人口減少や高齢化が進む中、県内の空き家数は増加の一途にあり、平成30年住宅・土地統計調査(総務省)による鳥取県内の空き家数は約4万戸で、総住宅数に占める割合は全国平均を上回る15.5%となっている。これらの空き家が長期間放置されることで、やがて危険空き家となり、住環境に悪影響を与えることが全国的な課題となっている。
深刻化する空き家問題を改善するためには、危険な空き家については除却をせざるを得ないものの、空き家を一律に負の遺産として捉えるのではなく、活用できるものは地域の資源として積極的に活用していくことも必要である。
このことを受け、市場では流通しづらい空き家の利活用を進めるため、空き家の利活用に取り組む専門家団体の活動支援に加え、空き家の利活用に必要な改修工事等への助成、空き家を活用するまちづくり団体への支援、貴重な文化資源である古民家空き家の活用モデルの研究、空き家(中古住宅)の不安解消や魅力促進に資する取組支援など、空き家の利活用に向けて総合的な施策を講じる。
(1)空き家利活用団体支援事業【拡充】
<要求額:3,500千円(前年度:2,900千円)>
- 宅地建物取引業協会、建築士会、司法書士会、土地家屋調査士会で構成する「とっとり空き家利活用推進協議会」に対し活動経費の一部を助成し、所有者や利活用希望者の困りごと解決や、市場に流通していない空き家の掘り起こし、利活用を担う地域団体や人材の育成等、空き家の利活用促進に向け、専門家団体の活動の活性化を図る。
区分 | 内容 |
補助対象者 | とっとり空き家利活用推進協議会(直接補助) |
対象経費 | 以下の活動に必要な経費
1)空き家無料相談会の開催
・東部、中部、西部で2回ずつ開催を想定(計6回)
2)地域団体や自治体への専門家・相談員の派遣
3)空き家のワンストップ相談窓口の運営
4)空き家利活用シンポジウムの開催
・県内2自治体との共催を想定(計2回)
5)空き家利活用に関する先進地視察等を通じた地域人材等の育成
6)研究機関(大学等)との連携による新たな着眼点等の掘り起こし |
負担率 | 県1/3、市町村1/3、協議会1/3 |
補助限度額 | 予算額限り |
要求額 | 2,900千円(国1,305千円、県805千円、市町村790千円)
※社会資本整備総合交付金の提案事業を活用(交付率45%) |
- 【拡充】教育研究機関、業界団体等が主催する、空き家の利活用に関する“アイデアコンペ”や“リフォームコンテスト”等の費用の一部を支援し、広く県民の目に触れる機会を増やし、空き家利活用に対する認知度等を向上させることにより、県民の空き家利活用に対する意識啓発や機運醸成の強化を図る。
区分 | 内容 |
補助対象者 | 団体等(直接補助) |
対象経費 | 空き家利活用をテーマとするアイデアコンペ、リフォームコンテスト等に関する経費 |
負担率 | 県1/2、団体等負担:1/2 |
補助限度額 | 300千円 |
要求額 | 300千円×2件=600千円(国:270千円、県:330千円)
※社会資本整備総合交付金の提案事業を活用(交付率45%) |
※制度活用の目論見:
・鳥取県建築士会が主催する「学生デザインコンペ」(R3年度も空き家利活用がテーマ)が計画されている。
・不動産や建築の専門団体等に「住宅リフォームコンテスト」等の実施を働きかけることも検討する。
(2)空き家利活用流通促進事業【拡充】
<要求額:8,000千円(前年度:3,600千円)>
- 一般に流通しない空き家の利活用を行う者に必要な経費の一部を助成し、空き家の利活用を促進する。
区分 | 内容 |
補助対象者 | 市町村(間接補助)
※間接補助事業者は空き家を所有、賃貸借、又は購入するもの。 |
対象経費 | 空き家の利活用に必要な改修に要する以下の経費
1)空き家の改修費用(法令適合費用,DIY施工の場合の材料購入費を含む)
2)設計費用
3)家財道具の撤去処分費用
4)外構整備費用 ※2)〜4)の合計は1)の1/2を上限とする |
負担率 | 県2/6、市町村1/6、間接補助事業者1/2 |
補助限度額 | 1)住宅を住宅として活用する場合:600千円
2)住宅を非住宅に転用する場合:1,000千円 |
要求額 | 7,000千円(国:3,150千円、県:3,850千円)
1)住宅活用型:600千円×5件
2)非住宅転用型:1,000千円×4件
