・本県で育成された新品種を中心に生産拡大に取り組んできており、特に「新甘泉」は栽培面積111ha、販売金額約4億円の品目に成長した。
・これまで梨産地鳥取県を支えてきた「二十世紀」に、「新甘泉」を中心とする新品種が加わったことで、果樹農家の経営は好転し始めたところである。
・一方、二十世紀の生産を維持するため、「二十世紀系統」のジョイント栽培に取り組もうとする一部の生産者の動きに呼応し、ジョイント仕立て用の2年生大苗の育苗試作を支援することで弾みを付けていく。
・中部地震で収穫前の晩生梨が多数落下したが、「王秋」は訳あり梨販売等で知名度が飛躍的に向上した。梨ではトップクラスの収量の「王秋」を復興のシンボルとして、新品種も含め、ジョイント栽培を活用した生産拡大を進めている。
・資材の高騰などから補助事業があっても施設整備が難しくなっており、施設の低コスト化や機械の共同利用を推進し、事業費の低減と農家負担の軽減を図っている。
・平成20年策定「鳥取梨産地活性化ビジョン」で、県オリジナル梨新品種を「梨産地とっとり」復活の切り札とし、平成27年に200haの植栽面積達成を目標に据えて増反に取り組んできた。目標年度中の達成は成らなかったが、植栽面積は195ha(平成29年度末)まで増加している。また、鳥取県元気づくり総合戦略において、平成31年度に植栽面積を230haにする目標を新たに立て、推進を行っている。
・国は国内の各果実産地に対して産地構造改革計画の策定を求めており、これを受けて鳥取県でも平成28年度に東・中・西部の3地区において計画が策定され、地域の特性に応じた、産地ごとの振興品種が決定している。
・梨のジョイント栽培では、新甘泉等の特別対策品種は生産が堅調に増加しているものの、生産者の意向が高まりつつある特別対策以外の新品種や毎年1割ずつ栽培面積が減少している二十世紀梨系統では、育苗委託促進対策の対象外のため、生産振興にブレーキがかかっている。
・鳥取県中部地震の被害が最も大きかった王秋を産地復興のシンボルとして戦略的に生産拡大し、梨農家経営の支柱の1つとして梨産地と果樹農家の復興を加速化しようとしている。
・果樹園の廃園が増えているなか、「農薬散布作業が辛いから果樹栽培をやめる」、「スピードスプレーヤ(SS:乗用型の防除用機械)が壊れたら果樹栽培は続けられない」といった声が多い。
・本県農業の柱である梨は、野菜のように国による価格補償制度がないため、鳥取県果実生産出荷安定基金協会を事業実施主体とした、県独自の価格安定策を平成13年度から実施している。