砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業、治山事業を実施する箇所の下流水路は、青線や普通河川といった市町が管理する河川であることが多い。そのような場所の管理区分は、以下のとおりである。
◆ 土石の抑止・管理 ⇒ 県 (砂防)
◆ 河川(水)の管理 ⇒ 市町
県で整備した施設よりも下流区間(土水路など)からも渓岸が侵食され土砂流出が見込まれることもあり、本来であれば砂防事業で下流水路整備まで実施しなければならないところである。実際に、水路が未整備のままであったことによる土砂流出・氾濫が起こった事例もある。
一昔前までは、砂防事業で「渓流保全工」として下流水路まで多く整備していたが、国交付金の採択基準も平成8年より渓流保全工の採択は限定的になった(※)ことから、現在は「堰堤重点整備」の方針となっている。鳥取県内の土石流危険渓流の堰堤整備率は未だ30%程度であることも勘案し、鳥取県でも下流水路の保全よりも他箇所の堰堤整備に最重点を置いた整備を行っている。このような背景から、下流水路の整備については水路管理者である市町に整備をお願いしている状況である。
しかし、市町では財政事情により下流水路の整備が進まずに、逆に市町から下流水路整備の要望が上がってくる状況である。このままでは、下流沿線の安全性が確保できないことから、市町が主体となって下流水路を整備する際の補助事業創設を要求する。
※ 国の補助金・交付金採択基準でも、渓流保全工の採択は、災害の前兆現象のある区間、渓岸が侵食され被害が予見される区間、人家連担区間に限定することとなっているなど、「堰堤重点整備」方針となっている。