・これまで規格材を供給できる(機械等級区分が可能な)工場が、県西部1社のみであったが、令和元年には県東部にも1社増え、規格材の生産が本格化しつつある。
・また、平成22年に「公共建築物における木材の促進に関する法律」が施行され、従来の木造住宅への利用に加え、中規模建築物などで木材の需要が漸増しつつある。
・中規模建築物は、床面積が広く長尺の梁桁が必要となるため、一般に木構造(主にトラス)の施工が計画される。木構造(トラス)は構造計算して設計され、部材は計算上必要とする強度を要求されるため、特殊な寸法になりがちである。
・一方で、流通している規格材のサイズ、品質・強度と生産状況が把握できていないため、中規模建築での木構造の設計に県産の規格材を採用しにくい状況にある。
(1)県産スギ規格材の基礎調査と情報共有
・JAS工場で生産されている県産規格材のサイズと品質、強度、それぞれの生産量を調査し、生産実態を把握する
・建築関係業者(需要側)と製材工場(供給側)に対し、生産状況の把握や計画的な生産の参考となるデータとして提供し、規格材の利用促進を図る
(2)県内中規模建築等における木構造(トラス)の調査
・近年の建築物のトラスに使用されている部材の規格や構造を把握し、調査結果を基に県産規格材を用いたトラスを検討する
(3)強度試験
・木構造設計での規格材の採用を促進するため、生産量の多い規格材を対象に試験を行い、構造計算に必要な部材での圧縮・引張強度データを収集し、県内関係業者に情報提供する
・上記部材を用い、小単位での木構造試験や実大のトラス構造体を作製して試験を行い、規格材部材や接合部の変形・損傷状況を確認し性能を検証する
・県産規格材の流通量、生産量の拡大。
・中規模建築物等の設計で、入手しやすい材料でのトラス設計を促し、一般に流通している寸法の県産規格材を採用しやすくなる。
・トラス施工の際、材料が入手しやすく、コスト低減が期待できる。