※社会資本整備総合交付金の提案事業を活用(交付率45%) |
- 【拡充】空き家の売買時等に実施する既存住宅建物状況調査(インスペクション)を支援することにより、空き家(中古住宅)の購入検討者の不安解消に資する制度の普及を促進するとともに、空き家利活用の訴求強化を図る。
区分 | 内容 |
補助対象者 | 空き家の売買時等に既存住宅建物状況調査(インスペクション)を行う、以下のいずれかに該当する、既存住宅の所有者(市町村経由の間接補助)
1)不動産登記簿に所有者として登記されている者
2)固定資産税課税台帳に所有者として登録されている者
3)買主として、上記1)2)に該当する者と売買契約を締結している者 |
対象経費 | 既存住宅建物状況調査(インスペクション)に要する経費 |
負担率 | 県1/2(補助対象者負担:1/2) |
補助限度額 | 50千円/件 |
要求額 | 50千円×20件=1,000千円(国450千円、県550千円)
※社会資本整備総合交付金の提案事業を活用(交付率45%) |
(3)地域の空き家を活用したまちづくり推進事業【継続】
<要求額:800千円(前年度:800千円)>
- 空き家の利活用推進においては、空き家の所有者との橋渡しや、利活用者を支援する「まちづくり団体」の活動が効果的であり、地域に根付いた取組を進める団体の育成及び、地域における空き家利活用の機運醸成を図るため、まちづくり団体等による地域の空き家の利活用計画の策定等に必要な活動経費の一部について助成を行う。
- また、利活用に資する空き家の掘り起こしや、空き家の適切な維持管理等に係る経費についても支援し、地域の空き家の利活用を進める団体等の積極的な活動を支援する。
区分 | 内容 |
補助対象者 | 市町村(間接補助)
※間接補助事業者は地域のまちづくり団体、自治会等 |
対象経費 | 1)空き家の活用に向けた調査に要する経費
2)空き家の活用に向けた計画策定に要する経費
3)ワークショップや勉強会の開催等に要する経費
4)利活用に資する空き家の掘り起こしや、適切な維持管理に要する経費 |
補助率 | 市町村負担額の2/3 |
補助限度額 | 400千円 |
要求額 | 400千円×2件=800千円(国:360千円、県:440千円)
※社会資本整備総合交付金の提案事業を活用(交付率45%) |
(4)空き家の魅力普及促進事業【継続】
<要求額:2,700千円(前年度:2,700千円)>
1.空き家リノベーション普及啓発事業(継続)
- 一般市場における空き家利活用や中古住宅の購入意欲醸成のため、鳥取県宅地建物取引業協会、全日本不動産協会鳥取県支部など不動産事業の専門団体等と協力し、空き家を修繕し価値を高め再販するリノベーション物件等の一斉見学会等を実施し、魅力訴求による空き家利活用の促進と活性化を図る。
区分 | 内容 |
補助対象者 | 鳥取県宅地建物取引業協会、全日本不動産協会鳥取県支部等(直接補助) |
対象経費 | 一斉見学会等の開催経費 |
負担率 | 県1/2、団体等1/2 |
補助限度額 | 300千円(※ただし東部・中部・西部のうち2地区以上での同時開催の場合は500千円) |
要求額 | 300千円×3件=900千円(国405千円、県495千円)
※社会資本整備総合交付金の提案事業を活用(交付率45%) |
2.古民家空き家利活用モデル事業(継続)
- 県内に残る貴重な地域資源である古民家(空き家・登録文化財クラス)を宿泊施設等の収益資源として整備し、インバウンド向けの古民家ツーリズム等に活用することを想定し、地域の魅力創出やブランド化につながる調査研究、事業構想策定等をモデル的に実施する。(県内1〜2地区)
- また、現行の建築基準法に適合が困難な古民家について、適用除外に必要な代替措置(構造安全、防火避難等)の検討を行う。
区分 | 内容 |
事業主体 | 県の直接事業 |
事業内容 | 1)空き家となっている古民家の再生に係る調査
2)古民家利活用の先駆者や有識者等を招いたセミナー等の開催
3)古民家利活用に関し先駆的取り組みを行っている地域等への研究視察
4)新たな古民家利活用の構想等の検討
5)建築基準法の適用除外に係る代替措置の検討を行うための検討・専門家の意見聴取 |
要求額 | 1,800千円(国810千円、県990千円)
※社会資本整備総合交付金の提案事業を活用(交付率45%) |