1 目的・背景
近年、県内で制作される焼き物や木工品などの民芸品については、首都圏での催しが増加し、「用の美」の理念を受け継ぐ素朴なデザインと実用性、入手困難な希少性もあって高い評価を受けている。
- 生活の中に民芸の美を取り入れる「新作民藝」は、1931年、鳥取市の民芸運動家 吉田璋也が民藝の父・柳宗悦を鳥取に招き牛ノ戸焼の創作に関わったことに始まり、同年「鳥取民藝会」を設立し、吉田は日本初の新作民藝プロデューサーとなった。
- 県内の有形文化財(建造物)や古民家における民藝作品の展示や聖地巡りツアー等によって、鳥取の風土・文化財・食をはじめ文化的魅力を丸ごと発信し、地域の魅力を高めることを目的とする。
- 2020年には鳥取から始まった「新作民藝運動」が90年目を迎えることから、節目の年に向けて、とっとりの民藝の「用の美」の魅力を国内外に向けて発信する。
※新作民藝とは・・・吉田璋也らがデザインした従来の伝統的技法を用いながら現代の生活に用いる食器、家具、ファッションなどの工芸品。
2 事業概要
とっとりの民藝の文化的背景を踏まえ、本県の民藝作品と歴史的建造物(文化財等)との組合せにより文化資源としての新たな魅力を創出するとともに、吉田璋也ゆかりの地や工房を巡るツアーなどを行い、国内のみならず海外にもその魅力を発信し、地域の魅力を高める。
※本事業は、文化庁の「日本博を契機とする文化資源コンテンツ創成事業(文化資源活用推進事業)」(国1/2:インバウンドの拡大(多言語対応)等が要件)に採択された「未来へつなぐ!とっとり文化遺産魅力創造発信事業「とっとり博」」の一部として実施。
3 事業内容
(1)とっとり民藝展(3,660千円)
県内の有形文化財(建造物)や古民家を活用した展示スペースで展示を行い、鳥取の風土が生み出した美しい民藝品の魅力を文化遺産の魅力とともに発信する。
【時期】10〜11月頃
【展示場所】6箇所(鳥取(2箇所)、倉吉、米子、岩美、大山)
【期間】各会場1ヶ月程度
【来場目標者数】5,000人
【期待できる効果】
有形文化財(建造物)や古民家に展示することにより、とっとりの民藝の魅力を来場者に知っていただくことができる。
(2)民藝の聖地巡りツアー(1,428千円)
著名な講師の案内により、とっとりの民藝の聖地や作家の創作場所等を巡り、見学及び作家との交流を図る。
【時期】 10〜11月頃(とっとり民藝展開催中に実施)
【コース】 3コース
・コース1:鳥取民藝美術館や東部の窯元を巡るコース
・コース2:山根和紙資料館など因州和紙の里や中部の窯元を巡るコース
・コース3:アジア博物館や弓浜絣の工房などを巡るコース
【対象者数】各コース40人
【期待できる効果】
講師とともに巡ったり、普段はできない体験をしたりすることで、とっとりの民藝の魅力をより深く知ってもらうことができる。
雑誌記者などに取材してもらい、発信力のあるメディアによって情報発信してもらうとともに、旅行業者にツアーメニューとして検討してもらうことも期待できる。
(3)「とっとりの民藝」パンフレット作成(1,320千円)
「とっとりの民藝」を紹介する日本語パンフレットを作成するほか、多言語対応(英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語)のパンフレットを制作し、インバウンド観光の拡大を図る。
【部数】 日本語1,800部、外国語各300部(計3,000部)
【配布】 とっとり民藝展の各会場でアンケート回答者に配布するほか、ポータルサイトでPDFデータを公開
【期待できる効果】
パンフレットは、現地を訪れないと入手できないプレミアム感を演出し、「とっとり民藝展」来場のきっかけとなる。また、PDFデータを公開することで、県外・国外に対して「とっとりの民藝」の魅力を発信できる。