1 事業の目的・概要
再生可能エネルギーを含め多種多様なエネルギー源から製造し、貯蔵・運搬することが出来、かつ電気・熱を取り出すことが出来る”水素エネルギー”についての実証や環境教育を通して、脱炭素社会の実現を目指す。
2 主な事業内容
水素エネルギー実証(教育)拠点整備プロジェクト【継続】
太陽光を活用した水素ステーション、スマートハウス、学習パビリオンを全国で初めて一体的に整備した「鳥取すいそ学びうむ」を管理運営(※)し、水素利活用にかかる普及啓発を図る。
(※)運営主体:鳥取県水素エネルギー推進協議会
(構成団体:鳥取ガス、積水ハウス、本田技研工業、とっとり市民電力、アクシス、ホンダカーズ鳥取、鳥取環境大学、鳥取市、鳥取県)
【要求額】 3,630千円(4,500千円)
SHSのメンテナンス 500千円
コンシェルジュ機能(人件費等) 2,630千円
イベントの実施 500千円
鳥取県水素エネルギー推進協議会【継続】
鳥取ならではの水素を活用したCO2フリーのコミュニティ「鳥取県スマート水素タウン」など、水素利活用にかかる新たな取り組みを進めるため有識者等を交えた意見交換を実施する。
【要求額】 333千円(333千円)
水素ステーション研究会【継続】
県内への水素ステーション整備を目的とした研究会を平成29年度に設立。県内エネルギー関係事業者を集め、勉強会を開催する。
【要求額】 260千円(260千円)
水素・燃料電池セミナー【継続】
県内の人材育成を主目的として、成長市場である水素関連技術や幅広い事業領域での水素利活用に関する講演会を開催する。
【要求額】 540千円(540千円)
鳥取県水素・再エネ推進会議【継続】
「鳥取県水素エネルギー推進ビジョン」(H28.2策定)を実現するため、推進方策の検討やビジョン進捗管理、ロードマップの改定などを行うことを目的とした有識者会議を開催する。
【要求額】 874千円(872千円)
3 背景
○2018年10月に、各国の閣僚レベルが「水素社会の実現」に関して議論する世界初の会議「水素閣僚会議」が開催され「水素は、経済成長及びエネルギー安全保障と同時に、大気質の改善・温室効果ガスの削減により、環境保護に貢献することができる」との宣言が発表された。
○また、国においては、2018年5月に「第5時エネルギー基本計画」を策定し、脱炭素化に向けて、水素や蓄電池などの技術開発を進めることを明記。加えて2019年3月に発表された、新たな「水素・燃料電池戦略ロードマップ」では、FCVや水素STに係るコスト目標が提示され、かつ、有識者による評価WGを設置し、分野ごとのフォローアップを行うことも明文化されるなど、「水素社会」実現への取組は加速している。
〇本県においても、水素社会の実現に向け、2016年2月に「鳥取県水素エネルギー推進ビジョン」を策定し、これを基として、水素エネルギー実証拠点整備、FCVの導入加速に向けた環境整備、家庭・事業所の省エネ化等の推進に向けて取組を行っているところ。
〇このように、脱炭素化やエネルギー安全保障の観点から照らしてみると、”水素”は我が国のエネルギー構造を多様化させるポテンシャルを有している一方で、一般的には「水素は危険」などのイメージもあるため、これらを払拭し、水素の社会的価値を高めるため、引き続き、鳥取すいそ学びうむやイベントを通して、県民理解向上を図っていく必要がある。
加えて、水素燃料電池自動車の普及に不可欠な、商用水素ステーションが未設置であることから、引き続き、事業者の掘り起こしを図るとともに、水素の社会実装に向けた検討を継続して行っていく。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
平成28年1月:鳥取ガス(株)、積水ハウス(株)、本田技研工業(株)、鳥取県で協定を締結し、「鳥取県水素エネルギー推進コンソーシアム」を設立。
・平成28年2月:水素社会実現への道筋を示すため「鳥取県水素エネルギー推進ビジョン」を策定。
・平成29年9月:太陽光を活用した水素ステーション、スマートハウス、学習パビリオンを、全国で初めて一体的に整備した「鳥取すいそ学びうむ」をオープン。
・平成30年3月:県内の水素ステーション整備を目的に「水素ステーション研究会」を設立。
・平成30年4月:「鳥取すいそ学びうむ」の開館日を週3日に変更。
・平成30年9月:水素を活用したCO2ゼロの暮らしからCO2ゼロのコミュニティへと拡大させるため「スマート水素タウン研究会」を設立。
・令和元年8月:「鳥取県水素エネルギー推進コンソーシアム」を発展的に解散し、新たに「鳥取県水素エネルギー推進協議会」を設立。
これまでの取組に対する評価
・鳥取すいそ学びうむは、全国初の施設ということもあり、全国からの視察が相次いでいるほか、夏休み期間を中心に多くの県民が来場しており、令和元年9月末までの来場者は約,2,500人と多くの方に水素利活用にかかる普及啓発を実施できた。(利用者は年々増加傾向)
・水素に関する技術革新やコスト削減が進んでおらず、鳥取県水素エネルギー推進ビジョンに掲げた燃料電池自動車導入の短期目標の達成が困難な状況
・水素社会実現への鍵を握る水素ステーション整備を図るため「水素ステーション研究会」を設立し、県内事業者のステーション整備に対する理解促進を図ることができた。