事業名:
気候・風土に適応した砂丘ラッキョウ・ナガイモの安定生産技術の確立
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農林水産部 園芸試験場 砂丘地農業研究センター
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事業費(A) |
人件費(B) |
トータルコスト (A+B) |
正職員 |
非常勤職員 |
臨時的任用職員 |
31年度当初予算額 |
5,507千円 |
26,989千円 |
32,496千円 |
3.4人 |
2.9人 |
0.0人 |
31年度当初予算要求額 |
5,507千円 |
26,989千円 |
32,496千円 |
3.4人 |
2.9人 |
0.0人 |
30年度当初予算額 |
5,626千円 |
27,023千円 |
32,649千円 |
3.4人 |
2.9人 |
0.0人 |
事業費
要求額:5,507千円 (前年度予算額 5,626千円) 財源:単県
一般事業査定:計上 計上額:5,507千円
事業内容
概略説明
本県、東部地区、中部地区の砂丘畑を中心に作付が行われている、ラッキョウ、ナガイモについて生産振興を図るための技術開発を行う。
(1)ラッキョウ
近年、高齢化等により国内主要産地の栽培面積は減少傾向にあり、鳥取県のラッキョウ栽培面積も203haと全国最大規模であるが、漸減傾向にある。販売単価は市場流通量の減少により堅調に推移しているが、天候不順等による反収の減少、人手不足による生産性の低下等により出荷量が減少傾向にある。そのため、安定生産、作業労力の分散、省力化、生産コスト低減技術の導入が不可欠となっている。
(2)ナガイモ
園芸試験場が開発した‘ねばりっ娘’および「砂丘ながいも」は県中部を代表する鳥取ブランドの特産品である。県外からの需要も多く、儲かる品目として農家の生産意欲も高い。しかし、以前と比べて集中豪雨、夏季の高温等により’ねばりっ娘’・ナガイモともに品質の低下が問題になっている。また高齢化等により生産量も伸び悩んでいるため、省力化技術の導入も必要となっている。
1 事業の必要性
(1)ラッキョウ
ア 原油高、肥料需要の増加等により原材料費が高騰し、生産者からより一層の低コスト化技術の開発が求められている。
イ 近年、春先の天候が安定せず作柄が安定しないため、市場ニーズに合った出荷ができず販売に苦慮している。そのため、従来より一旬早い5月中旬頃からの出荷が可能な早生系統(品種)の選抜、早出し技術の確立が求められている。
ウ 健康食品としてラッキョウが注目を集めるにつれて、消費者、団体、加工、流通業者及び生産者から安心・安全な有機・特別栽培への要望が高まっている。
(2)ナガイモ
ア ‘ねばりっ娘’は本県育成の品種であり、本県以外での試験は行われていない。これまでの試験により明らかになった‘ねばりっ娘’の栽培特性をいかし、より効率的な‘ねばりっ娘’の栽培法を確立することは、‘ねばりっ娘’の栽培面積拡大のために急務である。また、近年問題になってきている‘ねばりっ娘’特有の生理障害(縦割れ症)低減技術の確立が求められている。
イ ‘ねばりっ娘’・普通ナガイモともに生産量低下の大きな原因となっている黒陥没症の原因究明および対策法の確立が求められている。
ウ 夏季の高温・ゲリラ豪雨等の気象変動により、形状の悪い芋が増え普通ナガイモの秀品率の低下を招いている。
(3)ラッキョウ・ナガイモ共通
・砂丘地で栽培しているラッキョウ・‘ねばりっ娘’・普通ナガイモは施肥量が多く、地下水への肥料成分の溶脱も多い。自然環境にやさしい農業が注目されている中、環境に配慮した施肥法の開発が求められている。
(4)事業の対象者:県内ラッキョウ生産者300戸、ナガイモ生産者150戸、消費者。
2 事業の内容
(1)ラッキョウ
ア 安定生産技術の確立
・収量に影響のある施肥時期・施肥量の検討
・現地優良系統の選抜と特性の解明
・中部地区に適した施肥法の検討
・良質な種球育成技術の確立
イ 線虫・ウイルス病の防除技術の確立
・土壌消毒・粒剤等を併用したセンチュウ防除方法の確立
・ウイルスに感染しても収量が低下しない系統の選抜
ウ 砂丘畑での有機・特別栽培技術の確立
・有機・特別栽培における施肥法、病害虫管理体系の確立
(2)ナガイモ
ア ‘ねばりっ娘’専用栽培技術の確立
・施肥法の検討
・縦割れ症発生原因の究明と低減技術の確立
・貯蔵後に発生する腐敗の発生原因の究明
