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令和3年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:畜産業費 目:畜産試験場費
事業名:

鳥取和牛肉うまみ開発試験

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農林水産部 畜産試験場 育種改良研究室 

電話番号:0858-55-1362  E-mail:chikusanshiken@pref.tottori.lg.jp

  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 会計年度任用職員 特別職非常勤職員
令和3年度当初予算額 6,253千円 11,545千円 17,798千円 1.1人 1.0人 0.0人
令和3年度当初予算要求額 6,327千円 11,545千円 17,872千円 1.1人 1.0人 0.0人
R2年度当初予算額 14,081千円 11,445千円 25,526千円 1.1人 1.0人 0.0人

事業費

要求額:6,327千円  (前年度予算額 14,081千円)  財源:国庫 単県 受託収入 

一般事業査定:計上   計上額:6,253千円

事業内容

1 事業の目的・概要

全国の和牛肉との差別化を図るための新たな「新鳥取和牛」ブランドの創出や「新鳥取和牛」の育種・改良手法の開発を目的として、和牛肉のおいしさにかかる様々な「うまみ」を調査し、「うまみ」簡易測定機器を開発する。

2 主な事業内容

(単位:千円)

細事業名
内容
要求額
前年度

予算額

前年度からの

変更点

一般事業鳥取和牛肉のうまみ成分分析
2,434
2,434
変更なし

(役務費の計上なし)

脂肪酸組成分析の受託研究和牛肉のうまみに関係する脂肪中の「オレイン酸」の現状調査(脂肪酸の分析受託)
1,000
新規
牛肉のうまみ備品要求事業鳥取和牛肉のうまみ成分の測定に必要な液体ロマトグラフのワークステーション(専用パソコンとソフトウェア)の更新
1,485
5,139

(ガスクロ更新のみ)

老朽化に伴う緊急対応
分析機器の定期点検うまみ成分分析に必要な機器の定期点検
1,408
1,408
↓ 
流用協議により
1,298
変更なし
革新的技術開発・緊急展開事業(先導プロジェクト)牛肉の優れた食味成分(香気和成分や呈味成分)を高度な分析機器を使用して網羅的に分析し、新たな牛肉評価指標を作成する。さらに、これら食味成分に関与するDNA情報を解析し、おいしい和牛肉を生産するための育種手法を開発する。
5,100

↓ 

11月補正

6,000

事業の満期
合計
6,327
14,081
↓  
14,871

3 背景

(1)「鳥取県農業活力増進プラン」では「百合白清2」「白鵬85の3」などの高能力県有種雄牛を活かした「鳥取和牛」のブランド化を推進することが求められており、高能力県有種雄牛に特有の「うまみ」を解明することが必要とされている。

    (2)一方では、霜降り能力において国内トップクラスの「百合白清2」「白鵬85の3」「元花江」が誕生した現在、今後は霜降りではなく、「うまみ」を持った種雄牛造成が求められている。オレイン酸については、既に遺伝的評価を行い、種雄牛造成に活用しているが、さらに、それ以外の「うまみ」の成分についても同様の取り組みを行えるような展開が必要とされている。

    (3)TPP(平成30年12月30日発効)に続き、日米貿易協定が令和2年1月1日に発効され、海外産牛肉に課せられていた38.5%の関税は現在26.6%に引き下げられている。また最終的には両協定ともに9%になることが決定しており、安い海外産Wagyuが輸入され、国内の生産者が大きな打撃を受けることが懸念される。

    (4)こうした状況の中、他県あるいは海外産との差別化を図り、鳥取和牛を世界に打って出る産業にするには、「うまみ」の主要因となる成分を突き止め、瞬時に「うまみ」を数値化して全世界の消費者に説得力のある裏付けデータを提示し、鳥取和牛の良さをアピールしていくことが競争力強化のための有効な手段だと考えられる。

    (5)本県では、和牛肉のうまみとグリコーゲンの関係に着目し、平成30年度よりグリコーゲン含量に関するゲノミック評価をスタートし、種雄牛造成に活用している。

4 前年度からの変更点

・ 国の革新的技術開発・緊急展開事業(先導プロジェクト)がR2年度で満期
・ 脂肪酸組成分析の受託研究

5 期待される効果

鳥取和牛肉の特徴を活かしたうまみのある牛肉生産で鳥取和牛のブランド力が向上し、子牛や鳥取和牛肉の評価が上がることよる県内和子牛価格の向上、「鳥取和牛」の枝肉価格の向上などと共に農家のみならず小売店や飲食店にまで経済効果が期待される。

6 事業費

年度
内容
事業費(千円)
平成17年度
・備品(ガスクロマトグラフ)購入(H17年度)
5,214
平成18年度
・オレイン酸の調査(H18年度〜)
3,018
平成19年度
845
平成20年度
2,331
平成21年度
(9月補正)
・備品(食肉脂質測定装置)購入 (H21年度)
・和牛肉のオレイン酸迅速評価の調査(H21年度〜)
2,495
(3,518)
平成22年度
・鳥取和牛オレイン55の誕生(H22年度)
2,777
平成23年度
・赤身肉のうまみ調査開始(H23年度〜)
2,636
平成24年度
2,795
平成25年度
・赤身肉のうまみの研究成果を学会で発表(H25年度)
3,019
平成26年度
・備品(肉分析計)購入
8,711
(うち備品購入費:5,692)
平成27年度
・食味試験と成分分析の関係の研究成果を学会で発表(H27年度)
3,019
平成28年度
・九州大学への委託研究開始
・備品(GCMS)購入

