日本全体で人口減少が進む中、中山間地域は都市部に比べ急速に人口減少、高齢化、若年者の減少が進んでおり、地域コミュニティの維持や日常生活を維持するために必要な機能・サービスの確保が困難になっている地域が増加している。
(1)県研修会等の開催(地域の話し合い促進)[継続]
市町村職員等支援者が身につけるべき視点・知識等を習得することを目的とした研修会や、地域住民の気づきの場となる講演会等を開催し、地域が「ワガゴト」として地域の将来を考える機会を設ける。
| 内容 | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | 地域づくりに係る講演会・研修会の開催、アドバイザー派遣(報償費、特別旅費)
・県域又は各事務所区域において、中山間地域の諸課題の解決、地域づくりの方法等についての講演会・研修会を開催。
・多様な地域づくりの手法を県外の先進地域から学び、各市町の実態に合った地域づくりの進め方のきっかけとする。
・取組地域に、外部専門家や県内実践者を派遣し、アドバイスを行う。 | 630 | 630 | |
合計(単位:千円) | 630 | 630 | |
(2)地域おこし協力隊サポート事業[拡充]
県内市町で活動している地域おこし協力隊の活動活性化や任期後の県内定着に向け、研修会や意見交換の実施、起業・就業のためのスキル・ノウハウ取得等の支援を行う。
| 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | [継続]地域おこし協力隊及び市町村への研修会開催 | 隊員のネットワーク強化と活動のブラッシュアップ、地域への定着を図るため、地域おこし協力隊員及び市町村を対象に、研修を実施。 | 100 | 100 | |
2 | [拡充]地域おこし協力隊相談窓口設置(ノウハウを有する民間団体等への委託) | ・地域おこし協力隊の活動に係る相談や悩みに寄り添い、アドバイスを行う相談窓口を設置。
・協力隊の活動活性化や任期後の県内定着に必要な施策等を明らかにするため、隊員のヒアリングを行い、現在の活動状況や課題等の実態を把握。 | 810 | 510 | 地域おこし協力隊のヒアリングを実施 |
合計(単位:千円) | 910 | 610 | |
【補助金】
| 補助金名 | 補助対象事業・補助対象経費 | 実施主体 | 県補助率
(上限額) | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
| [拡充]地域おこし協力隊起業・就業支援補助金 | 任期終了後の隊員の県内定着に向けた起業・就業のためのスキル・ノウハウ取得等に係る経費を支援 | 任期終了後の地域おこし協力隊員(任期終了後1年以内の者に限る。 | 1/2
(100千円/人) | 500 | 150 | 起業塾開催等の取組みを支援に限っていたものを対象拡大 |
合計(単位:千円) | 500 | 150 | |
(3)住民共助による移動サポートを通じた地域人材育成事業[継続]
公共交通サービス機能が低下若しくは公共交通がない地域において、住民の困りごとの上位にある「移動」について、住民共助で行う移動手段確保の切り口により、地域活動の担い手確保を進める。伴走支援を行うことにより、各地域での住民共助の実施体制を構築するとともに、他地域へ取組の横展開を図る。
| 細事業名 | 内容 | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
1 | 地域住民の共助体制の構築及び取組拡大
〔地方創生推進交付金充当〕 | 住民共助で行う移動手段確保に向けた取組地域への伴走支援(外部アドバイザー委託費) | 2,000 | 3,000 | 外部アドバイザーを2者から1者に変更 |
2 | セミナー開催
〔地方創生推進交付金充当〕 | 共助交通の取組拡大のためのセミナー開催経費(報償費、特別旅費)
セミナー内容:県内の先進事例の紹介・横展開に向けた周知 | 200 | 200 | |
3 | 共助移動支援を通じた地域づくり普及協議会(仮称)の設立 | R1〜2年度日本財団プロジェクト事業で立ち上がった「共助交通を通じた地域人材育成の普及協議会」の理念を引継ぎ、取組地域同士の情報共有、交流を図る新たな協議会を設立[標準事務費対応]
