これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【「新甘泉等」特別対策事業、梨生産拡大事業】
・県園芸試験場が育成した「新甘泉」、「秋甘泉」は、品種登録出願の年から生産者への苗木供給を開始(H18〜新甘泉、H20〜秋甘泉)。
・平成20年度から、鳥取県内で育成された梨新品種の植栽や果樹園整備を支援する次世代鳥取梨産地育成事業を開始(H23〜次世代鳥取梨ブランド創出事業、H26〜鳥取梨生産振興事業)。
・鳥取県内で育成された梨新品種の中で、「新甘泉」が抜群の甘さで人気が高く、高単価で販売できていることから、産地振興の切り札として、平成25年度は「新甘泉」生産強化モデル支援事業を実施し、接ぎ木による生産拡大、苗木の確保、新しい梨栽培のスタイルを提案する「新甘泉」・「低コスト網掛け施設」・「ジョイント整枝」のニューモデル園を整備。
一方、低コストな網資材は、設置早々に破れた事例もあったことから、掛け方の工夫が必要となった。そこで、平成30年3月には、多目的防災網の導入の目安として、設置方法の工夫点も示した資料を作成し、生産者等に配付した。
・「新甘泉」を既に栽培している生産者は、同様の高糖度の赤梨で、「新甘泉」、「二十世紀梨」の後に収穫でき、自家和合性(交配作業が不要)の「秋甘泉」に注目しており、「新甘泉」と同様の支援を望んでいる。
【元気な鳥取梨産地復興・発展加速化事業】
・平成29年度からジョイント栽培専用大苗の安定供給のため、新規育苗業者の育成を実施し、平成30年秋から新規育苗業者から農業者への大苗供給が開始される。
【緊急価格安定対策事業】
・平成13年以降梨の価格下落が顕著化し、価格安定を図る取組として支援を開始。
・事業の変遷
H13〜17:二十世紀梨再生促進事業(流通販売体制整備事業)
H18〜20:二十世紀梨再生促進事業(内外流通促進対策)
H21〜23:食のみやこ鳥取梨流通対策事業
H24〜27:果実緊急価格安定対策事業
・H18から、販売単価が目標単価を上回った場合、生産者等負担金の10%以内を次年度向けとして基金に積立てるシステムを導入。
・H21から、低温貯蔵庫入出庫時の収支差補てんを実施(上限200円/10kg)、H24から上限単価を300円/kgへ引き上げ。
・H21から、関東出荷への運賃補てんは、京阪神出荷との差額から運賃そのものへの補てんへ拡充。
・H24から、下級品の海外販売が難しくなっているため、九州出荷する場合の運賃補てんを拡充。
・H26には、中華圏の中秋節が例年になく早く、大玉果がほとんど輸出できず国内価格の低下を招くことが懸念されたため、これらを進物向けに販路開拓するために要した費用への補助等を実施。
これまでの取組に対する評価
【「新甘泉等」特別対策事業、梨生産拡大事業】
・梨新品種の生産拡大を支援し、栽培面積は平成29年度末時点で「新甘泉」:約111ヘクタール、「秋甘泉」:約27ヘクタールまで順調に増えている。
・「新甘泉」は、平成29年産も527円/kg(市場+進物販売)(平成28年産519円/kg)と引き続き高単価で販売されており、生産拡大の機運も高まっている。(一方、市場販売+市場進物販売の二十世紀梨は約300〜350円)
・ニューモデル園については、「新甘泉」をジョイント整枝したことによって、作業性がよく、樹体は順調に収穫できる樹齢に達し、毎年収穫量が増えて高評価を得ている。
一方、低コスト網の資材は、破れが生じたという負の結果が口コミで広がり、軽量で作業性は良いという好評価があるものの、普及には至っていない。資材と設置方法の工夫を組み合わせた普及活動が必要な状況である。
【元気な鳥取梨産地復興・発展加速化事業】
・ジョイント栽培専用大苗を供給する新規育苗業者に対する農業者からの期待は高く、平成31年度は前年比112%程度の委託希望量がある。
【緊急価格安定対策事業】
・関西市場へ集中する梨の出荷を、H21からの関東出荷への運賃補てん事業を拡充し、関東市場向けの出荷量が確保できるようになり、需給調整と首都圏での本県梨PR、販路開拓にに役立っている。
・主要輸出先である台湾の輸出検疫が強化され、不合格時のリスクが増大しているが、検査不合格時の転送経費等への支援によりリスクを軽減することで、積極的な梨輸出が可能となっている。また、国内では好まれない大玉果実を輸出することで、国内の価格安定につながっている。