これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【沿岸漁業重要資源調査】
ヒラメ、カレイ類、マダイ等の稚魚の発生量調査及び、県東部の小型底びき網漁とソデイカ樽流し漁の漁期前試験操業を漁船を用船して行った。
また、市場調査により、ヒラメ、マダイ、サワラ、マアジ、ソデイカ等の漁獲動向や資源状況の把握を実施した。近年、小型定置網の経営体数が増加したこともあり、定置網の最重要魚種のマアジの測定をR元年度から強化している。
モニタリング調査で得られた結果は、随時、漁業関係者団体の協議会等で報告し、資源管理、効率的な漁獲、漁業経営に役立てられている。即時性を高めるために栽培漁業センターホームページでも情報発信するなどの改善を行っている。
【環境に適した漁法の開発試験】
サワラ夜間釣は、釣獲できることは試験操業で把握できたが、漁場利用の調整上、普及が難しい状況である。そこで、漁業者から要望のあった「サンマの代替え餌の検討」に移行し、令和元年度から調査を開始している。
また、小型底びき網のビームの延長と袋網の目合拡大試験では、漁獲効率を上げつつ、小型魚を保護できることが分かったが、島根県との漁業調整が難しい状況にある。
深海性カレイ類の延縄等の試験操業では、漁獲できることは確認できたが、採算性に関して問題があり、対象魚種の変更(高級魚のアカムツやアマダイ)等を検討する。
【沿岸漁業収益向上対策試験】
まずは、活魚ができる魚種の選定を行うとともに、県営境港市場への活魚出荷システムの構築を漁業者、市場関係者等と協議しながら進めている。
これまでの取組に対する評価
【沿岸漁業重要資源調査】
漁業者にとって資源や漁獲の動向は最大の関心事項であり、本調査の結果は非常にニーズが高い。市場調査の際など多くの漁業者から情報を求められる機会が多く、「操業の参考になった」等、調査継続を望む声は大きい。
【環境に適した漁法の開発試験】
近年の沿岸漁業では二極化が顕著で、県西部海域で刺網を操業する漁業者は経営が順調なものの、県東部等の小規模経営体では、非常に厳しい経営状況にある。また、一部魚種では好調な漁獲となっているが、多くの魚種の資源状態は良くない状況にある。このような中、新たな漁法の検討や改良は、業界内ではあまりない「明るい話題」として期待の声が高く、いち早く着業実績を作るなど目に見える成果を出してほしいとの要望が挙がっている。試験操業を漁船を用船し、漁具を用船先の漁業者に作成してもらう等、着業につながる形で調査を実施しており、用船希望者がある状況。
【沿岸漁業収益向上対策試験】
調査用船先の小型底びき網漁業者は、陸上に活魚施設を導入するなど調査を活かすための設備投資を行っている。
県営境港市場には、ヒラメ、エビ類、オニオコゼ等で活魚出荷が小規模ながら行われており、市場関係者の意見を基に出荷規模、形態等の検討を進めていく。