1 廃止の理由
試験実施期間を終了したため
2 事業内容
県内で生産される豚及び豚肉の品質等を改良するために各種試験・研究を実施する。
(1)鳥取県産豚肉の美味しさと機能性(健康成分)の向上試験
「大山赤ぶた」の特徴として、筋肉内脂肪含量が5〜6%と高く、豚肉の中では珍しい霜降り肉となりやすく、肉の口溶けに影響すると言われている、オレイン酸も46.0%と高い数値が得られている。このことから、県内養豚農家が出荷している約8割の肉豚は他産地、外国産豚肉よりも霜降りでオレイン酸の高い可能性がある。
豚肉に多く含まれている「ビタミンB1」についても測定し、霜降りやオレイン酸と並ぶアピールポイントとなるか、調査する。
(2)大山ルビーの背脂肪厚低減に関する研究
「大山ルビー(DB)」はデュロック種(D)の鳥取県系統豚「大山赤ぶた」の雌に県で造成したバークシャー種(B)の雄を交配して生産される高品質でオリジナル性の高いブランド豚である。消費者の評価は高いが、生産者からは枝肉成績で背脂肪が厚い事による格落ちが多く、収益に影響するため、厚脂改善の要望がある。そこで、既存技術の検証を含め、ブランド豚の品質を保ちながら、背脂肪厚の低減技術を開発し、生産者の収益が向上する飼育方法、飼育マニュアルを提示する。これらのことから、高品質な大山ルビーの魅力を明確にし、消費者へのアピールポイントを提示する。
(3)大山赤ぶたの繁殖性向上に関する研究
系統造成豚「大山赤ぶた」は、県ブランド豚「大山ルビー」の生産を始め、県下の養豚農家で活用されている。しかし、大山赤ぶたは産肉性を重視した改良が進められ、繁殖性については重要視されていなかった。このため、近年産子数が低下してきていることから、育種、栄養、獣医療からアプローチし、母豚の繁殖性の向上に取り組む。
ア 繁殖成績の育種価の算定により繁殖能力の高い家系を調査、農家へ供給し、また維持改良を行う。
イ アルギニン(アミノ酸の一種)の給与により繁殖成績に与える影響を調査する。
ウ 経直腸的な超音波画像診断装置を駆使して、繁殖障害の究明、生殖器の観察による定時人工授精(ホルモン剤を活用して決まっ た日程で人工授精を行い、労力低減、分娩率改善等を図る技術)を目標とした技術を開発する。
3 試験結果
(1)鳥取県産豚肉の美味しさと機能性(健康成分)の向上試験
・ オレイン酸含有量は平均43.3%と高い値であった。
・ ビタミンB1含有量は平均1.60mg/100gと高い値(標準成分値0.8mg/100g))であり、新たなアピールポイントになると思わ
れた。
(2)大山ルビーの背脂肪厚低減に関する研究
・ 去勢と雌を別飼して背脂肪厚低減を試みたが、低減できなかった。
・発育が早い豚が背脂肪が厚い傾向があったため、発育を緩やかにすることで背脂肪厚を低減できる可能性が示唆された。
(3)大山赤ぶたの繁殖性向上に関する研究
・妊娠後期にアルギニンを飼料添加することによって、死産頭数が減少する傾向が認められた。
・ホルモン剤投与による定時人工授精は現時点で受胎例が得られなかった。