○現状と課題
鳥取県における一般廃棄物焼却残渣の発生量はおよそ16,000t(平成28年度)であり、焼却残渣を資源化できればリサイクル率の向上に大きく寄与する。
また、県内で発生する焼却残渣のうちおよそ5,600tは、およそ3億円の処理経費をかけて処理委託され県外でセメント原料化されているが、県内で土木資材等として利用することができれば、環境産業の創出等への貢献も期待される。
なお、焼却残渣を再利用するうえで、環境安全性の確保は極めて重要であり、環境汚染を未然に防止し、健全なリサイクルを進める必要がある。
しかし、一般廃棄物焼却残渣の性状は焼却する廃棄物の種類や割合に依存するため、自治体によって多種多様である。そのため、無害化技術は普遍的なものではなく、焼却灰残渣毎に効果を確認して確立する必要がある。
一方で、廃棄物リサイクル材の環境安全性の評価については、現状では、廃棄物に特化した試験方法は定められておらず、便宜的に土壌の評価手法である土壌環境基準による溶出量基準(環告46号)及び土壌汚染対策法による含有量基準(環告19号)が用いられているが、焼却残渣の処理物の評価手法としては十分ではない。
生活環境局は県内の廃棄物リサイクル事業者に対して許認可を出す立場であるが、焼却残渣のリサイクルに係る申請に対しては、環境安全性について判断に苦慮している状況である。
○実施のニーズ
年間およそ3億円の処理費用が県外へと流出している状況で、県内でのリサイクル産業の創出につなげて行くことができれば経済波及効果は大きい。そのためには、コストの低減と環境安全性を確保した適正なリサイクル技術の構築が必要である。
焼却残渣等のリサイクル製品について環境安全性に関する法的な基準がない状況である。これまで我が国ではリサイクル材の不適切な利用が社会問題化した事例もあり、不適正なリサイクルを未然に防止することが必要とされる。