(1)現状とニーズ
【ハマチ、サワラ(サゴシ)】
○沿岸漁業の年間漁獲量5〜6千トンのうち、ハマチは約10%、サワラ(サゴシ)は約15%を占め、重要な多獲性魚種となっている。
○ハマチとサゴシは、キロ単価が300円程度と安い状況であるため、漁協等から差別化を図ることによる単価向上が望まれている。
【深海性エビ類】
○地域の特産品として取り組んでいる甘エビやモサエビ等のエビ類は、沖合底びき網漁業において漁獲金額が約2億1千万円となる重要な魚種となっているが、鮮度落ちが早く黒変しやすいため販売しづらい水産物である。
○特に近年、甘エビはキロ単価が安くなっており(10年前 1,200円程度→近年 900円程度)、黒変を遅らせることが出来れば単価向上につながると考えられる。
(2)新たな品質保持の処理方法
【ファインバブルへの浸漬処理】
○主要製造メーカーによると、窒素バブルで養殖ブリやサバ、マグロの色持ち効果があり、近海マグロ延縄船で導入されるとともに、酸素バブルで甲殻類の黒変防止があるとされている。しかし、本県では県産水産物への品質保持等の効果が明らかでないため導入事例がない。
(3)予備試験での効果
○導入の可能性を探るため、県の農林水産試験場臨時的調査研究事業で実施(H30・R1年度)。
○窒素バブルでは、サゴシ等で血合肉の赤色の鮮やかさが保たれる傾向や生臭みの抑制効果がある可能性が示唆された。また、酸素バブルでは、甘エビの頭部の黒変が抑えられるとともに、ドリップも少ない傾向が見られた。