1 事業の目的・概要
国の省エネ基準を上回る県独自の健康省エネ住宅性能基準により建設される高性能省エネ住宅(とっとり健康省エネ住宅)の普及を図り、県民の健康の維持・増進、住宅の省エネ化及びCO2排出量の削減を目指す。
2 主な事業内容
とっとり健康省エネ住宅の普及を図るため、基準に適合する新築住宅の認定、消費者向けの広報・普及啓発、技術者の養成のほか、国のグリーン住宅ポイントの対象となる住宅に対し助成を行う。また、既存住宅の改修及び賃貸住宅の断熱化モデルを検討し、普及啓発を図る。
<新築戸建て住宅> (単位:千円)
| 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度
予算額 | 前年度からの
変更点 |
1 | 設計・工務店の研修等 | 健康省エネ住宅の設計、施工ができる技術者の養成等を行う。
・技術研修(集会形式とEラーニング形式(録画を配信))の開催
・技術研修を修了し、考査に合格した者を技術者として登録 | 1,189 | 787 | 受講しやすいよう集会形式とEラーニング形式により開催 |
2 | 普及・情報発信等 | 健康省エネ住宅の居住モニターをもとに消費者向けの広報・啓発を行う。
・健康省エネ住宅居住者にモニターアンケートを実施、効果を検証し、そ の結果を消費者レビューとして広報に活用
<居住者モニターアンケート調査項目>
健康省エネ住宅を選択した理由、広報媒体の影響、年間光熱費比較、
室温測定、生活の変化(着衣量、布団、睡眠等)、健康状況の変化
<必要経費>
温度測定機器購入5戸分(1戸当たり3個)、回答者への謝礼 | 895 | 2,240 | モニターアンケートの結果を活用した広報を実施 |
3 | 認定住宅への助成事業
(「とっとり住まいる支援事業」で別途要求) | とっとり住まいる支援事業において認定住宅に対して助成。
・健康省エネ住宅性能基準に適合し、認定を受けた住宅に対して、住ま いる支援事業の助成金を加算して交付。
※予算は「とっとり住まいる支援事業」で別途要求中。 | (16,693) | (3,000) | 令和2年度の申請実績を踏まえて増額 |
4 | 標準事務費 | − | 27 | 27 | |
合計 | 2,111 | 3,054 | |
【新規】<グリーン住宅ポイント対象住宅への助成、既存住宅の断熱改修、賃貸住宅(新築・改修)の断熱化モデル> (単位:千円)
| 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度
予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | とっとりグリーン住宅応援キャンペーン事業 | ・国のグリーン住宅ポイントを活用して省エネ住宅を新築する施主に対して、県独自に上乗せ助成を行うことで、健康省エネ住宅の普及を行うとともに、地方への移住等の促進を図る。
対象:県内工務店が新築する木造戸建て住宅(県産材10m3以上使用)
(令和3年10月末までに契約した住宅が対象となる。)
補助金額:最大40万円(県産材 定額20万円+健康省エネ住宅 定額20万円)
※これに国のグリーン住宅ポイントが付与される。
<グリーン住宅ポイント>
国省エネ基準 | ゼロエネルギー住宅 |
30万Pt (特例60万Pt) | 40万Pt (特例100万Pt) |
特例:東京圏からの移住、多子世帯、三世代同居仕様、災害リスクが 高い区域からの移住の場合にポイントを加算
<ポイント利用した場合の最大支援額>
とっとりグリーン住宅:最大80万円相当(特例の場合140万円相当) | 34,000 | 0 | 新規 |
2 | 既存住宅の断熱改修の普及 | (1)課題
・既存住宅の約75%は、国の省エネ基準を満たしておらず、家庭部門のCO2排出量を減らしていく上で既存住宅の断熱改修は重要な課題。
(2)目的
・既存住宅の省エネ化の推進によりCO2排出量削減と健康増進を図る。
(3)事業概要
・既存住宅の断熱改修パターンごとに工事費、冷暖房費の削減効果を試算し、健康への効果や国等が行う支援制度等をまとめたパンフレット・ホームページを作成し普及啓発を行う。
