1 概要
市町村は国民健康保険の保険者として医療給付を担いながら、医療費の適正化により国民健康保険財政の安定と保険料の抑制をはかるため、市町村ごとに被保険者の特性等に応じた保健事業を実施している。
平成30年度から、県は市町村とともに保険者となり、一保険者として以下の取組を実施し、医療費の適正化に繋げる。
(1)市町村が実施する保健事業の更なる推進に資する基盤整備
(2)市町村の現状把握・分析
2 要求額
15,700千円 (財源:国保財政調整交付金、繰入金)
※助成率 10/10 (国保被保険者対象分のみ)
3 事業内容
平成31年度においても引き続き市町村保健事業の支援を行うため、30年度の取組を継続・拡充する以下の取組を行う。
(1)市町村が実施する保健事業の更なる推進に資する基盤整備
ア 鳥取県健診受診勧奨センターの運営
鳥取県健診受診勧奨センター事業【9,471千円(8,860千円)】 |
市町村国保は特定健診の実施率が他の保険者と比べて低いことから、特定健診等未受診者に対する個別勧奨業務(コールセンター)を行う「鳥取県健診受診勧奨センター」を平成30年度に設置した。その運営を行い、引き続き受診率の向上を図り、被保険者の健康増進と医療費の適正化に繋げる。
〇実施方法:委託
〇対象市町村:12市町村(国保被保険者対象)
〇勧奨対象:特定健診等
(参考)平成28年特定健診実施率・未受診者数県
区分 | 市町村国保 | 協会けんぽ | 公立共済 | 警察共済 | 地方共済 |
A)特定健診対象者数 | 93460 | 87916 | 5300 | 944 | 3289 |
B)受診者数 | 29415 | 44548 | 4525 | 786 | 2816 |
C)特定健診実施率(B/A) (%) | 31.5 | 50.7 | 85.4 | 83.3 | 85.6 |
D)未受診者数(A-B) | 64035 | 43368 | 775 | 158 | 473 |
健康政策課調べ 〇その他
平成30年度にプロポーザルを実施し、モデル事業として県内3町で事業を開始した。市町村が行うべき受診勧奨に係る経費については、県と市町村で負担している。、実施状況を踏まえた上で、市町村の負担や他の保険者への拡大等を検討する。 |
イ 市町村が行う各種保健事業の支援
専門家の派遣等による市町村保健事業への支援【634千円(400千円)】 |
市町村が実施する保健事業が適切かつ効果的に実施できるよう、専門家を派遣し、技術的な助言、人材育成等を行う。
○派遣する専門家(想定)
・医師(分析を専門とするドクター)
・保健師(行政経験に加え、専門的なスキルを有する保健師)
○実施内容
支援を希望する市町村の保健事業に関する助言等の支援 |
ウ 市町村担当職員の人材育成
特定健診・特定保健指導従事者研修会【392千円(378千円)】 |
県全体の保健指導レベルの向上を図るため、市町村、医療保険者等の特定健康診査・特定保健指導に携わる従事者の人材育成研修会を実施する。
〇実施主体:県
〇対象:市町村保健師、管理栄養士、医師、看護師等
〇研修内容:効果的な保健指導の実践(講義及び演習)
〇実施回数:年2回 |
エ (新)糖尿病性腎症重症化予防推進事業
平成30年度に策定する「鳥取県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」に基づく取り組みを推進するため、保健指導に関する実施支援を行う。
(ア)(新)保健指導従事者研修会【0千円(0千円)】 |
糖尿病性腎症重症化予防に係る保健指導に関する知識及び技術の取得・向上を図るため、保健指導に携わる専門職等を対象とする研修会を実施する。
〇実施主体:県
〇対象:市町村保健師、管理栄養士等
〇研修内容:効果的な保健指導の実践(講義及び演習)
〇実施回数:年2回程度
※平成31年度は、(オ)の「CKD対策研修会」で糖尿病性腎症に特化した研修を行うので、重複を避けるためこれに代替する。 |
(イ)(新)保健指導への専門家派遣事業【1,888千円(0千円)】 |
栄養士や看護師等の専門職を派遣し、市町村が行う保健指導等の実施を支援する。
○派遣する専門家(想定)
栄養士、看護師等(糖尿病療養指導等のスキルを有する者等)
○実施内容
