1 事業の目的・概要・背景
〇県内、特に中山間地域においては、自家用車依存、人口減少等による公共交通利用者の減少やドライバー不足からバス事業者の撤退や路線の廃止、縮小が進み公共交通体系の再構築が必要となっていることから、R1.8.1に「新たな地域交通体系構築のための研究会(座長:鳥取大学谷本教授)」を立ち上げ、県内の地域交通の問題点の把握(ドライバー不足、バスの低乗車率、共助交通の継続性等)、先進地視察や県内市町村との意見交換を実施。
〇R1.11.15に開催した第3回研究会で、今までの検討を踏まえて、各市町村の実情に応じて、地域にフィードバックできる新たな地域交通体系《鳥取モデル》アイデアを提示したところ、方向性について理解が得られた。
〇このような経過を踏まえ、今までバス中心であった公共交通の確保・維持に係る県支援制度を地域の実情に応じてバスに加え、共助交通やタクシーを適材適所で組み合わせ可能な市町村に対する自由度の高い新たな補助金を創設する。
2 主な事業内容
(1)新たな地域交通体系構築支援補助金
| 区分 | 補助メニュー | 補助対象者 | 県補助率 | 補助上限額 |
1 | タクシー助成支援
| (1)小規模高齢化集落等に居住する75歳以上の高齢者、障がい者等
(2)バス路線縮減に伴い新設、拡充するもの
(3)相乗り促進のため上乗せするもの | 市町村 | 1/2
| 70,000千円
※ |
2 | 共助交通への支援 | (1)NPO等による交通空白地有償運送
(2)住民ドライバーの活用 |
3 | 市町村のデマンドバスや多角化等への支援 | (1)市町村によるデマンドバスや乗合タクシー等の運行
(2)市町村バスの多角化等
ア 貨客混載等の取り組み
イ 異業種事業者の参入
ウ 自動車学校、介護施設等の送迎バス空席利用 |
4 | システム導入等新たな仕組みづくりへの支援 | 配車システム導入等の新たな仕組みづくり
※市町村を跨ぐ広域的な新たな仕組みづくりも補助対象とする |
5 | その他県が特に認める事業 | ― |
※市町村バス運行経費は上限50,000千円
(2)車両購入費補助
補助内容 | 補助対象者 | 県補助率 | 補助上限額 |
市町村が生活交通路線を運行するための車両購入費 | 市町村 | 1/3 | 定員11人以上 5,000千円/台
定員11人未満 1,000千円/台 |
NPO等が交通空白地有償運送を行うための車両購入費等 | 市町村 | 1/2 | 1,000千円 |
(3)新たな地域交通体系構築のための研究会
| 細事業名 | 内容 |
1 | 新たな地域交通体系構築のための研究会 | ・研究会開催経費(計3回)
・地域交通に係るセミナー講師謝金・旅費
・既存配車アプリ等の活用の課題等の整理・分析や適材適所又は広域での有効活用策の研究を行い、市町村へフィードバック
・国法改正に伴う新たなモビリティサービス(定額タクシー等)の検討 |
3 県内地域交通の課題及び市町村の主な意見
(1)県内地域交通の課題
・バス事業者、タクシー事業者のドライバーが不足している。市町村営バスの運行委託を事業者が断る事例も起きている。
・バス路線の乗車率が低い。また、便数も限られている。
・町営バス運行費用、路線バス赤字補填、タクシー助成費用などの行政負担が大きくなっている。
・ドライバーの固定化、高齢化により、共助交通を担う一部の組織で将来的な継続が不透明になっている。
(2)市町村の主な意見
〇バスについて
・朝、夕の路線バスは通勤、通学用として維持したい。
・現行のバス補助制度は維持してほしい。
・市町村のバス補助金は年々増加しており、財政支出を抑えたい(今以上の財政支出は厳しい)。特別交付税措置があるからといって放置できない。
〇タクシーについて
・タクシー助成が増加傾向にあること、及び、特に朝はタクシーの台数が不足するケースがあり、相乗り促進を検討したい。
・タクシー助成の新設や拡充を検討しており、県補助金を活用していきたい。
・タクシー会社等交通事業者が存在している場合は支援して地元に残したい(やはりプロの交通事業者が地元にいると安心)
〇自家用有償旅客運送(共助交通)について
・ドライバー不足により交通事業者だけではカバーできないエリア・時間帯は住民ドライバーの力を借りなければならない。
・住民ドライバーと交通事業者で事業エリア・時間帯の棲み分けをし、連携を図りながら移動手段を確保したい(住民主体の共助交通組織を一から立ち上げるのはハードルが高い)