(1)目的 | この条例は、暴力団の排除に関し、基本理念を定め、並びに県及び県民等の責務を明らかにするとともに、暴力団の排除に関する基本的施策、青少年の健全な育成を図るための措置、暴力団員等に対する利益の供与の禁止等を定めることにより、暴力団の排除を推進し、もって県民の安全で平穏な生活を確保し、及び社会経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。 |
(2)定義 | この条例において、次に掲げる用語の意義は、それぞれに定めるところによる。
ア 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「法」という。)第2条第2号に規定する暴力団をいう。
イ 暴力団員 法第2条第6号に規定する暴力団員をいう。
ウ 暴力団員等 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう。
エ 県民等 県民(県内に滞在する者及び県内を通過する者を含む。以下同じ。)及び事業者をいう。
オ 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点である施設又は施設の区画された部分をいう。 |
(3)基本理念 | 暴力団の排除は、県民等が、暴力団が県民の生活及び社会経済活動に不当な影響を生ぜしめる存在であることを認識した上で、暴力団を恐れないこと、暴力団に対して資金を提供しないこと及び暴力団を利用しないことを基本として、県、市町村、県民等その他暴力団員による不当な行為の防止を目的とする団体が相互に連携し、及び協力して推進されなければならない。 |
(4)県の責務 | 県は、基本理念にのっとり、県民等の協力を得るとともに、暴力追放運動推進センターその他の暴力団員による不当な行為の防止を目的とする団体との連携を図りながら、暴力団の排除に関する施策を総合的に推進するものとする。 |
(5)県民の責務 | ア 県民は、基本理念にのっとり、暴力団の排除のための活動に自主的に、かつ、相互の連携協力を図って取り組むとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
イ 県民は、暴力団の排除に資すると認められる情報を知ったときは、県に対し、当該情報を提供するよう努めるものとする。
ウ 県民は、暴力団員等から不当な要求を受けた場合には、県、暴力追放運動推進センター等に相談するよう努めるものとする。
エ 県民は、暴力団員等と密接に交際することその他の社会的に非難されるべき関係を持つことがないよう努めるものとする。 |
(6)事業者の責務 | ア 事業者は、基本理念にのっとり、その行う事業(事業の準備を含む。以下同じ。)に関し、暴力団の排除に取り組まなければならない。
イ 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等との一切の関係を遮断するよう努めるとともに、県が実施する暴力団の排除に関する施策に協力するよう努めるものとする。
ウ 事業者は、暴力団の排除に資すると認められる情報を知ったときは、県に対し、当該情報を提供するよう努めるものとする。
エ 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等から不当な要求を受けた場合には、県、暴力追放運動推進センター等に相談するよう努めるものとする。 |
(7) 県の暴力団事務所に対する措置 | 県は、県民の安全で平穏な生活を確保するため、暴力団事務所が開設をされないよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 |
(8)県の事務及び事業における措置 | 県は、公共工事その他の県の事務又は事業により暴力団を利することとならないよう、暴力団、暴力団員又はこれらの利益につながる活動を行い、若しくはこれらと密接な関係を有するものを県が実施する入札に参加させない等の必要な措置を講ずるものとする。 |
(9)警察による保護措置 | 警察本部長は、暴力団の排除のための活動に取り組んだこと等により暴力団から危害を加えられるおそれがあると認められる者に対し、保護その他の必要な措置を講ずるものとする。 |
(10)県民等に対する支援 | ア 県は、暴力団事務所の使用の差止めの請求、暴力団員等による犯罪の被害に係る損害賠償の請求その他の暴力団員等に対する請求に係る訴訟であって、暴力団の排除に資すると認められるものを提起し、又は提起しようとする者に対し、当該訴訟に関し、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
イ 県は、アに定めるもののほか、県民等による暴力団の排除のための活動に資するよう、県民等に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。 |
(11)広報及び啓発 | 県は、県民等が暴力団の排除の重要性について理解を深めることができるよう、県内における暴力団の活動実態等について県民等に周知するほか、暴力団の排除の気運を醸成するための集会を開催するなど、広報及び啓発を行うものとする。 |
(12)市町村への協力 | 県は、市町村において暴力団の排除のための施策が講じられるよう、市町村に対し、情報の提供、技術的助言その他の必要な協力を行うものとする。市町村が、当該施策を講じたときも、同様とする。 |
