(1) 目的
| この条例は、県の諸活動や歴史的事実を記録した公文書等が、県政に対する県民の知る権利に不可欠な県民共有の知的資源であることに鑑み、公文書等の管理に関する基本的事項を定めることにより、現用公文書の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって県政が適切かつ効率的に運営されるようにするとともに、県の諸活動を現在及び将来の県民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。 |
(2) 定義
| この条例において、次に掲げる用語の意義は、それぞれに定めるところによる。
ア 実施機関 知事、教育委員会、公安委員会、警察本部長、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会及び病院事業の管理者並びに県が設立した地方独立行政法人並びに鳥取県住宅供給公社及び鳥取県土地開発公社をいう。
イ 現用公文書 実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画、写真、スライド、マイクロフィルム及び電磁的記録を含む。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
(ア) 新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
(イ) 特定歴史公文書等
(ウ) 図書館、博物館その他の施設において一般の利用に供することを目的として管理されているもの(特定歴史公文書等を除く。)
ウ 歴史公文書等 次に掲げる文書をいう。
(ア) 実施機関の組織及び機能並びに政策の検討過程、決定、実施及び実績に関する重要な情報が記録された文書
(イ) 県民の権利及び義務に関する重要な情報が記録された文書
(ウ) 県民を取り巻く社会環境、自然環境等に関する重要な情報が記録された文書
(エ) 県の歴史、文化、学術、事件等に関する重要な情報が記録された文書
(オ) (ア)から(エ)までに掲げるもののほか、歴史資料として重要な情報が記録された文書
エ 特定歴史公文書等 歴史公文書等のうち、次に掲げるものをいう。
(ア) 実施機関から公文書館に引き継がれたもの
(イ) 議長から公文書館に引き継がれたもの
(ウ) 法人等又は個人から公文書館に寄贈され、又は寄託されたもの
オ 公文書等 現用公文書及び特定歴史公文書等をいう。
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(3) 他の条例等との関係 | 公文書等の管理については、他の条例又は法律若しくはこれに基づく命令に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めるところによる。 |
(4) 現用公文書の作成
| 実施機関の職員は、実施機関の意思決定が現用公文書の決裁により行われることに鑑み、県政に対する県民の知る権利を保障し、県の諸活動を現在及び将来の県民に説明する責務を全うするため、当該実施機関の意思決定に至る経緯及び過程並びに当該実施機関の事務及び事業の実績について、現用公文書によって合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成しなければならない。 |
(5) 現用公文書の整理
| ア 実施機関の職員は、現用公文書を作成し、又は取得したときは、当該現用公文書を当該実施機関の事務又は事業の性質、内容等に応じて系統的に分類し、これに分かりやすい名称を付するとともに、常時利用するものを除き、30年以下の保存期間を設定しなければならない。
イ 実施機関の職員は、現用公文書の作成又は取得に係る事務が終了するまでに、相互に密接な関連を有する現用公文書を簿冊にまとめなければならない。ただし、インターネットの利用その他の方法により公表されている現用公文書については、この限りでない。
ウ 実施機関の職員は、簿冊に分かりやすい名称を付するとともに、当該簿冊にまとめられた現用公文書の分類及び保存期間と同じ分類及び保存期間を設定し、これについて保存期間(延長された場合にあっては、延長後の保存期間。以下同じ。)が満了したときの措置として、歴史公文書等に該当する現用公文書を含む簿冊にあっては公文書館への引継ぎの措置を、それ以外の簿冊にあっては廃棄の措置をとるべきことを定めなければならない。
エ 実施機関は、当該実施機関の事務又は事業の遂行上必要があると認めるときは、その必要な限度において、一定の期間を定めて保存期間を延長することができる。
オ 実施機関は、公文書館の館長(以下「館長」という。)との協議により必要があると認めるときは、保存期間が満了したときの措置を変更することができる。 |
(6) 簿冊の保存