<委託業務内容>
・改修パターンの検討・温熱環境の変化分析、改修パターンごとの工事費及び冷暖房費削減効果の試算、健康への効果のデータ収集、有識者による検討委員会(2回)
・委託先:とっとり健康・省エネ住宅推進協議会
<断熱改修に対する国等の支援制度>
○補助金(補助率1/2上限200万円等)
○所得税控除(工事費の10% 上限25万円)
○住宅の固定資産税減額(1/3軽減)
○融資制度(リバースモーゲージローン等) | 1,072 | 0 | 新規 |
3 | 賃貸住宅の断熱化モデル検討 | (1)課題
・戸建て住宅ではとっとり健康省エネ住宅など高い省エネ性能の住宅建設が拡がりつつあるが、賃貸住宅では進んでいない。
・賃貸住宅事業者としては高断熱化による工事費増が事業化の課題であるため、事業モデルを示す必要がある。
(2)目的
・賃貸住宅の省エネ化の推進によりCO2排出量削減と健康増進を図る。
(3)事業概要
・新築の賃貸住宅における断熱工事費と家賃・光熱費を試算し、事業化が可能な高断熱賃貸住宅の事業モデルを作成した上で、事業者等に健康への効果や国等が行う支援制度等をホームページ等で示し、賃貸住宅事業者向けの説明会、個別説明により事業化を啓発する。
<委託業務内容>
・断熱性能別の温熱環境分析、工事費及び冷暖房費削減効果の試算、市場家賃調査、事業採算シミュレーション、事業計画モデル案作成、有識者による検討委員会(1回)
・委託先:とっとり健康・省エネ住宅推進協議会
<賃貸住宅に対する国等の支援制度>
○補助金(新築:定額50万円/戸、改修:補助率1/3上限300万円) | 586 | 0 | 新規 |
| | | 35,658 | 0 | |
3 前年度からの変更点
・国では一定の省エネ性能を有する住宅に対し、「グリーン住宅ポイント」を付与する制度を令和3年度に開始することとしており、対象住宅に対し、県独自で助成することにより、健康省エネ住宅への誘導や東京圏などから移住促進を図る。
・既存住宅の省エネ改修を促進するために、既存住宅の健康省エネ住宅性能基準の検討、費用対効果が高い段階的な省エネ改修のモデルを作成し、消費者への普及を図る。
・断熱賃貸住宅の普及を図るため、賃貸住宅の断熱工事費と光熱費削減効果を検証し、断熱賃貸住宅の事業モデルを作成し、事業者等に啓発する。
4 背景・現状の課題
・欧米では日本の省エネ基準(平成11年基準)に比べて2倍以上高い基準が義務化されているが、日本では省エネ基準の義務化も見送られるなど立ち後れている。
・高性能省エネ住宅は部屋間の温度差が少なく室温が安定しているため、ヒートショック防止やアレルギー性疾患、高血圧疾患、糖尿病の減少など健康面の効果もあるとの知見が得られている。
・鳥取の独自基準は県内外から非常に注目を集めており、新築については省エネ性能を重要視する機運が高まっている。
・既存住宅の約75%は、国の省エネ基準を満たせない断熱性能、気密性能が著しく低い住宅で、多くのエネルギーを消費している。
・断熱賃貸住宅の普及は、賃貸住宅の質の向上と健康省エネ住宅での居住経験が住宅新築の際に健康省エネ住宅の選択につながるなど重要な課題である。
・賃貸住宅を健康省エネ住宅とするには、高断熱、高気密化による工事費の増加に見合う家賃設定ができ、事業として成り立つことを事業者に示して理解してもらう必要がある。
5 期待される効果
・とっとり健康省エネ住宅の普及により、健康寿命が延伸され、社会保障費の抑制に寄与。
・とっとり健康省エネ住宅性能基準(3段階で設定)のうち、最も低いグレードと現行省エネ基準を比較すると冷暖房費が30%以上削減され、断熱工事費の増加分も概ね7年程度で回収可能。
・既存住宅を含む住宅の省エネ化の促進によりCO2の排出量の削減等、地球温暖化の防止に寄与。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
令和3年度に新築される戸建て住宅のうち、健康省エネ住宅性能基準を満たす住宅を16%まで引き上げる。(令和2年度時点で12%)
これまでの取組に対する評価
登録事業者が200を超えるなど基準に対する県内工務店等の関心は非常に高く、供給する住宅の省エネ性能が上がっている。