1 事業の目的・概要
建設産業は人口減少社会の中でもインフラ整備と機能確保により、他産業を含む地域経済を支えるとともに、県内GDP約7%、県内就労者数約8%を占める不可欠な産業である。
全国や県内他産業と比較して労働者の高齢化と減少が進む中、ICT等の先端技術活用と住民協働の取組みを連動させ、持続的に地域の発展を支える「鳥取型建設生産性体制」を構築し、受発注者双方の働き方改革を進めるとともに、産官学連携により担い手の確保・育成を図る。
2 主な事業内容
(1)ICT活用による建設生産性向上(15,800千円)
現場での設計図書や基準類の確認や、現場と事務所間でリアルタイムな情報共有による意思決定の迅速化など、現場監督業務を支援するタブレット端末の運用・保守を行う。
また、測量設計業務での生産性向上を図るため、砂防事業等で三次元情報を活用した測量設計を試行実施する。
(2)維持管理の効率化(8,609千円)
鳥取大学との共同研究により開発した維持管理システム(タブレット端末による日常的な道路点検調書の自動作成・保管や住民がスマホで道路の損傷情報の提供が可能)のサーバーの運用・保守を行う。
また、(公財)鳥取県建設技術センターにおいてインフラ点検技術の講習会を開催し、鳥取大学のインフラ点検技術の資格認定制度を活用した住民ボランティアの参画による地域コミュニティ防災づくりに向けた人材育成を図る。
(3)担い手の確保・育成(9,824千円)
産官学連携の協議会により、学生のインターンシップの充実など、若者の入職拡大につながる取り組みを進めるとともに、ドローンによる測量実習などICTの普及拡大に伴う先端技術の活用を担う人材の育成進めて行く。併せて、SNSによる建設産業の魅力発信や高校生、既就労者を対象とした資格取得・技術力向上研修等を行う。
令和2年度からは、鳥取広聴レンジャーから提言のあったオンラインコミュニティを立上げ、建設分野の社会人と学生の日常的な交流を促進することにより、県内企業の魅力を学生に届け、県内就業を促進を図る取組みに支援を行う。
3 これまでの取組状況、改善点
(1)平成29年度からICT活用試行工事を11件実施し、今年度からICTを活用した測量の試行を5件実施し効果検証を進めている。今後は設計業務においてもICT活用の試行を進め、効果検証を実施した上で、受発注者双方の課題等を分析し、県内事業への展開について検討を行う。
(2)鳥取大学との共同研究により道路維持管理システムを開発し、タブレット端末を活用して日常点検業務の効率化を図るとともに、道路損傷情報の住民通報システムの試行を開始した。また、江島大橋において、ロボット技術開発企業と地元企業が連携して先端技術を活用した橋梁点検の実証試験を行い、その成果を全国に先駆けて「ロボット技術を活用した橋梁点検指針案」としてとりまとめた。
(3)協議会による技術力向上研修、資格取得研修、魅力発信等の取組により、高校生等の建設産業に対する興味・関心が高まり、資格取得率が向上する等の成果が出ている。建設分野におけるICTの普及拡大を踏まえ、機械、電気電子、情報科高校等への研修支援を拡大するとともに、より早い時期からの地域の守り手としての建設産業の役割への理解を深めるために小中学校への魅力発信を進めている。
11月補正(近未来技術等社会実装事業)では、専門高校に先端技術のドローン、3次元設計の講義を取り組むことにより、建設分野への知識、興味、関心の向上を図ることとした。
令和2年度では、11月に鳥取広聴レンジャー(県民参画協働課事業)から、県内の建設業者の情報が学生に届いていないとの意見あったため、当協議会と連携し、業界と学生の日常的な交流の活性化を目指す取組みに支援していく。