派遣を希望する市町村の被保険者である指導対象者に対する保健指導の実施、技術的な助言や人材育成等 |
(ウ)(新)県糖尿病療養指導士資格取得支援【45千円(0千円)】 |
県として県内の糖尿病性腎症重症化予防の取り組みを推進するため、保健指導を実施する専門職を早急に養成することを目指して、市町村の専門職(保健師等)が「鳥取県糖尿病療養指導士」の育成を目的として実施される講習会を受講する際の受講料を負担する。
〇実施主体:県
〇対象者:市町村の専門職(保健師、管理栄養士等)
○対象人数:5名
〇負担割合:受講料10/10(受講料9,000円/人以外の経費は負担対象外) |
オ (新)CKD(慢性腎臓病)対策研修会
(新)CKD(慢性腎臓病)対策研修会【286千円(0千円)】 |
県全体の保健指導レベルの向上を図るため、市町村、医療保険者等の特定健康診査・特定保健指導に携わる従事者の人材育成研修会を実施する。
〇実施主体:県
〇対象:市町村保健師、管理栄養士、医師、看護師等
〇研修内容:効果的な保健指導の実践(講義及び演習)
〇実施回数:年2回 |
(2)市町村の現状把握・分析
市町村の現状把握・分析 【2,984千円(2,000千円)】 |
国保連合会が保有する健診、医療、介護の情報を活用し、統計情報等を保険者に向け情報提供することで、保険者の効率的かつ効果的な保健事業の実施をサポートすることを目的として構築された国保データベースシステム(KDB)を活用した市町村の医療費等のデータ分析を行う。
また、医療費の調査分析等のための人材育成を行うため、データ分析の研修会を行う。この研修は、国保保険者以外も対象とする。
※国庫は国保対象に限定されているため、国保保険者以外も対象とする研修の経費については按分が必要となる。
→被保険者数按分で700千円の繰入となる。
〇実施方法:委託 |
(廃止等)
○市町村が行う保健指導の支援⇒上記(イ)に統合
保健指導支援事業【0円(3,112千円)】 |
県に専門職(保健師)を配置し、市町村が実施する保健指導等に対する助言や人的サポートを実施する。
〇配置人数:1名(非常勤職員(保健師等の技術職)) |
○県が直接行う保健事業⇒国保保健事業としては廃止し、一般会計で実施(健康政策課)
※財政調整交付金による国助成の対象外であるため、国保保健事業から除く。
健康づくり鳥取モデル事業(地域住民向け)【0千円(1,000千円)】 |
地域において、運動習慣の定着による健康づくりを行う環境整備のため体操教室など運動による健康づくりの取組を実施する自治会等に対して補助金を交付する。 |
4 参考(市町村が実施している国保保健事業)
〇特定健康診査・特定保健指導
実施内容 | 保険者数 |
特定健診の実施 | 19 |
特定保健指導の実施 | 19 |
特定健診の未受診者対策事業 | 15 |
特定保健指導の未利用者対策事業 | 7 |
〇国保被保険者の健康管理の促進に関する事業
実施内容 | 保険者数 |
特定健診以外の健診の実施 | 16 |
健診データ等の分析 | 10 |
健診結果データ等を活用した疾病予防・重症化予防の保健指導 | 11 |
健診結果データ等を活用した保健事業 | 5 |
健康相談、健康教室等の開催 | 12 |
健康推進員等の育成 | 7 |
〇国保保健事業の実施状況
実施内容 | 保険者数 |
こころの健康づくり | 5 |
一般住民を対象とした予防・健康づくりのインセンティブ推進 | 10 |
特定健診受診者のフォローアップ(受診勧奨判定値を超えている者への受診勧奨) | 15 |
特定健診受診者のフォローアップ(特定健診継続受診対策) | 15 |
生活習慣病の1次予防に重点を置いた取組(早期介入保健指導事業) | 5 |
健康教育 | 13 |
健康相談 | 15 |
保健指導(重複・頻回受診者への訪問指導) | 9 |
保健指導(重複服薬者への訪問指導) | 5 |
保健指導(生活習慣病重症化予防(糖尿病性腎症を除く)) | 7 |
保健指導(その他の保健指導) | 10 |
糖尿病性腎症重症化予防 | 8 |
歯科に係る保健事業 | 10 |
地域包括ケアシステムを推進する取組 | 5 |
健康づくりを推進する地域活動等 | 9 |
要求額
15,700千円
(参考)H30要求額 16,750千円