1 事業の目的・概要
地域内のエネルギー資源を有効活用する若桜町のモデル的な取り組み(地域エコシステム)を支援するため、チップ原木の水分管理の手法と、価格設定に役立つ簡易な含水率判定手法の確立を目指す。なお、本事業は地方創生交付金充当事業である。
2 主な事業内容
上記の目標を達成するめ、チップ原木の簡易な含水率判定手法開発と、山土場等で実施可能な原木乾燥手法のマニュアル化について試験研究を実施する。
3 背景
若桜町では町営施設や公益性の高い事業所にチップボイラを導入し、町内の豊富な森林資源を地域のエネルギーとして利用する取り組み(地域エコシステム)を進めている。
ボイラの燃料にはスギ丸太を破砕したチップが用いられるが、高い熱量を確保するためには燃料チップの水分は出来るだけ少ない(低含水率である)ことが望ましい。
一方、原料のスギ丸太は県内全域で重量買いされており、重い丸太(=含水率が高い)ほど買い取り価格が高いのが現状。地域エコシステムを早急に軌道に乗せるには、低含水率チップの安定供給体制の構築が必須である。
町や事業者からは、原料丸太を含水率で適正に価格評価する簡易な含水率判定手法の確立と、素材生産者が現場で実施可能な原木の含水率低減手法の提案が求められている。
4 研究計画と目標
乾燥の程度で原木を適正評価する手法と、山側で低労力で可能な原木乾燥手段を調査するため、以下の二点について調査・研究を行う。
・トラックスケール(重量計)と簡易な画像解析システム等を用い、トラック荷姿の状態で、おおよその含水率を判別する手法を確立する。
・葉枯らしや林道縁での貯木など、現場で可能な原木乾燥の効果を調査し、適した貯木方法や時期等を明らかにする
5 研究の効果
●生産者・消費者への効果
・含水率によって価格差を付けることで、低含水率なチップが安定的に供給される
・木質バイオマスの地域内循環利用の促進
●県内他地域への効果
健全な森林経営と持続可能な地域資源の活用策を探っていく上で、先駆的な若桜町の取り組みは県内の木質バイオマス資源の利活用におけるモデルケースとなり得る。
なお、若桜町域だけで以下の経済的効果が見込まれる。
・公共施設や公益性の高い事業所(労福施設)で約10,000千円/年程度の化石燃料を町内産木質バイオマスに転換。