・平成26年度から、市場評価が高い柿「輝太郎」を特別対策によって早期の生産拡大に取り組むとともに、梨の生産振興と同様に、各産地で振興する品目・品種の植栽・果樹園整備、コスト削減と高齢者の負担軽減を図る共同利用機械の導入等の支援に取り組んでいる。
・「輝太郎」は、販売単価も高く、生産者の期待もあり、順調に栽培面積を増やしている。平成30年度に「輝太郎」振興プランを策定し、平成29年度末に41haの面積を10年後には2倍の80haまで拡大することを目標とした。
・一般的に柿は、1年生苗をほ場へ植付けするが、1年目に成長不良が生じやすい。そこで、育苗業者によるしっかりした2年生苗の供給を開始するため、育苗試作を支援する。
柿「輝太郎」の生産販売状況
| 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 備考 |
栽培面積 | 31.6ha | 37.3ha | 41.2ha | 44.4ha | 47.1ha | 平成21年から苗木供給 |
出荷量 | 28.2t | 37.3t | 76.3t | 78.0t | 106t | 平成24年販売開始 |
販売単価 | 714円/kg | 659円/kg | 647円/kg | 574円/kg | 590円/kg | 西条柿・富有柿は200〜300円/kg |
・本県は全国第13位(日園連調べ)の柿産地であるが、「輝太郎」は、全国の早生柿の中でもトップクラスの品質を誇り、令和元年までは県内生産者のみが栽培していた。令和2年度から県外業者による苗木生産が開始されるため、今後他県においても栽培が始まる。それまでに他県に負けない産地化と栽培面積の拡大が求められている。
・柿は梨栽培と比べて労働時間が短く、果樹棚を活用することで作業が楽になり、枝スレなどの品質低下を防ぐことができるので、梨栽培が無理でも柿栽培ができる生産者に廃園(梨)を活用した「輝太郎」の振興が効果的である。
・国は国内の各果実産地に対して産地構造改革計画の策定を求めており、これを受けて鳥取県でも平成28年度に東・中・西部の3地区において計画が策定され、地域の特性に応じた、産地ごとの振興品種が決定している。
・ワインの表示基準の改正により、地域名を表示する場合には、当該地域で85%以上のぶどう原料確保が必要となった。その生産のため、苗木植栽及び果樹棚の整備するに当たり、柿ぶどう等生産拡大事業の要求額が増加している。
・果樹園の廃園が増えているなか、「農薬散布作業が辛いから果樹栽培をやめる」、「スピードスプレーヤ(SS:乗用型の防除用機械)が壊れたら果樹栽培は続けられない」といった声が多い。