1 事業概要
・建設産業は人口減少社会の中でもインフラ整備と機能確保により、他産業を含む地域経済を支えるとともに、県内GDP7.3%、県内就労者数7.7%を占める不可欠な産業である。
・他産業や他県よりも高齢化と労働力減少が進んでいる中、ICT等の先端技術活用や住民との協働を連動させ、建設分野の働き方改革を実現するとともに、産官学連携により担い手の確保・育成を図り、持続的に地域の発展を支える「鳥取型建設生産性体制」を構築する。
2 背景・課題
(1)ICTを活用した建設生産性の向上
・H28年度から進めてきた直轄工事のICT工事により、工事着手から完成まで作業時間で平均28%削減されており、本県が進める土工規模でも効果が見込まれる。
・しかし、県が実施する工事は、小規模かつ大量件数であることに加え、紙文書を主体とする業務体制となっているため、発注者は複雑かつ過密な業務を強いられているほか、受注者は現場管理に加え、多量の書類作成に追われている。
・このような中、受注者はICTを活用し、建機の半自動化運転、協議打合せや検査・納品の電子化等、業務改善に積極的に取り組んでいる。
・しかし、発注者は依然として独立分離した業務システムと紙書類を介した業務により、多量な時間外勤務となっている。
・H31年度には労働基準法が改正され、時間外労働時間の限度が罰則付きで設定される予定であり、働き方改革を実現した建設生産性向上においては、受発注者双方の業務効率化が不可欠である。
(2)維持管理の効率化
・高度経済成長期に集中的に整備された道路等の社会基盤が更新期を迎えているが、建設労働力が減少することにより、その機能を維持・確保するために行ってきた巡視・点検が難航することが予想される。
・このため、内閣府SIP開発による道路インフラ維持管理システムを河川海岸、砂防等の他インフラに拡張し、日常の巡視点検等の大量の情報を円滑に管理するとともに、住民と協働した巡視により、維持管理を効率化する必要がある。
・あわせて、施設完成時の構造、補修履歴、補修経費の蓄積と分析によるアセットマネジメントにより、将来の維持管理コスト縮減と平準化を図る必要がある。
(3)担い手の確保・育成
・産官学連携した協議会により、工業系の高校や大学の若者の意識を共有するとともに、先端技術を入れた働き方改革を進めながら、土木及び建築系の人材確保・育成を引き続き進めていく。
・さらに、すでに工業系高校のみでは不足している入職の実情をふまえ、今後の技術開発を担い、故郷でのものづくり意識の醸成を図るため、普通科や、機械・電気電子・情報科の高校への研修支援を拡大するとともに、小中学校への魅力発信を進め、子供の時からの意識醸成を図る。
・また、新規入職者に限定した座学研修等、既就労者への継続支援を、きめ細かく行っていく。
3 要求内容
平成31年度要求額 C=27,997(53,002)千円
(1)ICT活用による建設生産性向上
ICTを活用した工事と測量設計の試行拡大と、受発注者双方の業務効率の向上
項目 | H31要求額 |
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・効果分析委託 | 5,720(8,800)千円 |
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・タブレットシステム保守 | 1,287(4,620)千円 |
・工事施工管理図書の電子化
→公共事業(電算化運営費)に移行 | 0(1,692)千円 |
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・システム開発 | 50,000(22,000)千円
交付金事業(近未来)で要求 |
・積算基準書の端末連携
→公共事業(電算化運営費)に移行 | 0(8,600)千円 |
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・プロポーザル審査会 | 258(255千円) |
(2)維持管理の効率化
道路インフラ維持管理システムを他インフラへの拡張し、アセットマネジメント機能の追加
項目 | H31要求額 |
- 維持管理システム開発(アセットマネジメント機能追加含む)
| 107,041(0)千円
交付金事業(近未来)で要求 |
| 16,331(0)千円
交付金事業(近未来)で要求 |
| 6,697(0千円) |
| 5,035(1,912千円) |
(3)担い手の確保・育成円
鳥取県建設分野担い手確保・育成連携協議会の運営経費の支援(事務局:(公財)鳥取県建設技術センター)
項目 | H31要求額 |
- 協議会の運営(研修企画(研修企画、人材育成プログラム見直し)に係る事務局スタッフ1名配置
| 3,480(3,743千円) |
※ H29〜30は建設業振興基金財源4,000千 円も併せて運営 | 5,420(1,280千円) |
| 100(100千円) |