1 事業内容
災害時等において、県内機関や市町村、消防局、国等と情報伝達・収集を行うための通信手段である防災行政無線のうち、一斉指令システム、電話交換機系機器等が運用開始から13年が経過して耐用年数が過ぎ、年々保守部品の入手が困難になり、故障時の復旧にも時間を要する状況となっている。
一斉指令システムは、気象情報や地震・津波情報等を迅速に市町村等へ伝達するシステムであり、また、電話交換機系機器は関係機関との通信手段を確保する上で中枢となる機器である。
地震や集中豪雨等の自然災害が多発する中で、今後も引き続き災害時の情報伝達手段を確保し、迅速・的確な災害対応を実施するため、老朽化した一斉指令システム等を更新する。
なお、平成30年度は業者委託により実施設計を行っている。
また、防災行政無線網を構成するネットワーク機器のうち無線中継局1局の基幹スイッチが平成30年6月に老朽化により故障し、当該中継局が数日間通信不能となった。この基幹スイッチは中継局のほか、県庁や総合事務所に計15台設置してあり、運用開始から5年以上経過しているため、本事業に併せて更新する。
2 必要経費
平成31〜32年度(継続費)
(1)一斉指令システム、電話交換機等更新
(2)(1)に伴う既設機器改修及び基幹スイッチ更新
委託料 56,161千円
総額 882,233千円
財源には緊急防災・減災事業債を活用
充当率100%(うち交付税措置率70%)
<年割>
| 工事請負費 | 委託料 | 計 | 備考 |
H31 | 330,429 | − | 330,429 | 前払金4割 |
H32 | 495,643 | 56,161 | 551,804 | |
計 | 826,072 | 56,161 | 882,233 | |
<参考>
第2期 衛星系通信機器更新事業
次世代システム導入の動向により、今後スケジュール及び
事業費を決定していく。
現時点での見通しは以下のとおり。
平成34年度
平成35〜36年度
整備工事費 533,077千円
工事監理費 9,140千円
3 現状の問題点及び効果
衛星系防災行政無線の導入に併せて平成16〜17年度に運用開始した一斉指令システム、電話交換機系機器は、耐用年数が経過してメーカーサポートが終了し、故障時に部品や代替品の調達が困難な状況となっている。
特に、一斉指令システムに使用されているサーバーは、ハードに加えてソフト(OS:オペレーティングシステム)もメーカーサポートが終了しており、故障箇所によっては修理・代替えが不可能な状況にある。最悪の場合、一斉指令機能が使えなくなり、災害時の情報伝達に重大な支障を来すことになる。
また、ネットワーク機器のうち基幹スイッチは、地上系多重無線及び情報ハイウェイを経由する通信において、各局(県庁、総合事務所、無線中継局)の玄関口の役割を果たす機器である。万一、この基幹スイッチが故障するとヘリテレ映像や河川テレメータデータ等地上系無線網を利用する通信が機能しなくなる。
今回これらの機器を更新することで、防災行政無線による情報伝達手段を常時正常な状態に維持することが可能となり、気象業務法等の規定による市町村等への情報伝達を確実に行うことが可能となる。また、防災行政無線回線を利用した通信手段を常時確保することができる。
(注)メーカーサポートとは、機器メーカーが補修部品を保有している状態をいう。
4 関連機器の更新計画
一斉指令システム等と同時期に整備した衛星系通信機器もすでに耐用年数が過ぎ、故障対応に苦慮しているところであり、機器を更新したいところではあるが、地域衛星通信ネットワークの運用元である(一財)自治体衛星通信機構が、次世代システム導入に向けて仕様検討を進めており、平成34年度に運用開始を予定している。
次世代システム(第3世代)の運用開始前に、現在の機器を第2世代システムに更新することは得策ではないため、衛星系通信機器は次世代システムの運用開始を待って更新することとする。
一斉指令システム等の更新においては、次世代システムへの更新後も継続して使用可能となるよう機器構成・仕様を決定していく。