件名:
鳥取県防災及び危機管理に関する基本条例の設定について
防災局 防災チーム 企画担当 電話番号:0857-26-7584
提出理由
県民、事業者、市町村、県及び国が共に力を合わせて、災害や危機に強い地域づくりを進め、県民の生命、身体及び財産を守り、安全に暮らすことのできる地域社会を実現する。内容
1 総則
(1) 目的
この条例は、防災及び危機管理に関し、基本的な考え方を定め、県民、事業者、市町村、県及び国の機関の責務を明らかにするとともに、相互に連携して対策を講ずるために必要な事項を定めることにより、災害及び危機から県民の生命、身体及び財産を守り、安全に暮らすことのできる地域社会を実現することを目的とする。
(2) 基本的な考え方
防災及び危機管理は、次に掲げる事項を基本として、県民、事業者、市町村、県及び国の機関がそれぞれの役割を果たすとともに、相互に連携して行うものとする。
ア 自助、共助及び公助の取組を総合的に推進すること。
イ 災害及び危機の発生は避けられないことを前提として、それによる人の生命、身体及び財産に対する被害を少しでも軽減し、又はなくすという目標を達成するために、状況に応じて予防対策、応急措置、復旧対策等の様々な取組を積み重ねていくこと。
ウ 災害及び危機の発生の頻度及び発生した場合における被害の程度の予測に基づく災害及び危機の危険性に関する情報を交換し、及び共有すること。
(3) 県民等の責務
県民、事業者、市町村、県及び国の機関の責務について定める。
2 県民活動の促進
(1) 情報の提供
ア 市町村長は、その区域内の住民及び事業者(以下「市町村民等」という。)に対し、災害又は危機の発生原因、避難を始める判断の参考となる情報その他災害及び危機に対して適切な行動をとるために必要な情報を提供するものとする。この場合においては、災害が発生するおそれの高い場所、避難の方法及び経路その他防災に関する情報を表示した地図を作成し、その内容及び活用方法を周知するよう特に配慮するものとする。
イ 知事は、県民及び事業者に対し、災害又は危機の発生原因その他災害及び危機に対して適切な行動をとるために必要な情報を提供するものとする。
(2) 防災教育等
ア 学校又は保育所を設置し、又は管理する者は、災害又は危機が発生した場合に当該学校又は保育所の幼児、児童、生徒又は学生が適切な自助及び共助の行動がとれるよう、救急手当の方法その他の防災及び危機管理に関する教育を実施するものとする。
イ 事業者(市町村、県及び国の機関を含む。)は、災害又は危機が発生した場合にその従業者が適切な自助及び共助の行動がとれるよう、救急手当の方法その他の防災及び危機管理に関する訓練及び研修を実施するものとする。
ウ 市町村長は、災害又は危機が発生した場合に市町村民等が適切な自助及び共助の行動がとれるよう、救急手当の方法その他の防災及び危機管理に関する訓練及び研修を実施するものとする。
(3) 自主防災組織の活性化
ア 自主防災組織は、市町村と連携して、その活動について、住民の理解を深め、より多くの住民の参加を得るよう努めるものとする。
イ 市町村長は、自主防災組織の結成及び活動に対し、資機材の提供、研修の実施その他の必要な支援を行うものとする。この場合においては、自主防災組織において指導的役割を担う者の育成及び確保について、特に配慮するものとする。
(4) 防災ボランティア活動の環境整備
市町村長は、被災者との連絡調整を行う者の育成及び確保、受入体制の整備、資機材の提供その他防災ボランティア活動を円滑に行うことができる環境の整備を行うものとする。
(5) 事業継続計画の作成支援
知事は、災害又は危機が発生した場合に事業活動を継続するため必要な事項を定めた計画を作成する事業者に対し、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
(6) ライフラインの維持
ライフライン事業者は、その事業の用に供する施設への被害の発生を防ぐ取組を推進するとともに、災害又は危機が発生した場合は、被害の発生及び拡大を防ぎ、被害の復旧を速やかに行うよう努めるものとする。
3 災害又は危機に強いまちづくり
(1) まちづくりにおける配慮
市町村長及び知事は、まちづくりに関する施策の策定及び実施に当たっては、防災及び危機管理の視点に立って行うよう努めるものとする。
(2) 防災施設の計画的整備
