事業概要
モンゴル中央県との協力関係を発展させるため、引き続き農業・医療分野で農業技術研修員の受入、農業専門家の派遣、医療専門家の派遣を実施する。また、行政分野においても引き続き修生の受入を実施する。
また、両県の交流を次世代に繋ぐため、引き続き中央県からの留学生支援鳥取県奨学金及び青少年交流事業を実施する。
事業の目的・背景
●本県とモンゴル中央県は1997年の友好交流関係を構築して以来、農業・行政分野を中心に交流を進めている。
●2007年の友好交流10周年に締結された覚書では、農業技術交流や行政実務研修生の受入を今後も継続するとともに、新たに医療交流や実務レベルの協議会を開催することで合意。
●この覚書に基づき、農業研修員、行政実務研修生の受入及び農業専門家、医療専門家の派遣を行っている。
●2013年10月の北東アジア地方政府間サミットで行われた二地域間会談において、両県の交流を担う人材育成の必要性について一致し、翌2014年に中央県出身者を県内大学で受け入れる奨学金制度を創設。
●2016年から日本語を学習しているモンゴル中央県の学生と鳥取県の学生との青少年交流を開始。2019年は本県の学生を派遣予定。
事業内容
(1)医療専門家派遣 510千円(449千円)
これまで中央県で実施した本県の医療交流事業は、現地において高く評価されている。来年度は、モンゴルにおいて発展途上にあり、かつ、中央県側のニーズの高い母子医療分野等での交流を引き続き検討する。
派遣時期 | 8月下旬(1週間程度) |
派遣人員 | 医療関係者等2名 |
経費負担 | 〔渡航費、滞在費〕鳥取県負担 |
予算 | 特別旅費 |
(2)農業研修員受入 280千円(281千円)
●農業研修員受入
モンゴル中央県から農業指導者の公務員や農業分野で活躍が見込まれる農家等を受け入れ、野菜の生産技術の更なる向上を図る研修を行うほか、本県の農業施策や効率的な指導方法を習得させる。
受入時期 | 9月〜11月(2ヶ月程度) |
受入人員 | 1人(既に基礎知識・技術を習得している者) |
経費負担 | 〔渡航費〕中央県負担
〔県内滞在費、研修費〕鳥取県負担 |
予算 | 特別旅費、負担金、補助及び交付金 |
(3)農業専門家派遣
園芸試験場、農業改良普及所等の専門家を中央県に派遣し、研修員とともに農業指導講習会を開催し、中央県の農業レベルの底上げ、鳥取県の知名度向上を図るとともに、研修員が指導者として自立できるよう支援する。
※派遣事業は隔年実施。前回は29年度に派遣。
派遣時期 | 8月上旬(1週間程度) |
派遣人員 | 農業専門家1名 |
経費負担 | 〔渡航費、滞在費〕鳥取県負担 |
予算 | 標準事務費 |
(4)行政実務研修生受入
モンゴル中央県、市町村の行政職員を受け入れ、本県の行政制度等の研修を通じて、行政資質向上を図るとともに、本県との交流において中心的な役割を担う人材の育成を図る。
受入時期 | 2月中旬(1週間程度) |
受入人員 | 3名 |
経費負担 | 〔渡航費〕中央県負担
〔県内滞在費〕鳥取県負担 |
予算 | 標準事務費 |
(5)留学生支援鳥取県奨学金 1,940千円(2,239千円)
将来、鳥取県のパートナーとなり、両地域間の交流のコーディネーターとなりうる中央県出身の優秀な若者に対して奨学金を給付する。
受入時期 | 4月〜3月(1年ごとに要求) |
受入人員 | 1名 |
経費負担 | 〔学費、生活費〕鳥取県負担
※日本政府(文部科学省)奨学金留学生(学部生)と同額 |
予算 | 負担金、補助及び交付金 |
(6)青少年派遣 1,601千円(511千円)
平成28年度から実施。鳥取県内の高校生を中央県へ派遣し、現地高校の日本語履修生等との交流、ホームステイ体験、モンゴル文化の体験などを行い、中央県との交流を推進する(受入と派遣を隔年で実施)。
※28年度に受入(511千円)、29年度は20周年記念事業として派遣(1,927千円)、30年度は受入(511千円)
派遣時期 | 7月中旬頃 |
派遣人員 | 7名(学生6名+引率1名) |
経費負担 | 〔渡航費、滞在費〕鳥取県負担
〔現地移動、交流経費等〕中央県負担 |
予算 | 特別旅費 |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
・1995年からこれまで、主に農業分野で計25人の技術研修員を受け入れた(2008年から研修期間を半年から2ヶ月間に変更)。
・2001から2015年度まで毎年1週間程度1〜2名の農業専門家を派遣し、現地で講習会や技術指導等を実施。これまで延べ18名を派遣(2017年度から隔年実施に変更)。
・1997年から行政実務研修生の受入を開始し、これまで64名の研修生を受け入れ、税務、法務、登録制度、医療といった様々な分野で研修を実施。
・2013年10月の北東アジア地方政府間サミットの際に行った二地域間会談において、両県の交流を担う人材育成の必要性について一致し、2014年に中央県出身者を県内大学に受け入れる奨学金制度を創設。
・2016年から青少年の相互派遣事業を開始しており、今年7月には、約3週間の日程でフムーン総合学校の日本語を学習している小学生から高校生までの6名を受入れ、学校体験、日本語学習、ホームステイ等を実施(鳥取県モンゴル中央県親善協会に委託)。
・友好交流10周年の際、新たに医療分野を加えた覚書に署名し、これまでJICAの「草の根技術協力事業」や県単独事業等で医療専門家の派遣や研修員の受入れを実施。これまでに医療専門家を延べ15名派遣し、医療研修員を延べ13名受け入れた。
これまでの取組に対する評価
・過去の農業研修員の多くは、鳥取での研修成果を活かして地域の指導的立場で農業発展に奮闘するとともに、鳥取県とのパイプ役としても活躍している。研修で得た技術・知識を活かし、実際に現地で大規模なハウス農場の管理をされている農業研修生もいる。
・行政研修生受入は、中央県の行政力向上に寄与するとともに、鳥取県への理解の促進、人的ネットワークの形成、更なる友好関係の構築に寄与している。近年では、医療分野の研修生も受け入れており、医療技術向上等に繋がっている。
・2014年から奨学金制度により受け入れた中央県出身の留学生は、本年4月から2人目の県費留学生となり、現在鳥取大学地域学部に留学中。2人目の留学生は、精力的に日本語学習に励むとともに、医療専門家派遣時の随行業務等をこなすなど、両県の交流の架け橋として活躍している。
・青少年交流は、中央県で日本語を学んでいる学生の日本文化の理解や学習意欲の向上、本県学生のモンゴル文化の理解、国際感覚の醸成等に繋がっている。
・医療交流は、医療専門家の派遣による講習会の実施や医療研修員の受入れによる指導により、例えば周産期医療の分野について、事業後、母子の死亡率が大幅に減少し、件数が例年と比べて21件減少するなど、中央県での医療環境向上に役立っており、大きな成果が生まれている。