1 背景・現状
○背景
平成24年1月に鳥取県及び鳥取市で策定した「湖山池将来ビジョン」に基づき同年3月12日より湖山水門を開放し、汽水湖としての再生を目指している。
しかしながら、水門を開放した平成24年度は7500mg/L、平成25年度には8,500mg/Lまで塩分濃度が上昇した。また、貧酸素により魚が大量斃死するなど、将来ビジョンに掲げる目標塩分濃度2,000mg/L〜5,000mg/L)管理や貧酸素への対応を求められている。
○現状
平成25年12月から舟通水門に切欠(逆流時の海水流入を調整するための小窓6穴)を施し、開度を調整することにより、平成26〜28年度には目標塩分濃度範囲内で管理することができた。
しかしながら、夏場には、潮位が高くなるとともに貧酸素になりやすく、塩分濃度が急上昇するなど現構造による限界がある。また、昭和38年に整備されてから52年が経過し老朽化が進んでいる。
このため、平成28年度に交付金事業(特定構造物改築事業)により、施設更新と併せてより塩分濃度、溶存酸素を調整しやすい構造へ改築を行い、平成29年5月から改築された水門の本格運用を開始しているところである。これにより、夏場の急激な塩分上昇を抑えることができ、平成29年度においても目標塩分濃度範囲内で管理することができた。
*現在の青島大橋の塩分濃度(10月10日) 2,503mg/L
2 問題点及び課題
1 湖山水門操作について
将来ビジョンに掲げる目標塩分濃度管理と溶存酸素確保のため、引き続ききめ細やかな水門操作を行う必要がある。
2 砂丘畑農業用水対策について
湖東大浜土地改良区砂丘畑は、高塩分化により直接湖山池から取水できないことから、農業用水再編対策事業(H23〜H30)を実施しているところである。送水施設については、平成26年度に概ね完了しており、管理者に引き継ぐための試験運用を行っているところである。
3 要求理由
1 湖山水門操作費
湖山池の塩分濃度管理と溶存酸素確保のため、きめ細やかな水門操作を継続する。
2 砂丘畑用水対策費
湖東大浜土地改良区砂丘畑への農業用水を確保するための新しい送水システムの試験運用を行う。
4 要求内訳
要求額 17,850千円
1 湖山水門操作費
・湖山水門操作委託費 10,120千円
・受信システム使用料 130千円
2 砂丘畑用水対策費
・送水委託費 5,907千円
・ため池維持管理費 1,693千円
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
鳥取県と鳥取市は、湖山池の水質環境改善を目的に、湖山水門を開放し、汽水湖化による水質改善を行っているところである。
汽水湖化に伴う塩分濃度の目標値を概ね2,000mg〜5,000mgの範囲と定め、湖山水門で昼夜管理しているところ。また、水質状況についても目標値をCOD5.5以下と定め取組を行っているところである。
これまでの取組に対する評価
汽水湖化に伴う塩分濃度については、昼夜の湖山水門操作・管理により平成26〜29年度まで目標値の範囲内で管理することができた。(塩分濃度(max値):H26-4110mg,H27-5070mg,H28-4849mg,
H29-3955mg)
また、水質状況についても改善傾向で推移しているところあり、取組結果が水質改善に大きく寄与している。引き続き水質改善に伴う取組に努めていく。(COD値:H26-7.0,H27-5.7,H28-5.5,H29-5.1)