1 調整要求理由
【財政課査定コメント】
社会生活自立支援センターの運営委託については、国庫委託予定額の範囲内で実施してくださるとともに、国の財源措置が拡充されるよう国に強く要望してください。
【調整要求理由】
社会生活自立支援センターには、相談支援員が国庫委託予定額の範囲内では1人しか確保できていない。国へは再三にわたり要望しているところであるが、財源措置の見込みが薄いため、当初要求どおり一般財源を再度要求するもの。
2 調整要求額
(単位:千円)
項目 | 一般段階 | 調整 |
要求額 | 査定額 | 要求額 |
社会生活自立支援センター運営費(委託費) | 11,264千円
うち国庫7,450
県費3,814 | | |
鳥取県再犯防止推進会議開催費(報償費・旅費) | | | |
合 計 | 11,514千円
うち国庫7,700
県費3,814 | | |
3 調整要求の背景
○平成28年12月に「再犯の防止等の推進に関する法律」が成立・施行され、平成29年12月に「再犯防止推進計画」を閣議決定された。鳥取県においても平成30年4月に「鳥取県再犯防止推進計画」を策定し、6月から鳥取県社会生活自立支援センターを設置している。
(1)対象者
・起訴猶予者(平成29年)
709名 ※出典:検察統計統計表(法務省)
・執行猶予者(平成27年)
34名 ※出典:過去5年間の保護観察件数の推移(鳥取保護観察所)
・罰金・科料者(平成29年)
1,210名 ※出典:検察統計統計表(法務省)
・仮釈放者、満期釈放者(平成28年)
250名 ※出典:受刑者統計資料(鳥取刑務所)
計2,203名
(2)対象者のうち国の司法関係機関からの依頼人数
・起訴猶予者
113名
・執行猶予者
5名
・罰金・科料者
192名
・仮釈放者、満期釈放者(地域生活定着支援センター分7名除く)
40名
計350名
(3)鳥取県社会生活自立支援センターの実績
対応実人数:23名(平成30年12月末時点)
(延べ実動数:月平均283件(平成30年7〜12月平均))
対応事例:病院の医療ソーシャルワーカー、地域包括支援センター、障がい者・高齢者分野の各事業所へのつなぎ、あんしん賃貸支援事業による住居確保、生活保護制度、成年後見制度の活用、更生支援計画や上申書の裁判所への提出等
【支援例】
担当弁護人より、対象者がホームレス状態であり、住居の確保等生活を整える必要性があるとして依頼を受ける。
本人との面会後、親族からの聞き取り、市町村のケースワーカー、養護老人ホーム、地域包括支援センターとの調整、日常生活自立支援事業の活用の検討等を行う。また、ケア会議(検察庁、弁護人、市町村のケースワーカー、当センターが参加)を開催する。以上の調整をもとに更生支援計画書を裁判所に提出し、懲役刑等ではなく罰金刑となる。
裁判終了後は、養護老人ホームに短期入所し、その後市町村が委託運営する生活支援ハウス(低所得高齢者支援施設)に入所している。また、鳥取県社会福祉福祉協議会における日常的な金銭管理への支援については引き続き利用を検討中。
(4)相談支援員が最低2名必要な理由
・1名体制では対応できる対象者数が著しく少なくなってしまう。
※同行支援中は新たな案件の相談に対応できない。(一人だと事務所を不在にしている時に新たな相談を受け付けることができないなど、極めて効率が悪い)
・同行支援はマンツーマンのため、1件落着後のフォローができていない 。
※支援対象者に寄り添うきめ細やかな伴走型支援が重要であり、現時点では一定の成果が出ているものの(支援継続中の対象者に再犯者は出ていない)、支援内容は手続き(生活保護の利用申請、住民票・障がい者手帳取得等)や通院の同行など多岐にわたり、業務量が多いため、生活定着などの事後のフォローができていない。
・起訴猶予、執行猶予等のためには勾留期間(10日)のうちに支援体制の見通しを立てる必要があり、相談支援員が他の案件に係っている場合などは対応できない。
・不十分な対応を長期に渡り実施することによる信用問題。
※更生支援計画で予定したフォローアップが実行していないとなれば、裁判所や弁護人をはじめ司法関係機関からの信用を失うことになる。
※給産会からは、すでに社会生活自立支援センターのオーバーワークを心配する声が挙がっている。
(5)モデル事業に係る国庫の推移及びH33年度以降の見通し
【国要望額及び国内示額】
年度 | 国要望額 | 国内示額 |
30 | 9,225千円
うちセンター運営費 9,000千円
推進会議費 225千円 | 5,130千円 |
31 | 11,514千円
うちセンター運営費11,264千円
推進会議費 250千円 | 7,700千円 |
32 | 11,514千円
うちセンター運営費11,264千円
推進会議費 250千円 | 4,400千円 |
※モデル事業に応募した他県や他県市町村からも、内示額の範囲内では
事業実施が困難であるという話が複数あり。
〇国に対しては、機会を捉えて個別に要望を行っているが、現時点で認められていない状況。
○当該事業は地方にも役割分担が求められているものの、国の司法制度の一環により発生している事業であるため、モデル事業の実施結果も踏まえ、H33年度以降も引き続き財源措置を行うよう国へ要望していく。
(参考)各センターの財源措置状況
・地域生活定着支援センター 国3/4 県1/4
・権利擁護支援センター 国1/2 県1/2
4 事業内容(社会生活自立支援センター運営部分)
事業委託先に相談支援員を配置(2名)し、個別支援検討チーム会議の開催、福祉サービスへのつなぎ、手続等の同行支援等を行う社会生活自立支援センターを運営する。
名称 | 鳥取県社会生活自立支援センター |
運営主体 | 一般社団法人とっとり東部権利擁護支援センター
(代表理事 寺垣琢生) |
職員 | 相談員2名 |
対象者 | 起訴猶予者、執行猶予者、罰金・科料を受けた者、非行少年(犯罪少年・触法少年・ぐ犯少年(家庭裁判所の審判において非行事実が認定された者))のうち、身寄りのない者、住居のない者、就労・就学先のない者等支援が必要な者。(=地域生活定着支援センターの対象外となる者) |
業務内容 | 〇対象者の福祉サービス等に係るニーズ確認
〇更生計画の作成
〇受入先施設等のあっせん
〇福祉サービス等に係る申請支援等の実施
〇調整後の必要なフォローアップ
〇犯罪をした者や関係者からの相談支援 等 |