1 条例の趣旨 | この条例は、本県における知的財産の創造等が本県の産業活動及び県民生活において果たす役割の重要性にかんがみ、「知の地域」づくりの一翼を担う知的財産の創造等に関する政策の目標を明らかにするとともに、その目標の達成に資するための施策に関し基本となるべき事項を定め、及び職員が行う職務発明等に関し必要な事項を定める。 |
2 政策の目標 | 県は、次の事項を知的財産の創造等に関する政策目標とする。
ア 知的財産の創造等に関する県民及び事業者の創意ある努力を尊重して、その活動を助長することにより、知的財産を意識した活動を行うことのできる風土形成を図ること。
イ 知的財産の創造等に向けた支援の実施により、本県の産業活動の高付加価値化及びその自立を促進し、もって、本県産業の成長発展及び活力ある地域社会の実現を図ること。 |
3 県の責務及び関係機関の取組 | |
(1) 県の責務 | ア 風土づくりの推進
県は、知的財産を意識した活動を行うことのできる風土づくりを推進するために、次の取組を行う。
(ア) 県民及び事業者が知的財産を意識した活動を行うことのできる風土づくりの推進のために必要な意識啓発及び情報提供
(イ) 県民及び事業者の創意ある工夫及び発明の推進並びに事業化の支援
イ 人材の基盤整備
県は、知的財産の創造等に関わる人材の基盤を整備するため、次の取組を行う。
(ア) 知的財産支援機関(鳥取県知的所有権センター)に配置される知的財産に関する専門人材の確保その他の知的財産の創造等を支えるために必要な人材の確保
(イ) 知的財産に関する研修等の実施による、知的財産の創造等を担う人材の育成
ウ 産学金官の連携
県は、産学金官(県、大学等、事業者及び金融機関等をいう。以下同じ。)の連携を相互に深め、事業者が取り組む技術開発、販路開拓等の推進のために必要となる支援を実施するため、次の取組を行う。
(ア) 知的財産の創造に向けた研究開発費の支援、知財流通の調整その他の知財サイクルへの事業者の参画を促すために産学金官で連携して実施する次の事業の実施
・独自技術開発に向けた研究開発費の支援
・知財流通の調整及び情報提供機能の充実による事業者の経営基盤強化につながる知的財産権の使用の支援
・技術交流及び共同研究実施による技術移転の促進
・産学金官と連携した知的財産に関する総合的な相談窓口の知的財産支援機関(鳥取県知的所有権センター)への設置による知的財産の権利化の支援
・営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報を管理する体制の確立による事業者の経営基盤強化につながる支援
・知的財産その他の独自技術を活用した創業及び事業化の支援
・その他知財サイクル推進のために必要となる支援
(イ) 地域固有の資源を活用したブランドの創出及び育成に向けて事業者が取り組む技術開発、販路開拓等の推進のために必要となる支援
エ 県による知的財産の創造等
県は、県自らが有用性の高い知的財産を創出するとともに、技術移転等により知的財産の社会的活用を促進するため、次の取組を行う。
(ア) 知的財産を意識した活動及び本県産業の振興に寄与する技術の開発並びに県が保有する知的財産権の活用、権利放棄等に係る評価による知的財産の創造等の促進
(イ) 県の試験研究機関が行う共同研究及び技術相談による県民及び事業者への技術移転の促進
(ウ) 県が保有する知的財産権の県民及び事業者の優先的活用の推進
(エ) 県が保有する知的財産権の状況の公表による事業者への技術移転の促進
(オ) 事業者が創意・工夫により創造した製品等の積極的な購入・活用による事業者の受注機会の増大及び創造的な事業活動の促進の支援 |
(2) 大学等の取組 | ○大学等は、次の取組を行う。
(ア) 研究成果の帰属及び取扱いに関する指針等の明確化により、研究者等の適切な処遇を確保し、及び知的財産の創造等を促進すること。
(イ) 学内教育等の実施により、知的財産に関する高度な専門知識を有する人材を育成すること。
(ウ) 本県産業の競争力強化につながる技術移転により、地域貢献を図ること。 |
(3) 事業者の取組 | ○事業者は、次の取組を行う。
(ア) 職務に関する発明規程の整備等により研究者等の処遇の向上に努めるとともに、知的財産の創造等及び知的財産の経営戦略への活用により産業活動の高付加価値化及び新分野への進出を図り、雇用の創出を促進すること。
(イ) 産業活動が社会において果たす役割を認識し、営業秘密・技術の流出防止等の措置により、本県産業活動に対する信用の向上を図ること。
(ウ) 事業者相互間において、知的財産権を尊重した経済活動を行うこと。 |
(4) 金融機関等の取組 | ○金融機関等は、次の取組を行う。
知的財産の創造並びに独自技術を活用した創業及び事業化のために必要となる資金の供給及び事業者間の連携支援の実施により、本県産業活動のすそ野を広げ、地域経済の発展を担う事業者の発掘及び育成に努めること。 |
(5) 県民の取組 | 県民は、次の取組を行う。
(ア) 自ら進んで知的財産に関する理解を深め、知的財産を意識した活動を行うことのできる風土づくりに積極的な役割を果たすこと。
(イ) 真正な製品又は役務の購入、活用等により、知的財産を尊重した活動を行うこと。 |
4 県における職務発明等の取扱い | 県の試験研究機関における研究成果等である県職員の職務発明に係る取扱いについて、現在規則で規定している内容を見直すとともに、次のとおり条例で規定する。
ア 職務発明を行った職員の処遇向上
・当該職員への発明対価としての補償金の規定の整備
イ 職務発明を行った職員の権利保護
・県が保有する知的財産権について、県が権利放棄する際、当該職員へ権利を返還する旨の規定の整備
ウ 知的財産の取扱いの保護強化
・県が県の機関以外の者と共同研究開発を実施する場合及び県が研究開発を県の機関以外の者へ委託する場合に、知的財産権の取扱いを明記した契約等を締結することを義務化
エ 知的財産の財産管理の透明化
・県が保有する知的財産権等に係る第三者への実施の許諾、その際の実施料の徴収等を条例で規定 |
5 その他 | この条例で用いる用語の定義、規則への委任等の必要な事項を定める。 |
6 施行期日等 | (1) 施行期日
施行期日は、平成18年4月1日とする。
(2) 経過措置
所要の経過措置を講じる。
(3) この条例の失効
この条例は、平成23年3月31日までに延長その他の所要の措置が講じられないときは、同日限り、その効力を失う。 |