| 実施機関は、簿冊を、当該簿冊の保存期間の満了する日までの間、これにまとめられた現用公文書の内容、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。 |
(7) 簿冊管理簿
| ア 実施機関は、簿冊の管理を適切に行うため、簿冊に係る次に掲げる事項を簿冊管理簿に記録しなければならない。ただし、1年未満の保存期間が設定された簿冊については、この限りでない。
(ア) 分類
(イ) 名称
(ウ) 保存期間
(エ) 保存期間の満了する日
(オ) 保存期間が満了したときの措置
(カ) 保存場所
(キ) 簿冊作成日
(ク) 保存期間の起算日
(ケ) 記録媒体の種別
イ 実施機関は、簿冊管理簿について、当該実施機関の事務所に備えて一般の閲覧に供するとともに、インターネットの利用その他の方法により公表しなければならない。
ウ 実施機関は、簿冊管理簿の公表に当たって、容易に簿冊の検索が行えるようにするなど、利便性の向上に努めなければならない。 |
(8) 電子情報システムの利用等
| ア 実施機関は、現用公文書の管理を効率的に行うため、電子情報システム(電子計算機を利用して、電磁的記録により現用公文書の作成、取得、決裁、分類及び保存を行い、これらの情報を効率的に管理する仕組みをいう。)の利用及び簿冊の集中管理の推進に努めなければならない。
イ 実施機関は、電子情報システムを利用して作成された現用公文書を含む簿冊を保存するときは、電磁的記録の滅失又は毀損に備え、当該簿冊を適切な記録媒体に複製し、複数保存するよう努めなければならない。 |
(9) 簿冊の引継ぎ又は廃棄
| ア 実施機関は、保存期間が満了した簿冊について、公文書館へ引き継ぎ、又は廃棄しなければならない。
イ 実施機関は、保存期間が満了した簿冊を廃棄しようとするときは、あらかじめ、館長に協議しなければならない。この場合において、館長は、簿冊にまとめられた現用公文書が歴史公文書等に該当すると認めるときは、当該簿冊を保有する実施機関に対し、当該簿冊を公文書館に引き継ぐよう求めることができる。
ウ 実施機関は、公文書館に引き継ぐ簿冊について、公文書館において利用の制限を行うことが適切であると認める場合には、その旨の意見を付さなければならない。 |
(10) 文書管理規程
| ア 実施機関は、現用公文書の管理が適正に行われることを確保するため、公文書の管理に関する定め(以下「文書管理規程」という。)を設けなければならない。
イ 文書管理規程には、現用公文書に関する次に掲げる事項を記載しなければならない。
(ア) 作成に関する事項
(イ) 整理に関する事項
(ウ) 保存に関する事項
(エ) 簿冊管理簿に関する事項
(オ) 引継ぎ又は廃棄に関する事項
(カ) 管理体制の整備に関する事項
(キ) 点検に関する事項
(ク) 職員の研修に関する事項
(ケ) (ア)から(ク)までに掲げるもののほか、現用公文書の管理が適正に行われることを確保するために必要な事項
ウ 実施機関は、文書管理規程を設けようとするときは、あらかじめ、知事に協議しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
エ 実施機関は、文書管理規程を設けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。 |
(11) 議会文書の保存及び引継ぎ
| ア 議長は、議会事務局の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、議会事務局の職員が組織的に用いるものとして、議会が保有しているもの(以下「議会文書」という。)の適切な保存のために必要な措置を講ずるものとする。
イ 館長は、議会文書について、歴史公文書等に該当すると認めるときは、議長との協議により、その引継ぎを受けることができる。
ウ (9)ウは、議会文書を公文書館に引き継ぐ場合について準用する。 |
(12) 特定歴史公文書等の保存等
| ア 館長は、特定歴史公文書等について、廃棄する場合を除き、永久に保存しなければならない。
イ 館長は、単独で管理することが適当であると認める特定歴史公文書等を除き、当該歴史公文書等について系統的に分類し、簿冊にまとめるとともに、当該簿冊に分かりやすい名称を付さなければならない。
ウ 館長は、特定歴史公文書等に個人情報が記録されている場合には、当該個人情報の漏えい、滅失及び毀損の防止その他個人情報の適正な管理のために必要な措置を講じなければならない。
エ (6)から(8)までは、特定歴史公文書等をまとめた簿冊及び単独で管理している特定歴史公文書等の保存について準用する。 |
(13) 特定歴史公文書等の利用
| ア 館長は、公文書館において保存されている特定歴史公文書等については、イに掲げる場合を除き、一般の利用に供さなければならない。
イ 館長は、次に掲げる場合には、特定歴史公文書等の全部又は一部を一般の利用に供しないものとすることができる。
