1.事業の目的・概要
農業用ため池に関する専門性を有する鳥取県土地改良事業団体連合会(以下、「県土連」)内に「ため池サポートセンター(仮称)」を設置し、ため池の管理者や地域住民等が実施する保全管理・監視体制の確保及び防災減災対策を支援することで、ため池決壊等による犠牲者ゼロを目指す。
2.主な事業内容
<要求額>
16,000千円(国10/10)
<サポートセンター機能>
ア ハザードマップ等を活用した避難訓練に係る地元調整及び実施
事業量:防災重点ため池30箇所
(5,000千円) | ため池のうち、「下流影響度が高いもの」「劣化が進行しているもの」「作成から時間が経過しているもの」を優先的に抽出し、防災意識向上のための避難訓練を実施する。
併せて、防災工事が未実施のため池については劣化状況等の説明を行い、地域における防災工事(廃止含む)実施への理解醸成を図り、円滑なハード事業への移行を図る。 |
イ ため池管理状況等の点検確認、地元指導
事業量:防災重点ため池315箇所
(10,000千円) | ため池の状況把握については専門性の低い農家等の管理者や市町職員だけでは困難なため、専門家である県土連と地元が一体的に現地確認を行うことで、的確な状況把握と監視体制の強化を図ることで地域防災力の向上に資する。
併せて、劣化が進行しているため池については必要に応じて管理者等に現地指導を行い、リスクの拡大を防ぐ。 |
ウ 管理状況の確認結果や劣化状況等の一元的な情報整備
事業量:防災重点ため池315箇所
(1,000千円) | 毎年のため池現地確認の結果や新たに実施された防災工事、劣化状況調査等の結果をため池支援システムにより一元的に管理を行うことで、体系的な情報の整理と共有化を図る。 |
3.現状・問題
平成30年7月豪雨災害によるため池の決壊被害を受け、令和元年度にはため池の適正管理を目的としたため池管理保全法(恒久法)が施行された。
また、令和2年度にはため池の防災対策を集中的かつ計画的に推進することを目的としたため池工事特措法(令和12年度まで)が施行され、保全管理から防災対策(ハード及びソフト)の実施及びそれらの支援体制の確保等についての仕組みが明確にされた。
本県においては、管理保全法に定める管理者等による適切な保全管理の確保への支援や、特措法で定める防災重点農業用ため池の再選定、対策の基礎となる諸元の調査やそのデータベース化、ハザードマップの作成といった対策を進めるほか、令和新時代創造プロジェクトチーム(防災PT)においてハザードマップ作成地域における防災効果検証等を実施しているが、
(1)管理者等の高齢化や専門性の欠如に伴う適切な保全管理・監視体制の確保が不十分
(2)ハード対策を要するため池数が多いが、農家の合意や市町村財政等を勘案しながらの実施となるため長期間を要する
(3)ハード対策が間に合わないため池を中心にハザードマップ作成及び意識向上のための避難訓練等の継続的な実施が必要
(4)適切な保全管理・監視を支援する県及び市町の専門職員数に対して対象となるため池数が多く支援が行き届かない
といった問題が表面化している。