1 背景
鳥取県では、熊本地震や鳥取県中部地震を教訓に、平成29年度、集中型の物資集積拠点を設けるのではなく、民間のトラックターミナルや営業倉庫、JAグループの選果場等(一次物流拠点を利用すること)により物流に適した代替性も有する施設を関係団体との協定により確保した。
平成30年度には、市町村の備蓄倉庫の状況(進入可能なトラックの大きさの確認、トラックの進入ルートや施設での駐車位置の確認、倉庫内の保管状況等)を調査し台帳化するとともに、市町村備蓄倉庫や二次物流拠点(市町村)と一次物流拠点(県)や国や他県の支援拠点(ゼロ次拠点)の間において物資がスムースに流通するよう災対本部内に設置する物資支援グループや物流専門家の基本的な動きを整理した「災害時物流体制オペレーションマニュアル」(以下「オペレーションマニュアル」という。)を策定した。
2 事業の目的
平成30年度に作成したオペレーションマニュアルや平成30年11月に調査した岡山県北部の物流施設を本県マニュアルにどう関連づけるかについて、支援を受ける立場だけではなく南海トラフ地震の際には支援を行うという視点も持って検証・検討するために、物流関係団体、市町村、隣県、国、有識者等による「災害時物流確保対策検討会(仮)」を設置し、災害時の物流体制の確立を目指す。
併せて、オペレーションマニュアルに基づく第1回実動訓練(基幹編)を秋頃に行うことにより、オペレーションマニュアルにさらに改善を加えていく。
〇検証組織(予定)
トラック協会、倉庫協会、石油連盟、市町村代表、中国運輸局鳥取運輸支局、有識者(東京大学大学院情報学環・学際情報学府 総合防災情報研究センター特任教授(岡山県支援物資物流体制強化検討協議会幹事)
※オブザーバーして岡山県の参加を検討する
【参考】平成30年10月19日第11回鳥取・岡山両県知事会議関連部分抜粋
(平井知事)「(民間の)生きているところを流通させてトラックで運ぶやり方がよい。津山とか岡山県が中国地方の一大集積地になる。共同して広域的なプラットフォームができればと思う。岡山県の協力も得ながら、両県一体となった物流対策ができればありがたい。」
(伊原木知事)「県北が津波でやられることはない。今回ご提案いただいた広域物流体制については、中国地方知事会でどういうやり方が一番よいかという話し合いを続けたい」
3 事業概要
〇オペレーションマニュアルによる簡易な実働訓練、オペレーションマニュアルの検証・修正
〇岡山県北部の施設をどのようにオペレーションマニュアルに位置づけるか、岡山県と調整
4 所要経費
(1)「災害時物流確保対策検討会(仮)」の開催
○有識者招へい(東京)
謝金@18千円×1人×3回=54千円
(6,000円×3時間・・会議2時間、打ち合わせ1時間)
旅費@54千円×1人×3回=162千円
○検討メンバーの招へい
謝金@111千円×3回=333千円
旅費@58千円×3回=174千円
(2)第1回災害時物流実動訓練
〇トラック協会へ連携して実施 1,000千円
・トラックステーションの一部を半日利用 2カ所
使用料、物流専門家等人件費11人 半日
・二次拠点、避難所への物資輸送トラック借り上げ 2台
・ダミー支援物資準備 等
5 次年度以降のスケジュール
○令和2年度:県外物流拠点の指定(岡山県と連携)、マニュアルへの位置づけ、県外拠点も含めた訓練の実施
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【平成29年度】
・物流拠点となる施設を指定
・災害時物流の基本計画骨子を決定
・県トラック協会および県倉庫協会と災害時物流に係る三者協定締結
【平成30年度】
・災害時物流オペレーションマニュアルを策定
・県外ゼロ次拠点の調査(岡山県と調整)
これまでの取組に対する評価
平成29年度以降、熊本地震を踏まえた一極集中型の広域防災拠点計画から複数・分散型の拠点整備に方針を変更し、体制を整備してきたところ。
災害時物流においては、関係団体との災害時応援協定の締結をはじめ、民間物流施設を利用した体制確保、そのオペレーションマニュアルの策定など基本的な体制整備を完了することができた。