1 事業概要
鳥取大学発の染色体工学技術等のバイオ技術を活用して創薬及び創薬支援の事業化に取り組む県内中小企業等を支援することにより、本県におけるバイオ関連産業の創出・集積を図る。
※染色体工学技術…ヒト、マウス由来の人工染色体ベクター(遺伝子の運び屋)等により、細胞に任意の遺伝子を導入し、遺伝子改変等を行う技術。
⇒医薬品開発に使用される遺伝子改変細胞・動物の作製、バイオ医薬品の生産技術等に活用されており、将来的には、バイオ医薬品開発、再生医療、遺伝子治療での活用も期待されている。
2 要求額 43,871千円 (23,078千円)
(1)バイオ創薬ビジネス創出支援事業【新規】 40,000千円
とっとりバイオフロンティア(バイオフロンティア)及びとっとり創薬実証センター(創薬実証センター)に入居する県内中小企業に対し、バイオ医薬品の開発・製造に資する革新的技術の事業化に向けて、研究開発を行うための経費の一部を助成する。
○補助率:2/3、上限額:20,000千円、事業期間:24月以内
〇採択予定件数:2件
※創薬事業化プロジェクト支援補助金(20,000千円)は廃止
(2)創薬ベンチャースタートアップ支援事業【新規】 1,100千円
鳥取大学と連携して創薬ベンチャーの起業から事業化までをトータルサポートする支援チームを形成し、創薬ベンチャーの経営力強化のためにバイオフロンティアが実施する事業に係る経費を助成する。(マッチングファンド方式)
<事業の目的>
ア)創薬ベンチャーの創出及び創薬実証センターへの入居を促すことにより、県西部圏域へのバイオビジネス集積を目指す。
イ)創薬実証センター入居企業の経営安定及び創薬事業化に必要なプロセス(知財戦略、製薬会社とのマッチング、ライセンス契約交渉等)の強化を目指す。
ウ)創薬実証センターでの染色体工学技術活用を促進し、バイオフロンティア発シーズのビジネス利用を促進を目指す。
○支援チーム:鳥取大学(創薬実証センター・研究開発機構)、バイオフロンティア
※鳥取大学は上記目的を達成するために独自に取組を行い補助金額と同規模以上を負担する。
○補助対象経費:バイオフロンティアが実施する事業に係る経費
〇上限額:1,500千円(ただし鳥取大学負担額と同額までとする)
○補助先:鳥取県産業振興機構(バイオフロンティア指定管理者)
(3)染色体工学技術活用支援事業
・バイオ産業支援資金 1,170千円(1,170千円)
バイオ産業支援資金の金融機関への利子補給
新規: 1億円(融資限度額)×1.17%(利子補給率)×1件
・バイオ産業支援資金利子補助金 700千円(700千円)
バイオ産業支援資金を利用する認定事業者に対して、支払利息の一部を助成
新規分: 1億円(融資限度額)×0.7%(利子補助率)×1件
・とっとりバイオフロンティア施設利用料補助金 599千円(1,198千円)
認定事業者のバイオフロンティア施設利用料の一部を助成
新規分: 99,790円/月×12月×1/2(補助率)=598,740円/件
(4)審査会・外部審査経費 302千円(10千円)
〇バイオ創薬ビジネス創出支援補助金審査会
(報酬・費用弁償) 審査員5名分 292千円
〇認定事業者の認定に際し外部専門家から意見を徴収
(報償費) 9,200円×1人/日×1件
3 事業内容
(1)バイオ創薬ビジネス創出支援補助金
補助対象者 | バイオフロンティア及び創薬実証センターの入居企業 |
補助対象事業 | 革新的なバイオ医薬品の開発・製造に資する研究を行う事業 |
補助率・上限額 | 2/3 20,000千円 |
補助対象期間 | 24ヶ月以内 |
(2)創薬ベンチャースタートアップ支援事業補助金
補助対象者 | 鳥取県産業振興機構 |
補助対象事業 | 創薬ベンチャーの経営力強化のためにバイオフロンティアが実施する事業 |
上限額 | 1,100千円(ただし鳥取大学負担額と同額までとする) |
(3)バイオ産業支援資金
融資対象者 | 認定事業者 |
資金使途 | 運転資金・設備資金 |
償還期間
(据置期間) | 運転資金 10年以内(据置3年以内)
設備資金 15年以内(据置3年以内) |
融資限度額 | 1億円 |
融資利率 | 年1.43%(変動金利) |
保証料率 | 0.45〜1.08% |
(4)バイオ産業支援資金利子補助金
補助対象者 | バイオ産業支援資金を利用する認定事業者 |
補助対象経費 | バイオ産業支援資金の支払利息 |
補助率 | 年0.7% |
補助対象期間 | 60ヶ月以内 |
(5)とっとりバイオフロンティア施設利用料補助金
補助対象者 | バイオフロンティアを利用する認定事業者 |
補助対象経費 | 居室、実験室、動物飼育室の借室料 |
補助率 | 1/2 |
補助対象期間 | 36ヶ月以内 |
4 事業の背景
○本県では、「鳥取県経済再生成長戦略」の戦略的推進分野に位置づけ、バイオ関連産業の創出・集積を図っているところであり、また、「鳥取県元気づくり総合戦略」においても、創薬ビジネスの創出を目標に掲げている。
○世界の医薬品売上ランキングの上位の多くがバイオ医薬品であり、医薬品市場におけるバイオ医薬品が占める割合も年々高まっている。
○平成30年度にバイオフロンティア隣接地に創薬実証拠点「とっとり創薬実証センター」が整備され、医薬品開発シーズの実証、国内大手製薬企業との共同創薬等を展開しており、創薬ベンチャーの集積を目指す。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
○鳥取大学発の染色体工学技術等を活用した新しい製品、技術、サービスの開発及び事業化に取り組む県内中小企業等に対し、研究成果の実用化に向けた研究開発費等の助成、バイオフロンティア施設利用料の助成、低利での融資調達を実現するための助成等を実施。
○鳥取大学では、国の地域イノベーション戦略支援プログラムを活用して、染色体工学技術を核とした、医薬品開発に使われる細胞・マウスなどの創薬支援ツールの開発、バイオ医薬品の生産技術の開発、再生・遺伝子治療技術の開発などが行われている。
〇バイオフロンティア隣接地にとっとり創薬実証センターが整備され、バイオフロンティアでの研究成果を活用して創薬開発へ向かう事業者が出てきている。
これまでの取組に対する評価
〇創薬支援型ベンチャー企業等支援事業補助金により、抗体医薬品の生産性を向上させる技術や医薬品開発に使用される光る実験用マウス・細胞、ヒトの薬物反応を再現したモデルマウスなど、事業化に向けた研究開発、販路開拓が着実に進み、当事業により開発した光る実験用細胞等2製品が販売されている。
〇バイオフロンティア入居企業各社においては、バイオ関連企業との新たな共同開発の開始や業務提携による営業力の強化、ファンドからの出資などバイオ産業の創出・集積に向けた動きが活発化している。