1 異常気象に対応した食味の高位安定技術の開発
(1)安定した「特Aランク」取得に繋がる気象・食味条件の解析と対応技術の確立
・気象(出穂後気温・日射量)と食味関連項目(アミロース・千粒重)の関連の解析
・食味の高位安定に繋がる栽培技術の検討
(2)気象データを利用した被覆肥料の溶出シミュレーションによる効率的な追肥技術の確立
・気温を用いた地温推定法の検討
・推定地温を用いた被覆肥料窒素の溶出シミュレーションの検討
・被覆肥料窒素の溶出シミュレーションを活用した追肥技術の検討
2 イネごま葉枯病を抑制する肥培管理技術の開発
(1)適正な資材投入によるイネごま葉枯病の抑制と適正な生育および食味の確保
・マンガン成分による生育量改善が食味に与える効果の確認および栽培技術への応用
・根圏環境の改善による生育量増加に適合した窒素施肥法の検討
(2)土壌改良材と基肥が同時に施用できるオーダーメイド肥料の検討
〇「きぬむすめ」は、穀物検定協会による食味最高評価「特A」を取得した県内唯一の品種である。平成25年以降、「特A」を5回取得したが、平成29年と令和元年に取得を逃した。県内実需者からは、「特A取得は販売促進に繋がる。安定した特A取得をお願いしたい」との声が聞かれる。
〇近年、平坦地において高温等の異常気象要因の影響と思われる生育・食味の不安定化が問題となっている。県内に広く普及している被覆肥料体系は地温の影響を受けやすく、肥料成分溶出が不安定となることから、食味低下の要因と考えられる。生産現場では、追肥の必要性を判断する技術確立について強い要望がある。
〇気象以外にも、平成28年以降、イネごま葉枯病の多発により、登熟不良がみられ、早急な対策の確立がJA、普及所等から要望されている。
〇本病の防除対策として、当場ではこれまで鉄資材の施用が発病抑制に有効であることを把握し、施用量基準を作成した。また、鉄資材よりマンガン資材が高い効果を有する知見を得ている。ただし、マンガン資材については効果の持続性、経済性等の検討を行う必要がある。
(1)良食味米となる気象条件の解析による食味高位安定化栽培技術の提案
(2)異常気象時における基肥一発施肥体系での追肥技術の提案
(3)イネごま葉枯病を抑制する適正な土壌改良技術の提案
以上の提案技術により安定した「特A」の取得に繋がり、実需者の鳥取県産米に対する評価が高まる。