(ア) 当該特定歴史公文書等が実施機関から引き継がれたものであって、当該歴史公文書等に次に掲げる情報が記録されている場合
a 法令等の規定により公にすることができない等の情報
b 個人に関する情報
c 公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると当該歴史公文書等を引き継いだ実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報
(イ) 当該特定歴史公文書等が議長から引き継がれたものであって、当該特定歴史公文書等に次に掲げる情報が記録されている場合
a 法令等の規定により公にすることができない等の情報
b 個人に関する情報
(ウ) 当該特定歴史公文書等がその全部又は一部を一定の期間公にしないことを条件に法人等又は個人から寄贈され、又は寄託されたものであって、当該期間が経過していない場合
(エ) 当該特定歴史公文書等の原本を利用に供することにより当該原本の破損若しくはその汚損を生ずるおそれがある場合又は実施機関若しくは議会において当該原本が現に利用されている場合
ウ 館長は、利用請求に係る特定歴史公文書等がイの(ア)又は(イ)に該当するか否かについて判断するに当たっては、当該特定歴史公文書等が現用公文書又は議会文書として作成又は取得されてからの時の経過を考慮するとともに、利用制限に係る実施機関の長の意見が付されている場合には、当該意見を参酌しなければならない。
エ 館長は、イの(ア)から(ウ)までに係る情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、利用請求をした者に対し、当該部分を除いた部分を利用させなければならない。ただし、当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りでない。 |
(14) 本人情報の取扱い
| 館長は、本人から、当該本人情報が記録されている特定歴史公文書等について利用請求があった場合において、本人であることを示す書類の提示又は提出があったときは、本人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報が記録されている場合を除き、当該特定歴史公文書等につき当該本人情報が記録されている部分についても、利用させなければならない。 |
(15) 第三者に対する意見書提出の機会の付与等
| ア 利用請求に係る特定歴史公文書等に第三者に関する情報が記録されている場合には、館長は、当該特定歴史公文書等を利用させるか否かについての決定をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。
イ 館長は、第三者に関する情報が記録されている特定歴史公文書等の利用をさせようとする場合であって、当該情報が人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報に該当すると認めるときは、利用させる旨の決定に先立ち、当該第三者に対し、利用請求に係る特定歴史公文書等の名称等を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
ウ 館長は、特定歴史公文書等であって、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると利用制限に係る意見を付されたものを利用させる旨の決定をする場合には、あらかじめ、当該特定歴史公文書等を引き継いだ実施機関又は議長に対し、利用請求に係る特定歴史公文書等の名称等を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
エ 館長は、意見書を提出する機会を与えられた第三者が当該特定歴史公文書等を利用させることに反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、当該歴史公文書等を利用させる旨の決定をするときは、その決定の日と利用させる日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合において、館長は、その決定後直ちに、反対意見書を提出した第三者に対し、利用させる旨の決定をした旨及びその理由並びに利用させる日を書面により通知しなければならない。 |
(16) 特定歴史公文書等の利用の方法
| 館長が特定歴史公文書等を利用させる場合には、文書、図画又は写真については閲覧又は写しの交付の方法により、スライド又はマイクロフィルムについては視聴又は写しの交付の方法により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を勘案した方法により行う。ただし、閲覧又は視聴の方法により特定歴史公文書等を利用させることが当該特定歴史公文書等の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときは、その写しを閲覧又は視聴させる方法により、これを利用させることができる。 |