・受託試験(H28年5月補正)
 ※事業名「和牛肉の美味しさ評価と育種改良手法の開発」で予算化
41,079
(うち九州大学委託費:5,000
備品購入費:32,400)

6,000
平成29年度
12,741
(うち九州大学委託費:5,000
受託試験:4,000)
平成30年度
・和牛肉のグリコーゲン含量の研究成果を学会で発表(H30年度)
14,344
(うち九州大学委託費:5,000
受託試験:5,400)
平成31年度
9,369
(うち受託試験:5,100)
令和2年度
14,871
(うち受託試験:6,000)

これまでの取組と成果

これまでの取組状況

<事業目標>
・鳥取和牛肉のうまみに寄与する成分の特定。
・特定された和牛肉のおいしさに関する成分を和牛枝肉で評価するための簡易測定装置の開発。
・新たな「鳥取和牛」のブランド創出。
・育種改良・種雄牛造成への活用。

<取り組み状況>
(1)和牛肉のうまみに関係する脂肪中の「オレイン酸」の現状を調査。
(2)赤身肉のうまみに関係する成分の特定
(3)特定された成分の簡易測定装置の開発
(4)和牛肉のおいしさに関係する香気成分の特定

<成果>
(1)和牛肉の脂肪に含まれるオレイン酸は、性・と畜月齢・血統などにより影響を受けることが判明。血統的特徴の調査では、「気高」の血統を引き継ぐ鳥取系はオレイン酸割合も高くなることが判明。

(2)本事業での研究や食味試験等の結果を基に「オレイン酸55%かつ気高号の血縁を引き継ぐもの」を鳥取和牛新ブランド「鳥取和牛オレイン55」の基準とすることが決まった。また、ブランド認定機関に対し、オレイン酸測定をサポート。

(3)和牛肉のオレイン酸割合の遺伝的影響は高い(遺伝率0.78)ことから、計画交配や遺伝子解析などによる遺伝的な面からの改良が効果的と判明。本成果はJournal of Animal Science(2011年、89号)で論文発表。

(4)味覚センサーを活用し、赤身肉の「うまみ」に関係するアミノ酸として、グルタミン酸、セリン、アルギニンは好ましい関係、カルノシンは好ましくない関係があることが判明。本成果は日本畜産学会第117回大会で発表。

(5)和牛肉の食味評価と成分分析値との関係を調査し、うまみと関係ある成分を数種特定。本成果は日本畜産学会第121回大会で発表。

(6)和牛肉の食味評価に関わる水っぽさについて調査し、月齢及び季節と水っぽさとの関係を解明。本成果は日本畜産学会122回大会で発表。

(7)和牛肉のグリコーゲン含量について調査し、性別による違いや月齢による違いを解明。本成果は日本畜産学会124回大会で発表。

(8)簡易測定装置開発研究において和牛肉でのグリコーゲン濃度予測モデルの可能性を見出した。本成果は九州大学がSensors and Materials (2019年、31号)で論文発表。

<改善点>
新ブランドの認定基準にオレイン酸が導入されたことから、鳥取和牛肉の脂肪の質の改良が期待される。今後は新たな「うまみ」に関する成分の調査、指標化に取り組む必要がある。また、新たなうまみ成分についての簡易測定装置を開発、枝肉評価に導入する必要がある。

これまでの取組に対する評価

<評価>
(1)和牛肉の脂肪に含まれるオレイン酸を指標化した「鳥取和牛オレイン55」の誕生に本事業での研究結果が活かされた。
(2)和牛肉の赤身に含まれるグリコーゲンとおいしさの関係を示した本事業での研究結果が、グリコーゲン含量に関するのゲノミック評価による種雄牛の育種改良に活用されている。

<今後の取り組み>
鳥取和牛肉の脂肪の質(オレイン酸)を指標とした「鳥取和牛オレイン55」に続き、赤身肉のおいしさに関係する「うまみ」成分を特定していく。アミノ酸に加え、香りや糖類の分析も進める予定。成分の特定後は、「鳥取和牛オレイン55」と同様に簡易評価法を検討し、他県を先行する鳥取和牛肉のブランド化及び改良につなげていく。

財政課処理欄


 備品購入費を精査しました。

要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 14,081 1,217 0 0 0 0 0 5,100 7,764
要求額 6,327 0 0 0 0 0 0 1,000 5,327

財政課使用欄(単位:千円)

区分 事業費 国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
計上額 6,253 0 0 0 0 0 0 1,000 5,253
保留 0 0 0 0 0 0 0 0 0
別途 0 0 0 0 0 0 0 0 0