(1)輸入感染症対策
ア 感染症診療研修事業(一部国庫1/2)
輸入感染症など診療・治療が困難な感染症やエイズなどの症例数が少ない感染症に対し、早期発見、適切な医療を確保するため、医療関係者を対象とした研修会を開催する。
<開催回数>東・中・西部地区 各1回/年
<委託先>鳥取大学医学部附属病院
イ 海外感染症相談窓口(単県)
海外旅行先における感染症への罹患や訪日外国人旅行者を起因とした国内流行事例を踏まえ、県民等や訪日外国人旅行者が電話で相談できる窓口を開設し、必要な情報を提供することで、渡航先における感染リスクを減らし、県内における海外由来の感染症拡大を防止する。
<委託先>鳥取大学医学部附属病院
(2)感染症指定医療機関の機能強化
感染症指定医療機関の感染症病床における感染防止対策の強化と、当該施設の医療スタッフ等の感染症に対するスキルアップを図るため、県内3施設(県立中央病院、県立厚生病院、済生会境港総合病院)に月1回、感染症専門医等が常駐し、研修会の開催や感染症に係る診断・治療の相談等を行う。(鳥取大学医学部附属病院に専門医を派遣依頼)
ア 感染防止対策の強化(国庫1/2)
- 医師、看護師その他医療技術者を対象とした院内感染や感染症病床での二次感染の予防などの研修会を開催
- 感染症病床のマニュアル等の点検や運営等の改善点を検討し助言するとともに、その結果を研修会で説明する。
イ 感染症に係る治療・診断の相談(単県)
- 医療スタッフからの感染症に係る診断・治療方法等の相談受付と助言
<感染症専門医等の常駐回数>
各施設 年12回×3施設 = 延べ36回
(H31は年9回×3施設=延べ27回)
(1)輸入感染症対策 1,580千円
ア 感染症診療研修事業 865千円(一部国庫1/2)
イ 海外感染症相談窓口(県民向け) 715千円(単県)
(2)感染症指定医療機関の機能強化 1,755千円
ア 感染感染防止対策強化(国庫1/2)
イ 感染症に係る治療・診断相談(単県)
(1)輸入感染症の発生状況
○ 訪日外国人旅行者は、10年前の3.5倍に増加。今後も、2020年東京オリンピック、2025年大阪万博などにより、訪日外国人旅行者の増加は見込まれる。
(H19年835万人→H29年2,869万人)
○ この状況は、外国人旅行者による感染症持ち込みによる国内流行が懸念される。
→平成30年には、訪日外国人旅行者である麻しん患者1名から沖縄県や愛知県等で感染が拡大した事例が発生
○ また、日本人が海外で感染し国内に持ち込まれる感染症のうち、国内発生のないデング熱は増加の一途(平成11年9件→平成29年245件)であり、マラリアも年間60件前後で推移しており、旅行先の多様化を踏まえると今後も継続した発生が予想される。
○ これら海外由来の感染症は、初期症状が「かぜ様症状」であり、診断が困難な事例である。
(2)感染症指定医療機関の現状
○ 総務省行政評価局は、平成29年12月に、厚生労働省に対して「感染症指定医療機関の診療体制等の適切な整備」を図るように勧告した。
○ 県内の感染症指定医療機関4施設のうち、感染症専門医がいない施設が3施設あり、院内での一類・二類感染症の患者受入れについて、人的強化が必要な状況である。
(3)県内における感染症に対する診療体制強化の取り組み
○ 県内の感染症専門医は平成25年は3名と僅かであり、輸入感染症であるウイルス性出血熱(エボラ出血熱など)等への対応強化を図るため、感染症専門医養成機関である鳥取大学医学部附属病院の研修体制を強化することとして当該病院へ平成25年度から平成30年度に補助金を交付し、感染症専門医の育成を進めてきた。
○ この結果、現時点で、新たに2名の感染症専門医が養成された。 (県内では、他地域からの異動によりさらに1名増え、現時点では6名)
○ しかしながら、全ての感染症指定医療機関に感染症専門医を配置するためには、かなりの時間を要する。
○なお、一類・二類感染症発生時における体制を確保するため、鳥取大学医学部附属病院から感染症指定医療機関への医師の派遣等に係る協定を鳥取大学と締結している。