1 終了の理由
試験実施期間を終了したため
2 試験概要
乳牛の繁殖性低下の要因の一つであると考えられている第一胃(ルーメン)内の異常発酵によって発生するエンドトキシンが繁殖に負の影響を及ぼす量を調査し、飼料給与改善の指標とすることで、健全なルーメン内発酵を維持し、エンドトキシン発生の抑制により繁殖機能を正常化し、分娩間隔の短縮を図る。
3 試験内容
(1)乳牛に給与する飼料内容に相応するルーメン内発酵から生じるエンドトキシン量と初回発情日数等を比較し、繁殖性への影響を確認する。
(2)繁殖性への影響を確認したエンドトキシン量を指標とし、それを基に乳牛の健全なルーメン内発酵を維持し、繁殖性の改善を図る。
(3)乳牛の牛群検定の目標値として設定されている平均分娩間隔380日以下を目指す。
4 試験結果
(1)乳牛に給与する飼料となるTMR(混合飼料)の粒度(細断の程度)を、細かくしたもの(試験区)と推奨粒度(対照区)で作成し、これによりルーメン内発酵から生じるエンドトキシン量の違いを調査した。
(2)搾乳牛から採取・抽出した血漿を100倍希釈でマイクロプレートリーダーにより測定を実施した結果、試験区・対照区ともに血中エンドトキシンの存在を確認できた。しかしながら、TMR粒度の差による血中エンドトキシン濃度への影響については両区で明確な差は認められなかった。
(3)繁殖性については、分娩後の1頭当たりの人工授精回数が試験区で3.3回、対照区で1.9回と、試験区の方が多くなる傾向がみられ、乳牛の繁殖性を維持・向上させるためには鳥取県が推奨しているTMR粒度で調製することが重要であることが示唆された。