事務局:(公財)とっとり県民活動活性化センター
活動内容:協議会開催(年1回程度)、県主催セミナーの案内、事例紹介など | 0 | 0 | |
合計(単位:千円) | 2,200 | 3,200 | |
(4)次世代(高校生)育成支援[拡充] [みんなで取り組む将来に向けた活力促進事業費補助金で執行]
中山間地域において、高校生が地域と連携して魅力発信や未来づくりに参加する取組を支援する。
| 区分 | 補助対象事業・補助対象経費 | 実施主体 | 県補助率
(上限額) | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
| 次世代(高校生)育成支援 | 地域コミュニティの活性化に資する事業であって、県内高校生の意見や発案を、活動地域の中で実施・具体化する取組に必要な次の経費 | ・高校生、地域住民、市町、高校等などで構成される実行委員会
・市町 | 県10/10
(1,000千円) | 1,500 | 500 | 県立高校の取組に限っていたが、県内高校生の取組を対象とするよう変更 |
(5)市町村が行う人材育成・確保の取組支援[新規] [暮らしを守る仕組み(小さな拠点)づくり促進事業費補助金で執行]
地域での話し合い促進を進める市町村を支援する。
| 区分 | 補助対象事業・補助対象経費 | 実施主体 | 県補助率
(上限額) | 要求額 | 前年度予算額 | 前年度からの変更点 |
| 人材確保・育成支援 | 市町が暮らしを守るための仕組み(小さな拠点)づくりのために行う人材育成又は地域伴走人材の確保の取組に必要な経費 | 市町 | 県は市町負担額の1/2
(500千円) | 600 | 0 | 新規 |
○中山間地域では、高齢者福祉や子育て、防災・防犯活動など、生活に密着した公共サービスに対するニーズが多様化・高度化しつつあるにもかかわらず、それらを今まで伝統的に担ってきた集落や自治会による「地域協働」活動の縮小等の問題が生じている。
○取組実践者や市町村からの意見等から見えてきた中山間地域における現在の主な課題は次のとおり。課題等を聞くと必ず筆頭に上がるのは、「人」の問題。
ア 人口減、高齢化、個人の価値観の変化等により、地域に関与する「人」が以前に比べ少なくなっている(活動リーダー、活動実践者、協力者、支援者、伴走者等の不足)
・社会減、自然減、労働状況の変化等により、地域で活動を実践する者、活動を継続・維持していく人がいない
・住民が地域の問題を自身の問題として捉えていない、地域の運営に参画していない(行政依存)
・地域に課題、ニーズ、アイデアがあっても、それを自分たちで前に進めることができない
・コミュニティ活動の縮小により、住民同士のつながりが低下している
・行政と住民の中間に立つ組織(社協等)の力が以前に比べ弱く、地域への支援が十分にできていない
イ 市町村では人員や財政の削減、ノウハウ不足により、明確なビジョンを持つ市町村を除いて、地域への積極的関与ができておらず、従来の支援体制では施策展開が困難になっている。
ウ 市町村の財政の削減により、地域運営活動に必要な十分な財源措置ができていない→活動が低調になっている。
○中山間地域の人口減少は避けられない状況ではあるが、人口減少に伴い地域の活気がなくなることが課題である。明治大学小田切教授は、人口増減を指標とするのではなく、地域を担う(地域に関わる)人材をいかに増やすかが重要であり、「人が少なくとも地域がにぎわっている「にぎや過疎(かそ)」を目指すべき。」との考え。
○外部人材(地域おこし協力隊、移住者、関係人口等)も活用しながら、地域に関わる多様な立場・世代の「人」を増やす取り組みを進めることが重要。 ※移住者、関係人口に関する施策はふるさと人口政策課等が所管
○地域づくりに取り組む人材の確保及び育成は市町村が中核行政組織として取り組むこととなっているが、厳しい財政状況、職員体制の下で、地域に関わることに限界があり、地域の人材育成の面で県の支援に期待が寄せられている。
○人口の全国最小県である鳥取県においては、地域全体の力を高め、地域の中で優れた「人財」(地域の宝である人材)を育てていく必要がある。