○近年の晩婚化に伴い、女性が妊娠する年齢も上昇しているが、一般的に、高年齢での妊娠・出産は、様々なリスクが高まる一方、出産に至る可能性は低くなることから、特に不妊症の場合は、夫婦が早期に適切な診断を受けて治療を開始することが必要である。しかし、不妊症の診断を行うための初期検査の多くは保険適用外で費用が高額なことから、検査に行くことをためらい、治療開始が遅くなる夫婦も多い。このことから、初期検査費用に対して助成を行うことで、夫婦に早い段階で検査を受けてもらい、不妊症と診断された場合は速やかに適切な治療が行えるよう支援していく。
○近年、不妊に悩む夫婦が増加し、不妊治療を受ける夫婦も年々増加。平均初婚年齢の上昇に伴い、第1子出産時における母の平均年齢も上昇し、平成30年度は平均30.7歳となっている。こうした背景や、医療技術の進歩等に伴い、特定不妊治療費の助成件数も年々増加している。
○医療技術の高度化に伴い、特定不妊治療費が高騰化してきており、高額な治療になると1回あたり60万円を超える。
○特定不妊治療は、適切な時期に必要な回数を実施すれば、開始後1年以内に約7〜8割、2年では9割が妊娠すると言われており、治療開始から2年の間に重点的に治療できることが望ましい。
○不妊治療の内容として、タイミング法や排卵誘発等の薬物療法については保険が適用される。また、体外受精・顕微授精については特定不妊治療費助成事業の対象となるが、一般不妊治療として広く行われている人工授精については、保険適用されず、かつ助成事業の対象とならないため、平成23年7月から、新たに人工授精助成事業を開始(自己負担額の1/2を、1年度当たり10万円まで、通算2年度まで助成)。令和2年度からは、人工授精でも妊娠の可能性が高く見込める35歳未満の助成拡充した(自己負担の7/10を、1年度あたり14万円まで)。なお、人工授精を実施した人の多くは3〜5回程度の治療で妊娠、それ以降は体外受精・顕微授精へのステップアップが検討される。人工授精の一回の費用は2万円程度。
○妊娠はするけれども反復流産、習慣流産、死産、早期新生児死亡を繰り返す等の「不育症」については、妊娠経験の4〜6パーセントに発生していると言われている。当該不育症の原因は様々だが、一部のリスク因子を抱えた方については、妊娠に至るまで自己注射等を継続するなどの治療を続けることで挙児が可能である。
これらの治療については、保険適応となっているものも多いが、保険適応外の場合もあり、経済的負担となっている。
市町村が、不育症の検査や治療にかかる費用の助成事業を実施する場合に、県がその市町村に対して補助を行い、不育症治療に対する支援を推進する。(現在は6市町村が実施)