これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<取り組みの内容>
(1)切り花
・ストック:花穗の徒長を抑えるための潅水管理や、EOD光照射や遮光による開花調節法を確立する。
・シンテッポウユリ:細霧ミストや換気、施肥、潅水方法を検討し、高出荷率、高品質となる栽培法を確立する。
・トルコギキョウ:暖房を使用しないで11〜12月に出荷する新たな栽培法を確立する。
・アスター:赤色光等の点灯、消灯時期の組み合わせによる開花促進や抑制法を検討する。
(2)花壇苗:花壇苗の開花を進め、草姿をコンパクトにする新たな低コスト高品質化法を開発する。
(3)枝物:ツルウメモドキの一文字整枝、サルトリイバラ簡易落葉のための自然乾燥時間を検討する。
(4)シバ:沈み症(仮称)や黄化症等の生理障害を抑制する方法を確立する。
(5)新たな光質制御フィルムの開発:内張用および外張り用フィルムを試作して展帳し、県特産花きの生育特性を明らかにする(R3年度:受託)。
<現時点における達成度>
(1)切り花
・ストック:
ア 生育後半の施肥・かん水管理が花首徒長やうらごけの発生に影響していると考えられた。
イ 遮光を行うと開花が抑制され、その後EOD光照射を行うと草丈が著しく伸長し、開花が早まった。(達成率60%)
・シンテッポウユリ:
ア ブラスチングは花芽分化期の強遮光と高温による影響が強い。
イ 定植後のかん水を多くすると、抽台率が向上した。(達成率70%)。
・トルコギキョウ(秋冬出荷):
簡易夜冷育苗でも定植後にEOD光照射を行うと、冷房育苗と同等に草丈が伸長した。(達成率70%)。
・アスター:
R(赤色)光や蛍光灯はFR(遠赤色)光より草丈伸長効果が高いことが明らかになった(達成率60%)。
(2)花壇苗:花き類46品目のうち36品目はEOD光照射で開花が促進し、切り花長が伸長した。さらに、EOD光照射とわい化剤を併用すると、17品目が開花を促進しながら、コンパクトに生育した(達成率70%)。
(3)枝物:
ア 果樹棚を利用したツルウメモドキの誘引法は、労働時間が慣行栽培の20分の1になった。
イ 出荷前の常温乾燥で葉もぎ作業が省力化できた(達成率75%)。
(4)シバ:
ア 砂土における‘グリーンバードJ’の根は籾殻くん炭や高分子吸収体を施用すると、地表面付近に集まりやすいことがわかった。
イ 黄化症はカッターで断根し、ピートモス等を施用したやわらかな土では発生が皆無であった(達成率70%)。
これまでの取組に対する評価
<H30年度の外部評価(中間)の結果>
評点:13.8 判定:◎
評価委員の主な意見
・花きについて、EODを活用した先進的な技術開発により、競争力の向上が図られていると感じる。
・品目ごとの反応などEOD技術のさらなる完成度を目指して下さい。
・とてもよい成果が出ていると思います。
・花き王国とっとりを目指していただきたい。
・おおむね計画通りであり、さらに品目によっては当初計画以上の成果も感じられる報告です。今後の研究に期待します。
<自己分析>・これまで暖房コストをかけても太平洋側の切り花に太刀打ちできなかった品目が、EOD処理によって低コストで太平洋側並みの高品質化が可能となるものが明らかになってきた。 外部委員による中間評価では、これまでの結果を高く評価していただいた。一日も早く多くの生産者に利用してもらえる汎用性の高い技術に仕上げられるよう、現場とも緊密に連携しながら計画的に試験を遂行したい。