1 事業内容
県内経済を下支えし、雇用の受け皿となる小規模事業者等の経営改善や自立化を支援するため、県内4商工会議所(鳥取、倉吉、米子、境港)および県内18商工会並びに県商工会連合会が行う経営支援に要する経費(人件費及び事業費)を助成する。
(1)経営支援専門員等の設置に要する経費(人件費)
小規模事業者等の経営支援に携わる職員(経営支援専門員、経営支援員)の設置経費を助成する。
<交付対象職員の推移>
年度 | H18 | ・・・ | H23 | ・・・ | H26 | H27 | ・・・ | H31 |
設置職員数(人) | 175人 | ・・・ | 155人 | ・・・ | 150人 | 163人 | ・・・ | 163人
※ |
※うち、13名はH27年度より交付金化
(2)小規模事業者等への経営支援に要する経費(事業費)
各商工会議所または商工会および商工会連合会が地域の実情、必要性を勘案して、自主的に企画立案し実施。
<対象事業>
項目 | 事業内容 |
経営支援専門員等の設置 | きめ細かな経営支援を行うため経営支援
専門員等を設置する事業 |
経営、金融及び税務等のきめ細かな支援 | 窓口相談や巡回、講習会開催等による事業者に対する支援 |
適切な支援体制の整備
・専門的指導能力の開発・強化に向けた経営支援専門員等の資質向上・中小企業診断士資格取得費用)・専門的ノウハウ等を有する支援機関等の幅広い知見の活用・情報提供体制の整備促進 | 経営支援専門員等の資質向上のための研修受講、資格取得等のほか、専門家の知見の活用、他の支援機関との連携による先進事例の共有等を行う |
小規模事業者等支援施策の普及 | 小規模事業者等に対する支援施策の普及、情報提供など |
後継者等の育成 | 若手後継者、女性経営者のための研修、交流事業など |
経営の革新に資する支援
・ビジネスプラン等に基づく経営の推進の支援
・需要開拓に向けた支援
・新事業展開や高付加価値化等の経営革新に係る支援 | 小規模事業者等の売上や利益の確保等のためセミナーの開催、商談会への出展支援など |
起業・創業、事業承継・円滑な事業廃止等の支援 | 小規模事業者同士の交流、人材のマッチング、人材能力の開発等の支援など |
地域経済の活性化に資する事業活動の支援 | 地域産品の開発や情報発信、地域のブランド化等 |
倒産の未然防止等の経営安定対策 | 倒産のおそれのある事業者からの相談対応など |
その他経営支援の推進 | その他経営革新、創業促進など小規模事業者等の自立、向上発展の推進など |
<参考〜H30実施の主な取組〜>
○経営一般・金融・税務・労働等の相談、セミナー等の開催
窓口対応や巡回による小規模事業者等からの経営相談、また経営ノウハウの習得等のため、各種セミナー・講習会を開催。
○新事業展開(創業、経営革新等)の支援
中小企業者等の創業、経営革新、農商工連携等の新事業展開を支援。
○とっとり地場産業育成と需要開拓支援
「とっとり自慢」認証事業を中心に、地域産品の開発、販売を支援した。また、需要開拓支援としては、商談会を成功に導くためのセミナー開催や、首都圏・山陽・関西圏を中心とする商談会、展示会への出展を支援し、県外需要の取り込みを強化した。
○専門家派遣による課題解決等支援
小規模事業者が大半を占める商工会地域において、経営力を高めるため、従業員と経営者が一緒に行う現場管理手法等を学ぶための専門家派遣を実施
○産学官連携の推進
「米子6:00クラブ」 米子商工会議所(H15年7月〜)
「ほんまちクラブ」 鳥取商工会議所(H16年9月〜)
「中部元気クラブ」 倉吉商工会議所(H17年7月〜)
○とっとり企業支援ネットワークによる連携支援
中小・小規模事業者が持つ経営課題解決のため、他の支援機関との連携による経営支援等を実施。
2 要求額
区分 | 31年度要求額
(30年度予算額)
(単位:千円) | 備考 |
人件費 | 754,536
(754,536) | 交付対象職員163名分 |
事業費 | 113,721
(113,721) | |
合計 | 868,257
(868,257) | |
3 背景
○それまでの補助金を平成18年度に交付金化。
○メニュー方式を採用しメニュー間の経費増減が可能であることから、各団体の自主性を活かした施策展開や効果的な支援戦略の立案が可能なもの。
○H26.6月、小規模基本法の制定及び小規模支援法の改正がなされたことに伴い、商工団体に求められる支援のあり方が、これまでの「企業の成長発展」に「事業の持続的発展」があらたに加わり、「伴走型」の支援が求められるようになった。この「伴走型」支援の実現に向けて、商工団体の経営サポートの充実・強化を図るべく、それまでの補助金「経営力強化緊急支援事業」をH27から交付金化した。
○経営全般、金融、税務、経理、労働等の相談支援に加え、創業、経営革新、新分野進出といった、あらたな取組みに対し、企業のライフステージに応じた経営サポートを重点的に実施。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<政策目標>
○企業支援体制の充実
商工団体による自主性を活かした効果的、効率的な事業展開を促し、小規模事業者等の自立を促進するため、自由度の高い交付金制度を創設し、自立を目指す事業者等の取組に対して支援を行う。
<取組>
○経営改善普及事業の実施
小規模事業者等に対し、日常的な経営管理(金融、税務、労働、取引等)に関する巡回・窓口相談及び講習会開催等による支援を実施。
○新事業展開支援の実施
創業や経営革新の促進等小規模事業者の自立及び向上発展を推進するための支援を実施。
<現時点での達成状況>
○小規模事業者等からの様々な経営相談に対応中。
〔H29経営相談件数〕
(内訳)経営革新5,880件、経営一般28,885件、金融4,810件、税務10,408件、労働7,359件、創業702件、その他14,356件
これまでの取組に対する評価
<自己分析〉>
○H18の交付金化により補助金事務の省力化が図られ、交付対象職員が経営支援業務へ注力することが可能となった。また、H20に相談窓口機能の強化等も行われた。
○これらにより、相談対応件数や経営革新計画承認件数が増加傾向にあり、効率的な支援体制が構築されつつある(経営革新は、県版経営革新が増加)。また、支援を通じて企業の仕組みづくり(経理処理の自社実施等)や経営指標改善に結びつくケースもあり、一定の効果を上げている。
○さらに、金融危機後の急激な景況悪化時に資金繰りや雇用調整の相談にきめ細かく対応したり、地域の実情に応じた取組み(小売店等の接遇能力向上支援(外国語講座等))を行うなど、外部環境に対応した柔軟な支援も一部行われている。
<今後の課題>
○人口減少・高齢化、地域間競争の激化、地域経済低迷等の構造変化の進展に伴い、域内市場規模の縮小、廃業増加、経営層の高齢化、雇用者数の減少の懸念がある今、企業の成長発展のみならず、事業を継続し雇用を維持するにも相当な努力が必要。
○今後は、起業・創業、新事業展開、需要獲得(県内外・海外)、事業承継等を促進し、企業のライフステージに応じた伴走型の経営サポート体制の充実・強化を図る必要がある。