１ 終了の理由
試験実施期間を終了したため
２ 試験概要
「鳥取県農業活力増進プラン」では高能力種雄牛を活かした「鳥取和牛」のブランド化を推進することが求められている。その方策の一つとして、受精卵移植を利用した和牛増頭に取り組んでいるところ。
生産者段階では未だ普及していない“体外受精卵”に着目し、低コストで効率的な和牛増頭につながる技術体系を構築し、普及を図る。
３ 試験内容
（１）と畜牛卵巣由来卵子の効率的利用技術の検討
体外発生培養系の改良を模索
（２）経膣採卵（生体からの卵子採取）による優良雌牛の効率利用
妊娠牛および若齢牛からのOPU利用の検討
（３）体外受精卵の割球分離による一卵性双子の生産
双子生産効率の向上（農家所得の向上）
（４）受精卵由来細胞の遺伝子検査方法の検討
受精卵から採取できる細胞は限られるため、この細胞からDNAを抽出し、ゲノムDNAを増幅させ受精卵の一塩基多型（SNP）を読み取る技術を検討する。
４ 試験結果
（１）発生培地へL-カルニチン、リファンピシンおよびフォルスコリンを添加することで胚盤胞発生率が有意に向上した。
（２）得られた胚盤胞をダイレクト凍結した後でも高い生存性を示した。
（３）妊娠牛および若齢牛（１２ヶ月未満）からのOPUを実施してもその後の妊娠性および繁殖性に異常は認められなかった。得られた胚から受胎例を確認することができた。
（４）体外受精卵を割球分離することにより、双子の受胎・分娩例を確認できた。単胎の場合や死産の例もあったため、農家所得向上には母牛の管理方法も検討する必要がある。