件名:
美しい鳥取砂丘を守り育てる条例の設定について
生活環境部 公園自然課 自然公園担当 電話番号:0857-26-7209
提出理由
1 鳥取砂丘は、我が国最大級の海岸砂丘であり、独特の地形や起伏に富んだ景観で知られ、固有の砂丘植物も自生する貴重な自然を有する地域である。
2 最近では、砂丘利用者のマナー低下等によりゴミのポイ捨てや砂丘斜面への落書きは後を絶たず、河川と港湾の整備等により砂の供給が減少するとともに、保安林の整備等の影響で草原化が進むなど、従来の手法による自然保護の限界を感じさせる事態も生じている。
3 これに対して、県民参加による除草活動や清掃活動など、鳥取砂丘の再生を目指す取組が活発化するとともに、乾燥地農業の研究拠点の整備、砂にまつわる文化的な催しの実施など、地域特性を活かした新しい価値や情報の創出と発信の拠点ともなってきている。
4 このように鳥取砂丘は、貴重な自然を有するのみならず、特色ある産業・文化活動・学術研究の拠点ともなっており、非常に多面的な価値を有する県民共有の財産であり、世界に誇れる本県の至宝とも言うべき存在である。
5 鳥取砂丘の多面的な価値の向上を図り、その優れた環境を次世代に確実に引き継いでいくため、この条例を制定する。
内容
1 目的
この条例は、鳥取砂丘の保全と再生について、基本理念を定め、県及び砂丘利用者の責務を明らかにするとともに、鳥取砂丘の保全と再生に関する施策の基本となる事項を定めることにより、適切な利用を増進しつつ、様々な人々の協働による総合的な取組を推進し、もって鳥取砂丘の優れた環境を次世代に確実に引き継いでいくことを目的とする。
2 基本理念
鳥取砂丘の保全と再生は、その固有環境の貴重さと、それに対して砂丘利用者の行動が及ぼす影響を十分に把握した上で、当該行動が本県の経済・文化等に及ぼす影響も勘案し、社会的発展との調和にも配慮しながら、砂丘利用者の理解と協力の下に協働して推進することを基本として、行われなければならない。
3 県の責務
県は、基本理念にのっとり、国、鳥取市等の関係機関と連携して、鳥取砂丘の保全と再生について砂丘利用者の理解を深め、その協力の下に必要な保護施策等を総合的に推進するものとする。
4 砂丘利用者の責務
砂丘利用者は、基本理念にのっとり、鳥取砂丘の保全と再生を図ることの重要性を理解し、これに自主的に取り組むとともに、県が実施する保護施策等に積極的に協力し、節度ある利用に努め、いやしくも鳥取砂丘の固有環境をき損し、又は鳥取砂丘の快適な利用を妨げるような行為をしてはならない。
5 保護施策
(1) 県は、鳥取砂丘の保全と再生を図ることの重要性について砂丘利用者の理解を深め、これに取り組む意欲を増進するため、利用者の意識啓発を関係機関と連携して実施するものとする。
(2) 県は、鳥取砂丘の保全と再生に関する砂丘利用者の自主的な取組を促進するために必要な措置を関係機関と連携して実施するものとする。
(3) 県は、鳥取砂丘の固有環境とそれに影響を及ぼす気象、水理等の実態及び動向を的確に把握し、鳥取砂丘の保全と再生を科学的かつ効果的に推進するため、関係機関と協力して必要な調査研究を実施するものとする。
(4) 県は、調査研究の結果等を踏まえ、鳥取砂丘の保全と再生のため、工事その他の措置が必要と認められる場合には、関係機関との適切な役割分担のもとに、その推進を図るものとする。
6 禁止行為
(1) 鳥取砂丘においては、何人も、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。
ア 文字、図形又は記号(それを内包できる最小の長方形又は円の面積が10平方メートルを超えるものに限る。)を鳥取砂丘の地面に表示すること。
イ 他人の身体又は物に害を及ぼすおそれのある方法で、ボール、花火その他の物を投げ、打ち、又は発射すること。
ウ 缶、瓶その他の容器、たばこの吸い殻、チューインガムのかみかす、紙くず、動物のふんその他の物を投棄すること。
(2) 自然公園法又は文化財保護法に基づく許可等に係る行為は、(1)による禁止の対象から除外する。
7 中止等の 指示及び原状回復命令
(1) 知事は、その職員をして、6の禁止行為を現にしている者に対し、中止等の指示をすることができる。
(2) 知事は、6の禁止行為をした者に対し、原状回復を命ずることができる。
8 罰則
(1) 鳥取砂丘においてみだりに禁止行為をした者 30万円以下の罰金
(2) 中止等の指示に従わなかった者及び原状回復命令に違反し、原状回復をしなかった者 30万円以下の罰金
9 施行期日
施行期日は、平成21年4月1日とする。