(13)暴力団事務所の開設及び運営の禁止 | ア 暴力団事務所は、次に掲げる施設の敷地の周囲200メートルの区域内においては、これの開設をし、又は運営をしてはならない。
(ア) 学校(大学を除く。)又は専修学校(高等課程を置くものに限る。)
(イ) 児童福祉施設又は児童相談所
(ウ) 図書館
(エ) 博物館
(オ) 公民館
(カ) 家庭裁判所
(キ) 少年院又は少年鑑別所
(ク) 保護観察所
(ケ) (ア)から(ク)までに掲げるもののほか、特にその周辺における青少年(18歳未満の者(婚姻したものを除く。)をいう。以下同じ。)の健全な育成を図るための良好な環境を保全する必要がある施設として公安委員会規則で定めるもの
イ アは、この条例の施行の際現に運営をされている暴力団事務所(以下「現用事務所」という。)又はこの条例の施行後に開設をされた暴力団事務所であってその開設後にアの(ア)から(ケ)までに掲げるいずれかの施設が設置されたこと(以下「施設の設置」という。)によりアの区域内において運営をされることとなったもの(以下「施設設置前事務所」という。)については、適用しない。ただし、現用事務所にあってはこの条例の施行後に、施設設置前事務所にあっては当該施設の設置後に、当該開設又は運営をしていた暴力団以外の暴力団のものとして開設又は運営をされた場合は、適用する。
ウ 暴力団事務所は、アの区域内のほか、都市計画法に定める第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域及び準住居地域(アの区域内を除く。)においては、これの開設をし、又は運営をしてはならない。
エ ウは、現用事務所又はこの条例の施行後に開設をされた暴力団事務所であってその開設後に都市計画法によりウの地域が定められたこと(以下「地域の決定」という。)によるウの地域において運営をされることとなったもの(以下「地域決定前事務所」という。)については、適用しない。ただし、現用事務所にあってはこの条例施行後に、地域決定前事務所にあっては当該地域の決定後に、当該開設又は運営をしていた暴力団以外の暴力団のものとして開設又は運営をされた場合は、適用する。 |
(14)青少年に対する教育等のための措置 | ア 県は、学校(中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校(中学部及び高等部に限る。)若しくは高等専門学校又は専修学校(高等課程に限る。)をいう。)において、生徒又は学生が暴力団の排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないようにするための教育が必要に応じて行われるよう適切な措置を講ずるものとする。
イ 青少年の育成に携わる者は、青少年が暴力団の排除の重要性を認識し、暴力団に加入せず、及び暴力団員による犯罪の被害を受けないよう、青少年に対し、指導し、助言し、その他適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
ウ 県は、イの青少年の育成に携わる者に対し、職員の派遣、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。 |
(15)不動産の譲渡等をしようとする者等の責務 | ア 県内に所在する不動産(以下「不動産」という。)の譲渡又は貸付け(地上権の設定を含む。以下「譲渡等」という。)をしようとする者は、当該不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等に係る契約をしてはならない。
イ 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約の締結の前に、当該契約の相手方に対し、当該不動産を暴力団事務所の用に供するものでないことを確認するよう努めなければならない。
ウ 不動産の譲渡等をしようとする者は、当該譲渡等に係る契約において、次に掲げる事項のすべてを定めるよう努めなければならない。
(ア) 当該契約の相手方は、当該不動産を暴力団事務所の用に供してはならないこと。
(イ) 当該不動産が暴力団事務所の用に供されていることが判明したときは、当該譲渡等をした者は、催告をすることなく当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをすることができること。
エ ウ(イ)の場合においては、当該譲渡等をした者は、速やかに当該契約を解除し、又は当該不動産の買戻しをするよう努めなければならない。 |
(16)不動産の譲渡等の代理等をする者の責務 | ア 不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該譲渡等をしようとする者に対し、(15)の遵守に関し助言その他の措置を講じなければならない。
イ 何人も、他人が譲渡等をしようとしている不動産が暴力団事務所の用に供されることとなることを知って、当該譲渡等に係る契約の代理又は媒介をしてはならない。 |
(17)暴力団の威力を利用することの禁止 | 事業者は、その行う事業に関し、暴力団の威力を利用してはならない。 |
(18)利益の供与等の禁止 | ア 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