・ムカゴ着生低減方法の検討
・‘ねばりっ娘’専用栽培指針の作成
イ 黒陥没対策技術の確立
・黒陥没症の原因究明と低減技術の開発
ウ 普通ナガイモの安定生産技術の確立
・収量性が高くリング等の発生が少ない系統選抜
・障害芋の発生を軽減する栽培管理法の検討
(3)ラッキョウ・ナガイモ共通
ア 環境負荷に配慮した施肥法の開発
・簡易ライシメータを用いた硝酸態窒素の流亡のモニタリングと、改良施肥法の有効性検討
3 事業の効果
(1)ラッキョウ
・安定生産により市場への供給量も安定し、「信頼できる産地」としての評価が一層高 まり、高単価での取引も期待でき、生産者の所得向上、産地としてブランド力強化につながる。
(2)ナガイモ
・各種障害による被害が少なくなり、‘ねばりっ娘’・ナガイモともに品質の向上や生産 量の増大により、所得向上が見込める。
(3)ラッキョウ・ナガイモ共通
・環境に配慮した施肥法の確立により、無駄な施肥を防ぎ生産コストを削減できる。ま た、消費者の食への安心・安全志向に合致した「選ばれる産地」になる。
4 これまでの成果
(1)ラッキョウ
・収量に影響する施肥時期は9月中旬〜10月下旬までだった。
・種球重が重いほど収量は増加した。
・現地で栽培されている品種の中で、早期出荷に向く品種を5品種に3次選抜した。
・春かん水により収量が無かん水と比較して約4割増加した。
・特別栽培での施肥体系を検討した結果、慣行並みの収量が得られた。
(2)ナガイモ
・‘ねばりっ娘’は普通ナガイモと比較して出芽が1ヶ月早く、また地上部の枯れ上がり が遅いが、アクは早く消失する特性が認 められた。
・縦割れ症は増肥により発生が増大する傾向が見られた。
・植調剤を茎葉に施用するとムカゴ重が減少し芋重が増大する傾向が見られた。
・黒陥没症は芋の距離が短いと発生が増大する傾向が見られた。
・園試保存系統より収量性が高くリングの発生が少ない8系統を2次選抜した。
(3)ラッキョウ・ナガイモ共通
・ラッキョウ慣行施肥体系では、基肥で施用した窒素の多くは植物体に吸収されず溶脱していた。
・普通ナガイモ栽培において、生育後半の減肥は芋重および品質に影響しないことが判り、施肥量を1割〜2割減できることが明らかになった。
・‘ねばりっ娘’は普通ナガイモと比較して溶脱量は少なかった。
5 平成31年の試験内容
(1)ラッキョウ
ア 安定生産技術の確立
・9月中旬〜10月下旬までの施肥間隔と施肥量の検討
・早だし栽培に適した現地優良系統の特性調査
・中部地区における秋季重点施肥および春肥の検討
・種球植え付け時期の検討
イ 線虫・ウイルス病の防除技術の確立
・センチュウ発生ほ場における発生消長の調査
・ウイルスに感染しても収量が低下しない系統の選抜
ウ 砂丘畑での有機・特別栽培技術の確立
・化学肥料の施用を減らす施肥法の検討
(2)ナガイモ
ア ‘ねばりっ娘’専用栽培技術の確立
・施肥の検討
・縦割れ症の原因究明
・貯蔵後に発生する腐敗の原因究明
・ムカゴ着生低減方法の検討
イ 黒陥没対策技術の確立
・黒陥没症の原因究明
・黒陥没症の発生低減技術の検討
ウ 普通ナガイモ生産安定技術の確立
・系統選抜
・形状の良くなる栽培管理の開発
(3)ラッキョウ・ナガイモ共通
・簡易ライシメーターを用いた窒素・リン酸溶脱量の測定
6 平成31年度要求額内訳(単位:千円)
内訳 | 要求額(単位:千円) |
現地試験栽培委託料
(債務負担行為・・・平成32年度分) | 818
(106) |
学会・検討会・研修会への出席旅費 | 300 |
ラッキョウ・ナガイモ栽培用資材、分析用試薬等の購入費 | 4,121 |
使用料及び賃借料
(各種作業機械レンタル料) | 268 |
合計 | 5,507 |
7 年度別試験内容と事業費(単位:千円)
年度 | 事業費 | | 事業内容 | |
| | ラッキョウ | ナガイモ | 共通 |
31 | 5,507 | 施肥・早出し系統・種球植付け時期の検討、線虫・ウイルス病調査 | ‘ねばりっ娘’栽培法・普通ナガイモの安定生産技術の検討、黒陥没症原因究明 | 環境に配慮した施肥法の検討 |
32 | 5,507 | 施肥・早出し系統・種球植付け時期の検討、線虫・ウイルス病調査 | ‘ねばりっ娘’栽培法・普通ナガイモの安定生産技術の検討、黒陥没症原因究明 | 環境に配慮した施肥法の検討 |
33 | 5,507 | 年内施肥法確立、早出し系統選抜、種球育成法検討、線虫防除体系検討、ウイルス感染被害の少ない系統選抜 | ‘ねばりっ娘’栽培法・普通ナガイモの安定生産技術・黒陥没症低減技術の検討 | 環境に配慮した施肥法の検証 |
