1 事業の目的・概要
教員の多忙解消と負担軽減のため、県教育委員会、市町村教育委員会、各学校長に外部有識者を加えた「学校業務カイゼン活動推進検討会」において対策の検討を進めた上で、学校現場の職場環境改善意識を醸成するためのセミナーを開催するとともに、校内研修講師の派遣により学校業務カイゼン活動の進め方等に関する指導助言を通じて、各学校における活動を促進するもの。
2 主な事業内容
学校業務カイゼン活動推進検討会の開催277(277)千円 | 外部有識者からもアドバイス等を受けながら、市町村教育委員会、学校関係者及び県教育委員会が一体となった検討会を設置し、学校業務カイゼン活動の推進を図るもの。 |
トップセミナーの開催285(285)千円 | 各学校長等管理職や市町村教育委員会職員等を対象として、学校現場の業務削減・職場環境改善意識を醸成するためのセミナーの開催経費 |
県立学校への指導助言280(490)千円 | 県立学校における学校業務カイゼン活動及び取組報告会に、専門的知見を有する外部指導者を派遣し指導助言を受けるために要する経費 |
市町村立学校等に対する研修講師の派遣 (700)千円 | 市町村教育委員会等が学校カイゼンモデル校を指定した上で主催する学校業務カイゼン活動に関する研修会に、専門的知見を有する外部指導者を研修講師として派遣するための経費 |
3 背景
全人的な教育を特徴とする我が国の公教育の理念の下で、生徒指導、いじめ・不登校への対応、特別な支援を必要とする児童・生徒への対応はもとより、部活動、食育、環境教育、課外活動、主権者教育等の各種教育の増大、保護者の価値観の多様化などから、学校の業務は複雑化・多様化するとともに、増加する一方であり、その多くを教員が担っているのが現状。
一方で、次期学習指導要領において、アクティブラーニング、小学校における英語の教科化等といった新たな学習指導や、高大接続改革対応等に対応した学習内容の充実が求められているところ。これに対応するための時間、そして何より子どもと向き合う時間を確保することが教員にとって最重要であるが、この時間が十分に取ることができないのが現状。
さらに、平成31年1月には文部科学省から「教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」が示され、時間外業務時間の削減について一層の取組が必要とされている。
4 前年度との変更点
市町村立学校モデル校の増による研修講師派遣数の増(モデル校数検討中)
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
平成25年度より県教委内に「教職員いきいき!プロジェクトチーム(PT)」を設置し、教員の時間的、精神的ゆとりを生み出すための対策を実施してきているところであるが、平成28年度末には、新たに外部有識者からもアドバイス等を受けながら、市町村教育委員会、学校関係者及び県教育委員会が一体となった「学校業務カイゼン活動推進検討会」を設置し、学校業務カイゼン活動の推進を図っている。
平成29年度末には、本検討会でも協議を行い、学校における働き方改革の基本方針となる学校業務カイゼンプランを策定し、時間外業務の削減目標や基本となる取組項目を定め、平成30年度末には業務の見直し・削減や部活動休養日・活動時間遵守の徹底を重点項目とする改訂を行った。
県立学校においては、平成26年度に、県立高校1校において外部指導者のもと業務改善に取り組み、平成27年度から3年間かけて、全県立学校を「学校カイゼン推進校」に指定し、業務改善の取組を実施してきたところであり、PDCAサイクルにより取組を継続しているところ。
また、取組が遅れている市町村立学校での学校業務カイゼン活動の促進のため、平成29年度に国モデル事業を活用して、鳥取市内の小中学校においてモデル校を指定し、学校業務カイゼン活動を実施した。平成30年度には他の市町村立学校へも横展開を図るため、講師派遣等の支援措置を拡大、本年度には全市町村でモデル校事業を実施している。
これまでの取組に対する評価
実態調査結果とプロジェクトチームにおける検討結果を踏まえ、教職員の多忙解消と負担感軽減のための対策を順次実施してきたところであるが、なかなか目に見える効果を確認するまでには至っていなかった。
平成26年度以降、管理職に対するセミナー開催や業務改善研修を実施するなどして、徐々に職場改善意識は醸成されつつあると認識しているところであるが、意識醸成は意識が定着するまで継続的に行う必要がある。
また、学校改善モデル校での取組を通じて学校現場でのカイゼンのありようが示され、取組効果も確認できたことから、これを活用し、学校カイゼン推進校を中心に全県的に各学校が学校カイゼン活動に取り組めるよう各階層に向けた意識醸成と支援を行っていく必要がある。
特に取組が遅れている市町村立学校においても、平成28、29年9月の勤務実態調査により、月80時間を超えて時間外業務を行う教職員が多数いることが判明しており、取組強化が求められているが、平成29年度の国モデル事業を活用した小中学校でのカイゼン活動により、約3割の教職員が取組前と比べて時間外業務が減少したと回答するなど、一定の成果が出ているところ。
<公立学校教職員取組後アンケート結果>
・平成26年度(モデル校)
取組前と比べて時間外業務が減少した:34%
取組前と比べて1日の充実感を感じる:31%
・平成27年度(県立学校カイゼン推進校12校)
取組前と比べて時間外業務が減少した:23%
取組前と比べて1日の充実感を感じる:12%
・平成28年度(県立学校カイゼン推進校12校)
取組前と比べて時間外業務が減少した:26%
取組前と比べて1日の充実感を感じる:11%
・平成29年度(県立学校カイゼン推進校8校)
取組前と比べて時間外業務が減少した:20%
取組前と比べて1日の充実感を感じる:12%
・平成29年度(市町村立学校モデル校2校)
取組前と比べて時間外業務が減少した:29%
取組前と比べて1日の充実感を感じる:14%
・平成30年度(市町村立学校モデル校10校)
取組前と比べて時間外業務が減少した:44%
取組前と比べて1日の充実感を感じる:19%