1 調整要求理由
【一般要求段階査定内容】
グループホームに係る要求がゼロ査定。
【調整要求理由】
〇県内障害者支援施設は、どこも入所待ちで既存の入所者も重度・高齢化がすすみ支援に人手が必要となっており、新規入所希望者の受け入れは進んでいない。
特に支援に困難さを伴う強度行動障がいのある方は行き場がなく、児童入所施設で過齢児としてあるいは家庭で待機せざるを得ない状態。(皆成学園の過齢児問題。やむなく県外の障害者支援施設に入所した事例もあり。)
ノーマライゼーションの理念のもと入所定員はむしろ削減の方向であり、受け皿としてグループホームの体制整備が必要不可欠のため、再度要求するもの。
〇グループホームの中でも、新設された形態の「日中サービス支援型グループホーム」は、定員が20名まで認められる重度の障がいのある方の受け入れを想定した制度であり、新たな受け皿として期待。
〇既存のグループホームでも強度行動障がい者を受け入れ、マンツーマン対応で困難を抱えながらも支援を行っている施設あり。(29年度調査)
2 調整要求額
(単位:千円)
項目 | 一般段階 | 調整 |
要求額 | 査定額 | 要求額 |
強度行動障がい者新規支援補助事業 | 9,432 | 5,760 | 3,444 |
強度行動障がい者グループホーム移行支援事業 | 3,672 | 0 | 3,444 |
強度行動障がい児者短期入所利用支援事業 | 648 | 648 | 0 |
合計 | 13,752 | 6,408 | 6,888 |
3 積算根拠
(1)強度行動障がい者新規支援補助事業
予算要求額 9,204千円(うち5,760千円計上済)
[内訳]
ア.入所施設に入所する場合(全額計上済)
240,000円(補助基準単価)×12か月×4人×1/2=5,760千円
イ.通常グループホームに入居する場合
314,000円(補助基準単価)×12か月×1人×1/2=1,884千円
ウ.日中支援型グループホームに入居する場合
260,000円(補助基準単価)×12か月×1人×1/2=1,560千円
ア+イ+ウ=9,204千円
(2)強度行動障がい者グループホーム移行支援事業
予算要求額 3,444千円
[内訳]
ア.通常グループホームに移行する場合
314,000円(補助基準単価)×12か月×1人×1/2=1,884千円
イ.日中支援型グループホームに移行する場合
260,000円(補助基準単価)×12か月×1人×1/2=1,560千円
ア+イ=3,444千円
(3)強度行動障がい児者短期入所利用支援事業
予算要求額 648千円(全額計上済)
[内訳]
12,000円(補助基準単価)×9日×12か月×1人×1/2=648千円
※人数はH29実績+1人で積算
4 事業内容
(1)強度行動障がい者新規支援補助事業【単価見直し】
障害者支援施設及びグループホームにおいて、新たに強度行動障がい者の居住支援を行う社会福祉法人等に対し、1:1相当の配置に係る人件費から事業者が得る相当の自立支援給付費を引いた差額の助成を行う。(【決算審査特別委員会での指摘事項への対応】支援対象者1人につき、3年間を限度としていたものを、更に3年間延長。(H30〜))
実施主体 | 市町村 |
補助対象 | 新たに強度行動障がい者の居住支援を行う社会福祉法人等 |
負担割合 | 県1/2、市町村1/2 |
補助基準単価 | (1)障害者支援施設へ強度行動障がい者が新たに入居する場合
現行:一人当たり 245,197円/月
当初要求案:240,000円/月(計上済)
(2)グループホームへ強度行動障がい者が新たに入居する場合
(a)通常のグループホーム
現行:一人当たり 32,997円/月
当初要求案:314,000円/月
調整要求案:314,000円/月
(b)日中支援型グループホーム(H31新設)
当初要求案:298,000円/月
調整要求案:260,000円/月 |
(2)強度行動障がい者グループホーム移行支援事業【単価見直し】
強度行動障がい者が、障害者支援施設からグループホームへ移行した場合に、1:1相当の配置に係る人件費から、事業者が得る相当の自立支援給付費を引いた差額の助成を行う(補助期間は(1)と同じ)
実施主体 | 市町村 |
補助対象 | 障害者支援施設からグループホームへ強度行動障がい者が新たに移行した場合に居住支援を行う社会福祉法人等 |
負担割合 | 県1/2,市町村1/2 |
補助基準単価 | (a)通常のグループホーム
現行:一人当たり 32,997円/月
当初要求案:314,000円/月
調整要求案:314,000円/月
(b)日中支援型グループホーム(H31新設)
当初要求案:298,000円/月
調整要求案:260,000円/月 |
(3)強度行動障がい児者短期入所利用支援事業【単価見直し】
短期入所事業所において、新たに強度行動障がい者の支援を行う社会福祉法人等に対し、1:1相当の配置に係る人件費から事業者が得る相当の自立支援給付費を引いた差額の助成を行う。
実施主体 | 市町村 |
補助対象 | 強度行動障がい者の短期入所による支援を行う社会福祉法人等 |
負担割合 | 県1/2、市町村1/2 |
補助基準単価 | 現行:一人当たり 10,895円/日
当初要求案:12,000円/日(計上済) |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
重度の強度行動障がい者への支援については、旧体系施設で算定されていた強度行動障害者特別支援加算により評価されていたが、新体系施設に移行すると当該加算はなくなり、事業者が重度の強度行動障がい者の支援を積極的に行えない状況があることから、本事業により支援を行っている。
これまでの支援実績は次のとおり。
○平成23年度
・ 強度行動障がい者新規支援補助事業 3名
○平成24年度
・ 強度行動障がい者新規支援補助事業 5名
○平成25年度(10月30日現在)
・ 強度行動障がい者新規支援補助事業 5名
○平成26年度(10月24日現在)
・ 強度行動障がい者新規支援補助事業 3名
○平成27年度(10月19日現在)
・ 強度行動障がい者新規支援補助事業 3名
○平成28年度(11月28日現在)
・ 強度行動障がい者新規支援補助事業 2名
○平成29年度(12月12日現在)
・ 強度行動障がい者新規支援補助事業 3名
○平成30年度(12月11日現在)
・ 強度行動障がい者新規支援補助事業 3名
これまでの取組に対する評価
○強度行動障がい者の待機者の解消がなされている。
○行動障がいの軽減 これまで本事業を活用した6名中6名が行動障がいの程度が軽減している。
以上より、待機者の解消と支援対象者の行動障がいの軽減に一定の成果が現れているものと考える。
なお、本事業に関連する取組みとして、
○25年度から行動障がいに関する研修への施設職員の派遣(H29:4名)←県の行動障がい研修に参画)
○24年度から行動障がいの研究・支援実践の第一人者である鳥取大学医学研究科の井上教授に県の行動障がい研修に御参画いただき、人材育成を推進している。
→県内の受入れ環境も少しずつ整備されてきている。
併せて、引き続き、国に対して、報酬体系において、強度行動障がい者の支援が適正に評価されるよう意見・要望を行っていく。