1 事業概要
県育成のオリジナル新品種「とっておき」について、県内イチゴ産地の産地強化に繋がる生産基盤の整備、県内種苗供給体制づくり、販売促進・消費拡大の推進などを総合的に支援し、県内のイチゴ栽培面積10%アップ、「とっておき」販売額1億円アップを目指す。
2 事業内容
事業期間令和2年度〜令和4年度 (千円)
細事業 | 項目 | 内容(事業対象) | 事業主体 | 補助率 | 県補助金 | 補助上限 |
人づくり | 産地強化支援 | (1)「鳥取いちごブランド化推進協議会」(仮称)の新設と活動支援
(2)技術修得のための研修会等の開催
(会議、研修会等の開催、先進産地・主要市場の視察等に係る経費)
| 生産組織 | 定額 | 72 | - |
物づくり | 生産・技術向上支援 | (1)単収向上、品質向上に係る機械、資材の導入支援
(CO2施用機械、暖房機械・軸折れ防止資材等、単収向上に資する機械や資材導入等に係る経費)
| JA、農業者、法人等 | 県1/3、市町村1/6
※広域の場合は県1/3 | 1,476 | 350
事業実施主体 |
販売促進・消費拡大支援 | (1)「とっておき」PRツール支援
(共通段ボール箱、パッケージ作成、ロゴやのぼり等販売促進に必要な資材等に係る経費)
| 生産組織 | 定額 | 913 | - |
(2)商談会出展等販売促進活動支援
(出展料、旅費、郵送費等「とっておき」PR活動に係る経費) | 生産組織、JA、農業者、法人等 | 県1/2、市町村1/6
※広域の場合は県1/2 | 450 | 150
事業実施主体 |
環境づくり | 産地規模拡大支援 | (1)イチゴ用大型低コストハウスの開発と推進実証事業
新たな大型低コストハウス試作・高設システム等の整備支援
※現状のハウスの仕様(間口6m)に加え、R2年度に新たなハウスの仕様(間口8m等)の試作・導入を進め、イチゴ栽培の低コスト・効率化を図ることし、R2年度に限り1/2の高率補助(附帯設備含む)とする。(県内3か所分)。
(2)種苗供給体制構築実証事業
育苗環境整備支援(育苗受託者によるハウスやベンチ等の導入に係る経費)
※R2年度は苗の普及期であることから、育苗受託者は今後の育苗事業者の技術指導・栽培指導をすることを要件に1/2の高率補助とする。
| 生産組織、JA、農業者、法人等 | (1)、(2)
県1/2、市町村1/6
※広域の場合は県1/2 | 24,461 | (1) 6,000
事業実施主体
(2) 3,100
事業実施主体
|
合計 | 27,372 | |
産地規模拡大支援の今後の補助率の考え方について
内容(事業対象) | R2年度
(振興期) | R3年度〜
(普及期) |
(1)イチゴ用大型低コストハウスの開発と推進 | 1/2 | 1/3 |
(2)種苗供給体制構築 | 1/2 | 1/3 |
3 背景
イチゴは、かつては鳥取県の主要な園芸品目であったが、平成25年に7.9ha、平成29年には7.2haまで減少している(とっとり農業戦略課調べ)。
- イチゴは規模拡大や新規就農での施設投資が高くなり、産地の規模拡大が進みにくい状況であるが、近年は高収益性に着目した、企業の参入等による生産拡大の動きもあり、新たな地域特産品としての育成や従業員の雇用創出に繋がることが期待されている。
- 県園芸試験場では、約20年かけ冬期の収量と果実品質に優れる新品種「とっておき」を育成し平成30年10月に品種登録した。「とっておき」は、生産者、消費者からの評価が飛躍的に高まっており、生産者数、栽培面積ともに増加し、産地強化の機運が高まっている。
- 「鳥取県限定」、「オリジナル品種」が販売上大きなメリットとなるという生産者からの要望を受け、生産者、JA等と協議しながら本品種を県内限定品種として県内の生産体制を強化する方針とした。
4 課題
県内イチゴ生産者は系統外出荷の生産者も多く、「鳥取いちごブランド化推進協議会(仮称)」等の生産組織を新設し、情報共有をしながら戦略的に産地形成を促進することが必要である。
「とっておき」は、県内で栽培の多い「章姫」や「紅ほっぺ」等と細かな栽培技術が異なることから、新技術の導入や研修の実施等により、「とっておき」に合った栽培技術の向上を図ることが必要である。
「とっておき」の知名度はまだ低く、差別化した販売に向けて量産できる体制を整え、積極的に県内外へPRすることが急務である。県としても他課と連携してPRするほか、生産組織や各生産者が積極的にPRすることによるブランド力向上が必要である。
初期投資が高額であることが規模拡大や新規就農を阻む要因となっており、「とっておき」を起爆剤として、イチゴ産地の規模拡大を政策的に進めていく必要がある。
イチゴ経営で有利な年内早出しを進めるために、鳥取型低コストハウスの仕様よりも間口が広く(間口8m等)保温性に優れた新たな仕様開発が必須である。
現在「とっておき」の親株の育苗は、園芸試験場が緊急的に実施しているが、県内限定の方針の下、県内での育苗供給体制を民間事業者の中で構築することが急務である(R5年から民間業者による供給開始目標)。