ア 知事は、洪水又は土砂災害の発生を防止する施設その他の防災又は危機管理に役立つ施設の整備に関する目標を定め、これらの施設の整備を計画的に進めるものとする。
イ 知事は、地震により生ずる被害の軽減を図るため、地震防災対策の実施に関する目標を定めるとともに、施設等の整備を計画的に進めるものとする。
(3) 避難所の耐震改修の計画的実施
市町村長は、当該市町村の地域防災計画において避難所に指定した建築物のうち、地震に対する安全性に係る基準に適合しない建築物について、耐震診断及び耐震改修に関する計画を定め、その所有者及び管理者の協力を得て、耐震改修を計画的に進めるものとする。
(4) 耐震診断等の状況の公表
知事は、建築物の定期調査報告を受け、又は点検を行ったときは、報告の内容又は点検の結果のうち耐震診断及び耐震改修の実施状況に関するものを、建築物ごとに速やかに公表するものとする。
4 災害時要援護者に係る対策
(1) 避難体制の整備
ア 市町村長は、自主防災組織、民生委員、消防機関、警察その他の関係者の協力を得て、災害時要援護者が円滑かつ迅速に避難し、安全を確保することができる体制の整備を進めるものとする。
イ 市町村長、自主防災組織、民生委員及び消防機関は、アの体制を整備するため、災害時要援護者に関する情報を共有するよう努めるものとする。
(2) 安否に関する情報
市町村長は、災害時要援護者が避難する必要が生じた場合は、自主防災組織、民生委員、消防機関、警察及び災害時要援護者が利用する施設を管理する者の協力を得て、その安否に関する情報を収集し、整理するよう努めるものとする。
(3) 個人情報を守る義務
災害時要援護者の避難に関する事務に従事している者及び従事していた者は、その事務の処理に関して知り得た個人情報をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的で使用してはならない。
5 関係者相互の連携
(1) 県民の意見の反映
ア 知事は、地域防災計画等を策定し、又はこれらの計画について重要な変更をするときは、あらかじめその要旨を公表し、県民の意見を聴くものとする。
イ 知事は、アにより聴いた県民の意見を地域防災計画等に反映させるよう努めるものとする。
(2) 協働の推進
知事は、ライフライン事業者、協定を締結した事業者、自主防災組織その他防災又は危機管理に関する取組を推進するために必要な者と協議を行う場を設けること等により密接に連携を図り、防災及び危機管理に関する取組において協働を進めるものとする。
(3) 事業者との協定
市町村長及び知事は、災害又は危機が発生した場合に食糧その他の生活物資の供給及び輸送、応急の復旧工事の施工等の対策が的確かつ迅速に実施されるよう、その実施について協力を受ける事業者とあらかじめ協定を締結するよう努めるものとする。
(4) 報道機関等の協力
ア 市町村長及び知事は、避難の指示その他防災及び危機管理に関する情報を住民及び事業者に知らせるため必要があると認めるときは、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関に対して協力を求めることができる。
イ 市町村長及び知事は、災害又は危機により生ずる被害の発生及び拡大を防ぐため必要があると認めるときは、自宅での待機、集会の延期その他の措置について、県民及び事業者に対して協力を求めることができる。
6 雑則
(1) 復興の円滑な推進
知事は、災害又は危機により被害を受けた県民の生活の再建、地域社会の再生その他の復興に関する施策を円滑に実施するため、復興の基本方針、災害復興本部の設置及び組織その他復興を円滑に進めるために必要な事項を地域防災計画に定めるものとする。
(2) 危機管理に関する計画
知事は、危機管理のための措置を的確かつ迅速に実施するため、あらかじめ措置の内容、実施方法、実施体制その他危機管理のための措置の実施に関し必要な事項について定めた計画を作成するものとする。
(3) 危機管理対策本部
危機管理対策本部の設置、所掌事務、組織その他必要な事項について定める。
7 施行期日等
(1) 施行期日
(2) 検討
知事は、この条例の施行後3年を経過したときは、この条例の規定及びその実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。