1 背景・概要
鳥取砂丘コナン空港では、空港の管理運営を公共施設等運営権制度に基づく民間による空港経営に転換し、一体的かつ機動的な経営により、空港管理の効率化、空港の利用促進、空港を拠点とした賑わいの創出の実現を図ることを目的として、鳥取空港ビル(株)(以下「運営権者」という。)と実施契約を締結し、平成30年7月からコンセッション方式による事業を開始したところである。
実施契約において、県と運営権者との更新投資等の役割分担やリスク分担などを定め、空港の管理運営に必要となる経費の一部を運営交付金として交付することとしている。
2 事業の目的
(1)国際線ターミナル屋根修繕工事
国際線ターミナル(旧国際会館)は、建築から22年以上(平成8年竣工)が経過し、屋根の老朽化が全体的に進行しており、テナント内のカウンターや観光客の記念撮影ポイントに雨漏りが生じたり、建物出入口(風除室)でも雨漏りが発生し、自動ドアの不具合の恐れから閉鎖せざるを得ないなど、数年前から施設管理に支障をきたしている。
そのため、平成30年度の現地調査の結果、対策が必要と判断される箇所について、補修工事を実施するものである。
(2)低層風情報提供システムの導入
県、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)、民間((株)ソニック)の三者で覚書を締結(H30.2.6)し、鳥取空港において、H30年8月から低層風情報提供システム「SOLWIN(ソルウィン)」の実証試験運用を行っている。
H31年3月までに行われた実証試験の結果、航空機の安全な着陸(安定した飛行)に一定の効果があることが確認されており、鳥取空港の安全・安心な管理運営をより一層推進するため、引続き導入を図るものである。
事業費
(1)国際線ターミナル屋根修繕工事
補修工事:46,284千円
工事管理: 2,841千円
計 49,125千円
(2)低層風情報提供システムの導入
保守管理:3,300千円
4 更新投資等の役割分担
区分 | 主な内容 | 分担 |
運営権者 | 県 |
更新 | 施設等を部分的又は全面的に同程度の機能で交換する行為 | | ○ |
拡張 | 施設等の規模の拡大や機能の付加を行う行為 | | ○ |
修繕 | 施設等の部分的な機能や性能を回復させる行為 | | |
運営交付金の範囲 | ○ | |
運営交付金を超える範囲 | | ○ |
上記以外の小規模修繕(50万円未満) | ○ | |
(更新投資には、関連備品も含まれる)
5 期待される効果
(1)国際線ターミナル屋根修繕工事
昨年7月28日のグランドオープン以降から今年3月末までの約8ヶ月間で、約36万人の一般来場者数を記録しており、特に、名探偵コナンを目的とした県外来訪者も大幅に増加するなど、空港が単なる移動の通過点から観光の目的地へと生まれ変わりつつある。
そのため、県東・中部の空の玄関口にふさわしい施設として維持し、空港を訪れた観光客に満足していただく。
(2)低層風情報提供システム
○ 鳥取空港はその地理的要因(海沿い、滑走路北西の丘陵など)から、低層風の影響が懸念される空港の一つとして挙げられる。そのため、離着陸時に大きな影響を与える低層の風の状況を監視し、その情報を運航中の航空機に提供することで、ウインドシア(急な風の変化等)を監視し、安全な就航につながることが期待される。
○ 鳥取空港独自の安全性向上に向けた取組として、政策コンテストやエアラインに向けて、アピールすることが出来る。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
鳥取空港の管理運営については、平成30年7月からコンセッション方式による事業を開始するともに、7月28日の空港一体化によるグランドオープンにより、新たなテナントやコナン装飾が加わるなど、来訪者にとってより楽しく、より快適に過ごせる施設と生まれ変わった。
これまでの取組に対する評価
・グランドオープンから3月末までの8ヶ月間の一般来場者は約36万人と予想を大きく上回る成果を挙げている。特に、名探偵コナンを目的とした県外来訪者が大幅に増加、SNSでも大きな反響があり、海外からのお客様にも高い評価を得ている。
(目標値:鳥取県元気づくり総合戦略KPI(平成31年度)7万人/年)
・このグランドオープンを契機として、民間運営によるサービスの向上や、星空観察会やクリスマスイベント、ひなまつりコンサートなど従前には無かった多彩なイベントが開催されるなど、民営化による効果が徐々に出始めている。