1 事業実施の背景
平成30年7月豪雨では、鳥取県でも初めて1市9町に大雨特別警報が発表されるとともに、多くの市町村で発令された避難勧告等により、2,000人を超える住民の方が避難をされた。その一方で、避難勧告等の対象人数に対する避難者数は1%弱であり、避難されない方が多かったのが実態である。
岡山県の検証によれば、甚大な被害が発生した倉敷市真備町では、65歳以上の高齢者が災害関連死を除く死者全体(51人)の88.2%(45人)に及び、86.3%(44人)が自宅で亡くなっている。
また、倉敷市全体では要介護者が死者全体(52人)の36.5%(19人)、身体障がい者は23.1%(12人)に及び、要配慮者の避難対策を充実させることは急務となっている。
2 事業の目的
本県の検証では、要配慮者をはじめ多くの住民にとって、避難所の環境が十分整っていない(福祉避難スペースの確保、プライバシーの確保ができていない等)ことが住民の避難行動を躊躇させる要因の一つとして挙げられており、県と市町村による連携のもと、避難所環境の整備を推進する必要がある。
このため、特に災害時において弱い立場となりやすい要配慮者(高齢者、障がい者等)に対し、指定避難所における福祉避難スペースの環境整備や機能向上を促進することで、適切避難しやすい環境を整え、一人の犠牲者も出さない避難体制を構築する。
3 事業内容
指定避難所での福祉スペース確保など要配慮者に対応するために必要な資機材の整備について補助する。
※「鳥取県防災・危機管理交付金」の対象にもなるが、要配慮者をはじめ多くの住民にとって安全・安心に過ごすことのできる避難所の生活環境の整備は、住民の主体的な避難行動を促進するために急務であることから、当該交付金とは別に市町村への支援制度を設ける。
4 所要経費
(1)補助対象者 | 市町村 |
(2)補助率 | 2分の1 |
(3)補助額の上限 | 1ヶ所あたり 150千円
(事業費300千円×1/2) |
(4)対象経費 | ア)指定避難所において、福祉避難スペースの確保など、要配慮者に配慮した生活環境を整えるための資機材の購入経費。
(例:避難所開設キット、多目的簡易テント、簡易エアーマット、情報伝達器具(筆談セット、絵カードなど)段差解消スロープ、歩行器など)
イ)避難支援に必要な資機材の購入経費。
(例:ヘルメット、折り畳みリヤカーなど) |
(5)調整要求内容 | 当初予算額 0千円
6月補正要求一般段階査定額 2,850千円
調整要求額 2,100千円
合計 4,950千円 |
※補助率は、「福祉避難所事前配置資機材整備事業」と同様とする。
5 算出根拠
避難の実状を勘案し、一定の地域ごとにモデル的な避難所を整備することが急務と考えられるため、合併前の市町村区分を基本とし、
・合併前の町村について、各町村ごとに1箇所整備する。
(35町村×1箇所=35箇所)
・合併前の市の区域については、指定避難所となっている小中学校が、ある程度以上の規模の避難所となることから、その数とした。
(4市:計64箇所)
99箇所(35箇所+64箇所)の避難所を3箇年で整備することを想定し、1年あたり33箇所を見込む。
@150千円×33ヶ所 =4,950千円
※今年度は、今後市町村の補正予算要求が必要であることから、3箇年を目途に継続して実施することで、市町村の計画的な避難所の整備を促すとともに、令和2年度、3年度について、当初予算で要求することにより市町村も当初の予算措置対応が可能とする。