(1)「鳥取県農業活力増進プラン」では「百合白清2」「白鵬85の3」などの高能力県有種雄牛を活かした「鳥取和牛」のブランド化を推進することが求められており、高能力県有種雄牛に特有の「うまみ」を解明することが必要とされている。
(2)一方では、霜降り能力において国内トップクラスの「百合白清2」「白鵬85の3」「元花江」が誕生した現在、今後は霜降りではなく、「うまみ」を持った種雄牛造成が求められている。オレイン酸については、既に遺伝的評価を行い、種雄牛造成に活用しているが、さらに、それ以外の「うまみ」の成分についても同様の取り組みを行えるような展開が必要とされている。
(3)TPP(平成30年12月30日発効)に続き、日米貿易協定が令和2年1月1日に発効され、海外産牛肉に課せられていた38.5%の関税は現在26.6%に引き下げられている。また最終的には両協定ともに9%になることが決定しており、安い海外産Wagyuが輸入され、国内の生産者が大きな打撃を受けることが懸念される。
(4)こうした状況の中、他県あるいは海外産との差別化を図り、鳥取和牛を世界に打って出る産業にするには、「うまみ」の主要因となる成分を突き止め、瞬時に「うまみ」を数値化して全世界の消費者に説得力のある裏付けデータを提示し、鳥取和牛の良さをアピールしていくことが競争力強化のための有効な手段だと考えられる。
(5)本県では、和牛肉のうまみとグリコーゲンの関係に着目し、平成30年度よりグリコーゲン含量に関するゲノミック評価をスタートし、種雄牛造成に活用している。