する状況となっている。
災害等緊急時に確実に情報伝達手段を確保できるよう衛星系防災行政無線を更新する。
2 事業内容
本県の衛星系防災行政無線は地域衛星通信ネットワークにおいて第2世代システムと呼ばれる機器を使用しているが、同ネットワークの運用元である(一財)自治体衛星通信機構(以下「ラスコム」という。)によると、平成34年度から次世代システム(第3世代)を運用開始するよう検討を進めているところである。
次世代システムの運用開始前に現在の機器を第2世代システムに更新することは得策ではないため、衛星系通信機器は次世代システムへ更新することを基本とするが、機器仕様や導入形態等について現時点で不確定要素が多いため、詳細な導入計画はラスコムの動向を注視しながら今後固めていくこととする。
衛星系通信機器と分離して更新可能な一斉指令系機器及び交換機系機器については、故障対応が困難な状況にあることから先行して更新を行う。
3 整備スケジュール及び必要経費
(1)第1期更新
更新対象:一斉指令系機器、交換機系機器等
平成30年度
実施設計 28,160千円(委託料)
平成31〜32年度
整備工事 1,233,052千円(工事費)
工事監理 14,520千円(委託料)
(2)第2期更新
更新対象:衛星系通信機器等
現時点での見通しは以下のとおり。
平成34年度
実施設計 14,883千円(委託料)
平成35〜36年度
整備工事 377,673千円(工事費)
工事監理 7,843千円(委託料)
第1期、第2期合計 1,676,131千円
4 現状及び問題点
平成17年に運用開始した衛星系防災行政無線は耐用年数が経過し、メーカーサポートが終了した機器もあり、故障時に部品や代替品の調達が困難な状況が見受けられるようになった。
特に一斉指令系機器に使用されているサーバーは、ハードに加えてソフト(OS:オペレーティングシステム)もメーカーサポートが終了しており、故障箇所によっては修理・代替えが不可能な状況にある。最悪の場合、一斉指令機能が使えなくなり、災害時の情報伝達に重大な支障を来すことになる。
その他の機器においても、故障箇所によっては同様な状態になる恐れがあり、実際に昨年度には衛星可搬局が故障して修理不能となり廃局するに至った。
なお、平成29年度末には全ての機器のメーカーサポートが終了する。
(注)メーカーサポートとは、機器メーカーが補修部品を保有している状態をいう。
参考
財源には緊急防災・減災事業債を活用
充当率 100%(うち交付税措置率 70%)
ただし、現時点では平成32年度が期限となっている。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
防災行政無線は災害時における情報伝達システムのうち中核となるシステムであり、日頃から気象情報等の市町村等への伝達に使用しているほかヘリテレ映像や災害対策本部会議映像なども衛星系防災行政無線で市町村等へ配信しており、関係機関との情報共有に活用している。
これまでの取組に対する評価
鳥取中部地震においても防災行政無線は停止することなく稼働し、中部地区の1市4町ほか関係機関との情報共有等に有効に活用できた。災害時等においても回線の輻輳がなく、常時通信手段を確保できるため必要不可欠なシステムである。