1 事業の目的・概要
近年多発する大型台風等の影響により、ため池の決壊、それに起因する人的被害が発生する懸念が強まっている。
一方、決壊した場合に住民や重要施設に影響を及ぼすため池の基準が見直されたことにより、防災対策を要するため池(以下、防災重点ため池)の数が大幅に増加し、管理者である農家・地域住民による適切な保全管理体制の構築や避難体制の確保が喫緊の課題となっている。
このため、防災重点ため池の管理手法及び適切な管理体制について緊急的に整備することで、地域で取り組み可能なため池の管理体制を構築し、安全の確保及び住民全体の意識向上を図る。
2 主な事業内容
(単位:千円)
| 細事業名 | 内容 | 現計予算 | 補正要求 | 補正後 |
対応1 | 低水位管理実証事業 | ●低水位管理による営農リスクを除去するため、決壊時に下流への影響が大きいため池(2箇所程度)での作物の期別貯水量等の調査(1年目)及び検討(2年目) | 3,000 | | 3,000 |
対応2 | ため池の適正管理推進事業 | <平常時対策>
●農家や地域住民といった非専門家にもわかりやすい日常管理チェックシートの作成 | 4,300 | | 4,300 |
<緊急時対策>
●ため池防災支援システムの導入のための機器整備
(タブレット端末整備)
●ため池防災支援システムの実地研修会の開催 | 364 | | 364 |
対応3 | VR技術を活用した危機意識向上啓発事業 | ●ため池決壊による浸水等被害状況を視覚的に訴えることで、住民の危機意識向上を啓発し、ハザードマップ内容の理解をはじめ、災害時の確実な避難行動を促すことを目的とする。
(実施内容)ため池下流域の仮想空間作成、決壊時の洪水状況をVR技術により同空間内に反映。(開発検討) | | 7,000 | 7,000 |
合計 | 7,664 | 7,000 | 14,664 |
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3 現状の課題等
防災重点ため池においては、ハザードマップ(以下、HM)を作成するなどして住民の防災意識を高めるとともに安全な避難について啓発を行っているところだが、近年の豪雨において、HMが作成されているにも関わらず、実際の災害時に住民が避難行動を起こしていないなど、新たな課題が浮かび上がっている。
〈課題〉
・これまで、決壊による被災経験が無く、未曾有の災害に対しての危機意識醸成が困難。
・ハザードマップを作成するものの、浸水エリア内での流速、水深表示等を平面的に確認するだけでは、実感が湧きにくい。
〈対応〉
・実際の浸水状況を視覚的に体験することで、危機意識向上啓発を図る。
(VR技術を活用し、ため池下流域の仮想空間において、洪水の状況を体験する。)
・ハザードマップとの併せ利用により、地域の防災訓練等での活用等から、避難体制の充実を図る。