(17) 費用負担 | 写しの交付その他の物品の供与の方法により特定歴史公文書等を利用する者は、当該供与に要する費用を負担しなければならない。 |
(18) 鳥取県情報公開審議会への諮問等
| ア 知事は、利用請求に対する処分について行政不服審査法による審査請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、鳥取県情報公開審議会に諮問しなければならない。
(ア) 審査請求が不適法であり、却下するとき。
(イ) 裁決で、審査請求に係る利用請求に対する処分を取り消し又は変更し、当該審査請求に係る特定歴史公文書等の全部を利用させることとするとき。ただし、当該審査請求に係る特定歴史公文書等の利用について反対意見書が提出されているときを除く。
イ 知事は、アによる諮問に対する答申があったときは、これを尊重して、速やかに、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。 |
(19) 諮問をした旨の通知
| 知事は、(18)アにより諮問をしたときは、次に掲げるものに対し、諮問をした旨を通知しなければならない。
ア 審査請求人及び参加人
イ 利用請求をした者(利用請求をした者が審査請求人又は参加人である場合を除く。)
ウ 当該審査請求に係る利用請求に対する処分について反対意見書を提出した第三者(当該第三者が審査請求人又は参加人である場合を除く。)
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(20) 第三者からの審査請求を棄却する場合等における手続 | (15)エは、次のいずれかに該当する裁決をする場合について準用する。
ア 利用させる旨の決定に対する第三者からの審査請求を却下し、又は棄却する裁決
イ 審査請求に係る利用請求に対する処分を変更し、当該利用請求に対する処分に係る特定歴史公文書等を利用させる旨の裁決(第三者である参加人が当該歴史公文書等を利用させることに反対の意思を表示している場合に限る。)
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(21) 特定歴史公文書等の利用の促進 | 館長は、特定歴史公文書等について、展示その他の方法により一般の利用を促進する措置を講じなければならない。 |
(22) 実施機関等による利用の特例 | 特定歴史公文書等を引き継いだ実施機関又は議長は、当該実施機関又は議会の事務又は事業に必要であるときは、当該特定歴史公文書等を利用することができる。 |
(23) 特定歴史公文書等の廃棄
| ア 館長は、特定歴史公文書等として保存している文書が歴史資料として重要でなくなったと認める場合には、当該文書を廃棄することができる。
イ 館長は、前項の規定により文書を廃棄しようとするときは、廃棄の日の1月前までに、当該文書の名称、廃棄の日等を公表しなければならない。
ウ 特定歴史公文書等の廃棄について異議のある者は、館長に対し、当該特定歴史公文書等について、廃棄の措置をとらないように求めることができる。 |
(24) 訴訟書類等の取扱い
| ア 訴訟書類については、(4)から(10)までを適用しない。この場合において、実施機関は、訴訟書類の適切な保存のために必要な措置を講じなければならない。
イ 館長は、訴訟書類について、歴史公文書等に該当すると認めるときは、当該訴訟書類を保有する実施機関と協議し、その引継ぎを受けることができる。
ウ (9)ウは、訴訟書類を公文書館に引き継ぐ場合に準用する。
エ 刑事訴訟法の規定により押収した物については、この条例の規定は、適用しない。 |
(25) 研修 | 実施機関は、職員に対し、公文書等の管理を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修を行うものとする。 |
(26) 管理状況の公表 | 知事は、公文書等の管理の状況について、毎年度、その概要を公表しなければならない。 |
(27) 規則への委任 | この条例に定めるもののほか、現用公文書の引継ぎ、特定歴史公文書等の利用その他この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。 |
(28) 施行期日等
| ア 施行期日は、公布日とするイを除き、平成24年4月1日とする。
イ 文書管理規程の制定及びこの条例の施行のために必要な手続その他の行為は、この条例の施行前においても行うことができる。
ウ この条例の施行の際現に改正前の鳥取県立公文書館の設置及び管理に関する条例の規定により公文書館が保存する公文書等については、特定歴史公文書等とみなす。
エ 鳥取県立公文書館の設置及び管理に関する条例、鳥取県情報公開条例及び鳥取県個人情報保護条例について所要の改正を行う。 |