1 事業の目的・概要
カニの漁獲量日本一の鳥取県として、蟹取県にふさわしい品質のズワイガニの提供を可能とする活魚保管技術の開発(カニ保管マニュアルの策定)を行う。また、観光、贈答品、直売等で重宝されるイカ類に対して、鳥取墨なし白イカ「白輝姫」に続く、特徴あるイカ類の提供が可能となる技術開発を行う。
2 主な事業内容
●ズワイガニ●
活魚で取り扱いされる雄を主な調査対象にし、以下の調査を実施し、活がにマニュアルを策定する。
(1)保管条件の検討
(2)マニュアルの策定および技術普及
●イカ類●
鳥取県では、周年を通して様々な種類のイカの出荷がある。年間と通して特徴的なブランドイカを出荷することを目標に以下の調査を実施する。
(1)墨対策(対象:コウイカ、アオリイカ、ソデイカ(赤いか))
墨止め処理の効率化を図るべく、平成30年度に米子工業高等専門学校と共同で開発した機器の実用化
(2)技術普及
墨止め手法等を漁業者等に技術普及
3 前年度からの変更点
(1)備品費:ズワイガニの保管条件の指標として、アンモニア濃度の測定機器2台(396千円)をH31年度に購入したため、減額
(2)委託料:民間業者への墨止め器具用金型製作委託料の増額(495千円)
4 予算比較
予算区分 | 内訳 | R2年度
(単位:千円) | H31年度
当初予算 |
人件費 | 非常勤職員報酬及び社会保険料 | − | 114 |
委託費 | 民間業者への墨止め器具用金型製作委託料 | 495 | 0 |
備品費 | アンモニアメータ2台 | 0 | 396 |
旅費 | 普通旅費(試験、技術指導等) | 49 | 49 |
需用費 | 消耗品費、燃料費、印刷製本、魚体購入等 | 225 | 225 |
役務費 | 電話郵券等 | 28 | 28 |
合計 | | 797 | 812 |
R1.6月補正なし
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【ズワイガニ】
・水温、塩分とも徐々に変化させた場合には、短期的に死亡しない閾値と思われる数値は、想定よりかなり高く、耐性がある可能性が分かった。
・死亡、脚落ちが見られた際にアンモニウム濃度が急上昇しており、この数値が指標になりうる可能性が分かった。
・アンモニウム濃度について、比色による簡易的な濃度測定(パックテスト)だけでなく、アンモニウム濃度の厳密な数値測定を実施した。
【イカ類】
・鳥取県漁協賀露支所の漁業者の協力のもと、コウイカの簡易墨止め器を開発した。
・H30年度に米子工業高専専門学校とコウイカ等の墨止め機器を共同で開発した。
これまでの取組に対する評価
【ズワイガニ】
・沖合底びき網の船頭、ズワイガニを扱う仲買等に試験内容を説明したところ、非常に高い関心があった。
【イカ類】
・墨止めコウイカを試験販売したところ、1箱あたり500〜1,000円(1〜2割の単価向上)の付加価値が付いた。実施した漁業者からは、墨止めを実施した最初の箱が高いと、墨止めをしていない箱も相対的に相場が高くなるので、箱単価以上に効果があるとの評価があった。また、漁協のセリ担当職員や仲買からも墨で汚れていないのは良いとの「お墨付き」をいただいた。
・米子工業高等専門学校と共同開発した墨止め機器の使い勝手を漁業者に試していただいた結果、課題はあるものの、簡易墨止め器よりも使い勝手が良いとの高評価を得た。