34 | 5,507 | 施肥法や種球育成法等を組合せた技術検討、線虫防除体系検討、ウイルス感染被害の少ない系統選抜 | ‘ねばりっ娘’栽培法・普通ナガイモの安定生産技術・黒陥没症低減技術の検討 | 環境に配慮した施肥法の検証 |
35 | 5,507 | 安定生産技術、線虫・ウイルス病防除体系の確立 | ‘ねばりっ娘’栽培法・普通ナガイモの安定生産技術・黒陥没症低減技術の確立 | 環境に配慮した施肥法の確立 |
合計 | 27,535 | | | |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
(1)ラッキョウ
・収量に影響する施肥時期は9月中旬〜10月下旬までだった。
・種球重が重いほど収量は増加した。
・現地で栽培されている品種の中で、早期出荷に向く品種を5品種に3次選抜した。
・春潅水により収量が無潅水と比較して約4割増加した。
・特別栽培での施肥体系を検討した結果、慣行並みの収量が得られた。
(2)ナガイモ
・‘ねばりっ娘’は普通ナガイモと比較して出芽が1ヶ月早く、また地上部の枯れ上がりが遅いが、アクは早く消失する特性が認められた。
・縦割れ症は増肥により発生が増大する傾向が見られた。
・植調剤を茎葉に施用するとムカゴ重が減少し芋重が増大する傾向が見られた。
・黒陥没症は芋の距離が短いと発生が増大する傾向が見られた。
・園試保存系統より収量性が高くリングの発生が少ない8系統を2次選抜した。
(3)ラッキョウ・ナガイモ共通
・ラッキョウ慣行施肥体系では、基肥で施用した窒素の多くは植物体に吸収されず溶脱していた。
・普通ナガイモ栽培において、生育後半の減肥は芋重および品質に影響しないことが判り、施肥量を1割〜2割削減できることが明らかになった。
・‘ねばりっ娘’は普通ナガイモと比較して溶脱量は少なかった。
これまでの取組に対する評価
平成30年度 外部評価委員会議(中間評価)の結果
評点11.9、判定○
(評点9以上で試験実施)
評価委員の主な意見
・施肥量を更に検討して下さい。
・砂丘地域の窒素の挙動については、様々な面で多方面に大きな影響を与えるのでがんばって研究して下さい。
・「長いも」「らっきょう」ともに鳥取を代表する作物です。「食のみやこ鳥取」ブランドとして研究成果に期待します。
〈自己分析〉
(1)ラッキョウ
天候不順にも対応し安定的な生産を可能とする施肥体系を確立し、「信頼できる産地」として評価が高まるよう支援したい。
(2)ナガイモ
鳥取オリジナル品種‘ねばりっ娘’の品質・収量向上に最適な栽培法を早期に確立するとともに、ナガイモ産地が抱える栽培に関する課題を解決し、より産地が発展していくための支援を行っていきたい。
(3)ラッキョウ・ナガイモ共通
環境負荷の少ない持続可能な栽培ができる技術確立を行い、生産コスト削減と消費者から選ばれる産地づくりを支援したい。
工程表との関連
関連する政策内容
安全・安心、高品質な農産物の生産技術の確立
関連する政策目標
養分吸収に適合した効率的な施肥設計による生産技術の確立
財政課処理欄
要求額の財源内訳(単位:千円)
区分 |
事業費 |
財源内訳 |
国庫支出金 |
使用料・手数料 |
寄附金 |
分担金・負担金 |
起債 |
財産収入 |
その他 |
一般財源 |
前年度予算 |
5,626 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
5,626 |
要求額 |
5,507 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
5,507 |
財政課使用欄(単位:千円)
区分 |
事業費 |
国庫支出金 |
使用料・手数料 |
寄附金 |
分担金・負担金 |
起債 |
財産収入 |
その他 |
一般財源 |
計上額 |
5,507 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
5,507 |
保留 |
0 |
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0 |
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別途 |
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