1 事業の目的・概要
児童虐待の対応について、問題が深刻化する前の早期発見・早期対応を図るとともに、関係機関(地域)と連携による効果的な援助が求められている。
児童家庭相談の充実をはじめ、児童虐待防止対策を始めとする要保護児童対策の充実・強化を図る。
2 主な事業内容
(単位:千円)
| 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度6月補正後予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | 児童相談所子育て支援事業 | <児童支援>
・虐待の影響で不適応を起こしている児童を支援するため遊戯療法やカウンセリング等の心理療法を実施する。
・虐待の影響で集団生活になじめない児童を支援するため、グル−プ活動を通して協力することの大切さを体験させる。
<保護者支援>
子育てに不安があり一人で悩む母親や、我が子に対して辛くあたる母親を支援するため、話し合いと支え合う場の提供しカウンセリングを実施する | 1,126 | 1,220 | |
2 | 児童相談所運営費 | 児童相談など各種相談活動を実施する | 18,004 | 16,104 | ・必要備品の購入、設置費等を要求
・事業統合(児童相談所体制強化事業) |
3 | 児童相談システム管理運営事業 | 既存端末の更新及び保守に加え、児童相談に関する情報管理を行う「児童相談システム」の再構築、システム刷新に伴う既存データの抽出、新システムへの既存データ移行業務を委託する。 | 38,377 | 1,856 | ・追加端末なし
・更新対象端末数減
・新システム構築業務
・既存システムのデータ抽出業務
・新システムへの既存データ移行業務 |
4 | 関係機関連携促進事業費 | 保育所・幼稚園・学校、警察等と児童虐待に係わる連携を推進し、相談活動を推進するとともに、保育所等関係機関に出向き、虐待をはじめとする相談に応ずる。 | 144 | 144 | ・なし |
| 〔事業統合〕児童相談所体制強化事業(医学的所見機能強化事業) | | 0 | 1,303 | ・児童相談所運営費へ事業統合 |
| 〔廃止〕3歳児等精密検診及び事後指導事業 | | 0 | 136 | ・実施予定なしのため廃止 |
| 〔廃止〕中国地区児童相談所職員研究協議会開催事業 | | 0 | 356 | ・他県開催のため計上なし |
合計 | 57,651 | 21,119 | |
3 背景
児童虐待の対応について、問題が深刻化する前の早期発見・早期対応を図るとともに、関係機関(地域)と連携による効果的な援助が求められている。
児童家庭相談の充実をはじめ、児童虐待防止対策を始めとする要保護児童対策の充実・強化を図る。
○県内設置の児童相談所一覧
福祉相談センター
(中央児童相談所) | 鳥取市江津318-1 |
倉吉児童相談所 | 倉吉市宮川町2-36 |
米子児童相談所 | 米子市博労町4-50 |
4 前年度からの主な変更点
〇児童相談所運営費
・既存の警備用カメラの更新、相談・面接対応時の室内用監視カメラ及びマイク、電子黒板等の必要備品の新規・追加設置等に係る経費を要求する。
・児童相談所体制事業の一部(細事業:児童相談所の医学的所見機能強化事業)を事業統合して計上している。
〇児童相談システム管理運営事業
・現用システム設計会社が当該事業から撤退することを受け、児童相談に関する情報管理を行う「児童相談システム」の再構築が必要となる。また、システム刷新に伴う既存データの抽出、新システムへの既存データ移行業務を委託する。
〇事業の廃止
・3歳児等精密検診及び事後指導事業(令和2年度実施予定なし)及び中国地区児童相談所職員研究協議会開催事業(令和元年度は鳥取県が輪番で開催県であったが、令和2年度は他県開催のため本県実施予定なし)の2事業については、令和2年度の実施はないため廃止する。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<主な取り組み>
児童相談所は、児童の最善の利益を実現することを目的として、子どもや家庭についてあらゆる相談を受ける専門機関である。
下記のとおり、児童相談の種別も様々で養護相談、保健相談、障がい相談、非行相談、育成相談など児童福祉に関する各種相談に応じている。
<相談種別>
・養護相談
保護者の失踪、死亡等による育児困難児や被虐待児など環境的問題に関する相談
・保健相談
未熟児、虚弱児、小児ぜんそく、その他精神疾病も含めた疾患に関するする相談
・障がい相談
肢体不自由相談、視聴覚障がい相談、言語発達障がい等相談、重症心身障がい相談、知的障がい相談、自閉症相談など
・非行相談
虚言癖、浪費癖、家出、乱暴などの虞犯等相談。また、法に触れる行動をした14歳児未満児童の触法行為等相談。
・育成相談
性格行動相談、不登校相談、適性相談、しつけ相談
<児童虐待への対応と限界>
平成12年度児童虐待防止法が施行されて以降、昨今の社会問題である児童虐待に係る相談事例に対応に追われている実態がある。
このような状況を受け、平成17年度の法改正により市町村が児童相談窓口として位置づけされたことにより、今後は、市町村への援助及び介入的な関わりが必要な困難事例、一時保護や施設入所、専門的ケア等の事例への対応に役割が重点化さつつある。
<個別支援の提供>
相談活動において、個別・具体的な支援が必要と認められる場合、親や子どもの心のケアなどに取り組んでいる。
特に、虐待を受けた児童、不適切な養育環境におかれた児童は学校で不適応を起こし問題行動を起こしたり、集団生活になじめず他人との人間関係がうまくとれなくなったりする。このため、虐待を受けた児童には、様々な方法で相談援助活動を提供して支援している。
また、保護者に対しても、子育ての困難さや不安(虐待せざるを得なかった状況)を受けとめ、カウンセリングを行い、子育て不安の軽減と虐待の再発防止に努めている。
これまでの取組に対する評価
<児童虐待と相談体制>
地域における子育て力の低下や児童虐待の増加にともない児童相談所はこれまでの相談体制のみでの対応が困難となり、家庭相談体制の限界をもたらすこととなった。
<相談体制の役割分担>
このような状況を受け、児童相談体制の充実が図られてきており、特に、児童相談体制の充実については「児童相談に応じることを市町村の業務として法律上位置づけ、身近な市町村において虐待の未然防止・早期発見を中心に積極的な取組を求めつつ、児童相談所の役割を専門的な知識及び技術を必要とする事例への対応や市町村の後方支援に重点化することによって、児童相談に関わる主体を増やし、その役割を明確化することにより、全体として相談体制に底上げを図り、地域における児童相談体制の充実を図る」ものとされた。
<関係機関との連携>
なお、児童虐待を始めとする複雑な問題を抱える相談に適切に対応するためには、関係機関・専門職種との連携強化が不可欠である。
困難事例に対応するために、様々な形での支援のネットワーク体制が整備されつつあるが、これまで以上に相互理解に基づく有機的な連携体制を充実させる必要がある。
今後も、児童相談所が中心となり、関係機関の相互理解に基づく実質的な連携確保をいかに形成していくか、相談体制の充実が求められている。