(ア) 暴力団の威力を利用する目的で、金品その他の財産上の利益の供与(以下単に「利益の供与」という。)をすること。
(イ) 暴力団の威力を利用したことに関し、利益の供与をすること。
イ 事業者は、アに定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団の活動又は運営に協力する目的で、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、相当の対償のない利益の供与をしてはならない。
ウ 事業者は、ア及びイに定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、情を知って、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる利益の供与をしてはならない。ただし、法令上の義務又は情を知らないでした契約に係る債務の履行としてする場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。
エ 事業者は、その行う事業に関し、暴力団員等に対し、アからウまでに定める利益の供与のほか、不当に優先的な取扱いをしてはならない。 |
(19)取引の相手方等の確認 | 事業者は、その行う事業に関し、その取引の相手方、当該取引の媒介をする者その他の関係者が暴力団員でないことを確認するよう努めるものとする。 |
(20)暴力団員等が利益の供与を受けることの禁止等 | ア 暴力団員等は、事業者から当該事業者が(18)ア若しくはイに違反することとなる利益の供与を受け、又は事業者に当該事業者がこれらに違反することとなる当該暴力団員等が指定した者に対する利益の供与をさせてはならない。
イ 暴力団員等は、事業者から当該事業者が(18)ウに違反することとなる利益の供与を受け、又は事業者に当該事業者が(18)ウに違反することとなる当該暴力団員等が指定した者に対する利益の供与をさせてはならない。 |
(21)祭礼等からの暴力団の排除 | ア 祭礼、興行その他の公共の場所において多数人が特定の目的のために一時的に集合するような行事を主催する者又はその運営に携わる者(以下「行事主催者等」という。)は、次に掲げる行為をしてはならない。
(ア) 当該行事に関し、暴力団を利用すること。
(イ) 当該行事の運営に関与しようとする者が暴力団員であることを知りながら、これを関与させること((ウ)に該当するものを除く。)。
(ウ) 当該行事が行われることとなる場所(当該行事主催者等が当該行事の運営において管理する区域内に限る。)において、露店、屋台店その他これらに類する店(以下「露店等」という。)を出そうとする者が暴力団員であることを知りながら、これに露店等を出させること。
イ 行事主催者等は、当該行事からの暴力団の排除のために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 |
(22)違反者に対する措置 | ア 公安委員会は、(15)ア、(16)イ、(18)ア若しくはイ、(20)ア又は(21)アに違反する行為をした疑いがあると認められる者その他の関係者に対し、公安委員会規則で定めるところにより、その違反事実を明らかにするために必要な限度において、説明又は資料の提出を求めることができる。
イ 公安委員会は、(15)ア、(16)イ、(18)ア若しくはイ、(20)ア又は(21)アに違反する行為があった場合において、当該行為が暴力団の排除に支障を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認めるときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該行為をした者に対し、必要な勧告をすることができる。
ウ 公安委員会は、アにより説明若しくは資料の提出を求められた者が正当な理由なく当該説明若しくは資料の提出を拒んだとき、又はイにより勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わなかったときは、公安委員会規則で定めるところにより、その旨を公表することができる。
エ 公安委員会は、ウによる公表をしようとするときは、公安委員会規則で定めるところにより、当該公表に係る者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。 |
(23)雑則 | この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、公安委員会規則で定める。 |
(24)罰則 | ア (13)アに違反して、暴力団事務所の開設をし、又は運営をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
イ 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関し、アの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、罰金刑を科する。
ウ 法人でない団体についてイの適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。 |
(25)施行期日 | 平成23年4月1日とする。ただし、(22)及び(24)は、同年7月1日から施行する。 |